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クローズZERO (2007)

監督
三池崇史
  • みたいムービー 720
  • みたログ 4,758

4.00 / 評価:2007件

【ジャンゴ】を否定した者よ。今度はどうだ

  • zin***** さん
  • 2007年10月26日 23時15分
  • 閲覧数 2367
  • 役立ち度 173
    • 総合評価
    • ★★★★★

コミックスファンには、
桐島、マコ、リンダマン、阪東らの姿に、
『ああ、ちゃんと居やがるな』と成程ニヤリ感を得られるだろう。

だが気にしなくて良い。
今作は、コミック版主人公 坊屋春道のカケラも出ぬ、その前の話だ。
【ZERO】の名はダテじゃない。
【クローズ】を知らぬ人でも、ちゃんとこの世界に飛び込める、
1本の独立した“映画”である証だ。

男ばっかだろうと思った試写会場は、
周りは若い女性ばっか。
いーのだろうか? こんなケンカ通しの映画に。
世の女性は逞しい。
いや、小栗旬、山田孝之、高岡らイケメン若手の成せる技か。

ダウンタウンの松ちゃんが、ファン発言をして、
少し火が付いたとは言え、3200万部売上げたコミックスにしては、
知名度は特に高いとは思えない。
理由は雑誌のマイナーさと、他メデイアが飛びつく様な特出した設定がない事。

しかし、こう云う作品程、
一度ハマると抜け出せなくなる。
あるのはリアル感。
個性あるキャラクターが、それぞれの想いで仲間を作り、
繰り拡げる派閥抗争は、さながら戦国武将合戦の様な面白さがある。

不良コミックの典型パターンではあるが、
それをきっちりと描く様は、原作者の持つ“実体験”とシンクロして、
ある意味このテの作品の枠を越えている。
コアなファンが多い訳だ。

その原作者を前に、三池監督は言った。
『クローズ、ぶっ壊しますよ』
原作者 高橋ヒロシはニヤリと笑った。
こうしてこの映画が出来た。

“ぶっ壊し”は、冒頭から始まる。
芹沢と黒岩刑事の追跡劇だ。
『ここまでやるか?』 やるのだ三池は。

『こいつらフツーじゃねぇ。』 つまりこれだ。
冒頭から突き抜けたキャラを描く。
まず映画の内容を知らしめる。 『この後、覚悟しとけよ』とばかり。
【ジャンゴ】のタランティーノの冒頭シーンの如し。

後は2時間10分、ほぼケンカ。
【ワルボロ】もそうだったが、
やってる事は、仲間集めての勢力争い…ただそれだけ。

しかしその中に、拳だけでは人を動かせないもどかしさ。
仲間を想う熱さ。 そして意外な純情さ。
そんなものが垣間見える。 目が離せなくなる。

気が付けば、キャラがみんないい顔してる。
アザだらけになりながら。
好きなキャラが1人、また1人増えて行く。
何故だろう?

多分それは、常に自分より上の者に向かって行く時の男の顔。
弱い者など出て来ない。 弱者をいじめるセコイ奴などいない。
仲間の為に先走る奴はいるが、いつか判り合う。
『コレが、こいつの俺への想いだ』と。

そんな“男の美学”ってやつが1本ピーンと通っている。
我々が、奴らに不快感を感じないのは、多分そんな所。
要するに、ぶっちゃけカッコイイのだ。

熱いビートに乗せて、哀しいバラードに載せて、
殴り合って、蹴たくり合う。
最後の決戦は雨が似合う。 映画【アウトサイダー】だ。
最後のタイマンには夕陽が良く似合う。

ドシャ降りの中。
カットによって空がやけに明るかったりするが、
そんな事ァどうだって良い。
そんな事ァ気にすんな。
見せるべきは天気なんかじゃない。
この愛すべきアホ共の殴り合いだ。
これが三池だ。

実際、監督はよく役者に、
『あ、テキトーにやっちゃって。こっちもテキトー撮るから』
と言っていたらしい。
キャラを生かす撮り方なら、何でもいい。
細かい事は気にせず、しかし見せるべき事は、しっかりリアルに表現する。
これが三池だ。 文句あるか。

そしてクライマックスの作り方の旨さ。
よくあるパターンだが、数本の糸が紐状に1本化して行く。
こんなグチャグチャな映画で、よくぞこうもキレイにまとめてきた。
だから…見逃すなよ!

特筆すべきは、やべきょうすけ演じる片桐。
ケンカも弱く、部下にさえ、それに気ィ遣われるチンピラ。
何と、そんな男が今作のもう1人のキーマンだ。

“青春の時”を鈴蘭で燃え尽くした不良達は、
やがて、それなりに社会に順応して行く。
そんな中、鈴蘭に“悔しさ”を残したOB、片桐だけはチンピラになった。

己の中途半端な生き方を知りつつ、イキがり、
しかし、最後には筋を通す純粋な心を持つ男。
『ヤクザになっちゃいけねぇ』そう言わんばかりのキャラ。
夢を源治に託す、ちっぽけな男。
やべの熱演と共に忘れ難い。

この作品には、“街”の名が出てこない。
彼らにとって、街は鈴蘭だ。
ここで燃え、ここでトップを取る。
例えそれが、卒業までの短い間でも。
それがこいつらの青春だ。
それを見届けたいのなら、頭を“ZERO”にして感じて観るべし。
この突き抜けてカッコ良い、三池ワールドの住人達を。

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