中層程度の感情刺激。程よい娯楽性
- oir***** さん
- 2020年6月12日 13時21分
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- 総合評価
三木聡映画に感心していた時期があり、本作もレンタル期間中毎日見ていた。
何ら突出している要素も深い感動があるわけでもなく程々の中層感(作風的には「脱力感」ということになるか)が心地よい。
今回十数年ぶりの視聴で流石に飽き飽きするだろうと思っていたが、気持ちよく見終えることが出来た。
借金取りに付け回されるオダギリジョーとその借金取りの三浦友和の数日間に渡る「東京散歩」を描いた物語。
ある事情で罪を犯してしまい自首しようとする三浦。しかし心の整理をつけるため妻とよくした「東京散歩」にオダギリを借金帳消しを餌に無理やり引き込む。
その主軸ストーリーに小ネタギャグを多数まとわせ、ラスト間際では「疑似家族の束の間の団らん」も盛り込まれる。
全ての要素が高バランス、細部描写も抜かりなく、音楽もぴたりマッチ。
岩松了・ふせえり・松重豊らコメディ要員の小ネタも本筋の邪魔をせず効果的。
石原良純の不良息子、畳屋・笹野高史の畳投げ、街中時計屋の「カンフー」など静かな中の比較的激しい動きもアクセントとして程よい。
「間の取り方」として小津さん的テクニックも有効。
小泉今日子と吉高由里子を加えた「疑似家族の束の間の団らん」はしみじみとした哀しさ淋しさと共に微妙な楽しさに満ちている(吉高のキャラが最高に生きている。小泉も適役)。しかしやはり視聴者側としても「一抹の淋しさ」を感じさせられる場面でもある。
時効警察などで三木演出に慣れている人なら問題ないだろうが、そうじゃないと小ネタなど邪魔に感じてしまうかもしれない。
「脱力系ムービー」の一つとして緩い心持で鑑賞なさってみてください。
可能ならオーギョウチでも食べながら笑。私はまだ食べたことはないけれど
後、私も都内を結構歩き回っていたので、その追体験ができたことも好印象の一因。
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