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殯(もがり)の森 (2007)

監督
河瀬直美
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2.76 / 評価:278件

解説

『萌の朱雀(もえのすざく)』でカンヌ国際映画祭でカメラドールを受賞し、世界中から注目されている河瀬直美監督の最新作。監督自身の故郷である奈良を舞台に、人間の生と死を描く人間ドラマ。役者初挑戦のうだしげきが、妻を亡くし、心の空白をうめようと懸命に生きる男を熱演。介護福祉士として、彼と心の交流をかわす真千子に『萌の朱雀(もえのすざく)』でも河野作品に出演している尾野真千子が透明感ある演技でみせる。奈良の山間部の美しい風景が心にしみる珠玉の名作。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

妻を亡くし、山間部のグループホームで介護スタッフとともに共同生活を送るしげき(うだしげき)。そこに、新しく介護福祉士としてやってきた真千子(尾野真千子)。彼女もまた、つらい思いを抱えていた。日々の生活の中で、2人は次第に打ち解け合っていくのだったが……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C) KUMIE / Celluloid Dreams Productions/ Visual Arts College Osaka
(C) KUMIE / Celluloid Dreams Productions/ Visual Arts College Osaka

「殯の森」物語はシンプルだが、テーマは深い

 緑濃き山間の道を、土葬へ向かう人々が連なる。オープニングから、ゾクッとした。スクリーンから放たれている空気が違う。重厚にして厳粛。奈良を舞台に作品を撮り続けてきた、河瀬直美監督にしか撮れない絵だ。今回は日仏合作で、編集や音響を仏人スタッフに任せ、技術面のクオリティがアップした事も大きいが、それ以上に、映像作家としての成長が作品に広がりをもたせ、そしてカンヌ国際映画祭グランプリ受賞へと繋がったと、確信する。

 従来の河瀬作品と言えば、ストリッパーの波乱な人生を描いた「火垂」も、子供を亡くした家族のドラマ「沙羅双樹」も、観客を半ば強引に自分の世界へ向けさせるきらいがあった。しかし今回は、観客を”殯(敬う人の死を惜しみ、しのぶ時間・場所の意)の森”へと寄り添うように誘う。グループホームで出会った、33年前に亡くした妻を想う認知症のしげき(うだしげき)と、幼子を亡くした真千子(尾野真千子)が、森を彷徨い“喪の仕事”をすることで共鳴し合う。河瀬監督の十八番であるドキュメンタリーの手法を生かしながら丁寧に追った2人の心の機微は、12歳の神童・坂牧春佳のピアノ演奏と相まって、観る者に否応なしに”生と死”を考えさせる。物語はシンプルだが、テーマは深い。

 次回作は、一転、コメディを手掛ける河瀬監督。紛れもなくこれは、河瀬監督・第一章の集大成である。(中山治美)

映画.com(外部リンク)

2007年6月21日 更新

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