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ミヨリの森

z48********

2.0

背景が美しい。ただそれだけ

圧倒されるのは、丁寧に細部まで細かく描きこまれた背景表現です。美しくも幻想的な桜の木や、ノスタルジックな田舎の風景は素晴らしいクオリティで、見ていて癒されます。本作を監督したのは山本二三監督。彼はスタジオジブリでもののけ姫や千と千尋の神隠し、細田守監督の時をかける少女などで美術監督を担当した、いわばアニメーション背景美術のプロフェッショナルです。制作に3年かけたとはいえ、テレビスペシャルでこれだけのクオリティを出せるとは、驚きです。 しかし、個人的にはそれ以外に褒めるところは特にありませんでした。背景は美しいですが、キャラクターの描き方が雑というか、丁寧でないのです。影の付け方が下手なのか、キャラクターの色彩設計が背景とあっていないのか、キャラクターデザインが下手なのか、とにかく繊細な背景とのギャップがあり、観ていて違和感を覚えます。主人公を含めてキャラクターの表情も硬く、感情表現が上手いことできていないため、共感がありませんし、魅力もありません。これらは妖怪たちの描写にも言えることで、妖怪たちお世辞にも丁寧とは言えないものでした。神聖で不思議な生き物という存在にしたかったようですが、ゆるキャラっぽいマスコットキャラクターにしか見えないのが辛いところ。手を抜いたとは言いませんが、もう少し何とかしてほしかったところです。山本二三監督は、背景を描くのは得意ですがキャラクターを描くのは得意ではないという印象を受けます。新海誠監督と似たところがありますね。なので今回の作品にはキャラクターを上手く描ける人物を起用し、監督の弱点を補う必要があったと思います。映画ではなくテレビアニメですから、色々制約があり難しいところがあったのでしょうけど。 ストーリーもありきたりでした。田舎に来て心を開く成長物語は、アニメ以外にも様々な形でやり尽くされてきました。とはいえ、ありきたりでも工夫すれば素晴らしい作品に仕上がるというものです。ありきたりになるということは、裏を返せばそれだけこの手の物語が人気があるということですから。しかし、その工夫が生かされていませんでした。背景を綺麗に描きキャラクターの繊細な心情と重ねる試みをしているのでしょうが、それだけでは不十分だったということです。 最後に声優。下手です。棒読みなだけでなく、キャラクター像と声が合っていないのです。明らかにミスキャストと言える配役の方が多すぎます。そのせいで、せっかくの美しい森の雰囲気をはじめ作品の世界観が丸潰れです。アニメ映画作品では著名人を起用することで棒読みになることが多いですが、それを嫌う方には絶対にオススメできません。 星2つ、良かったのは背景表現だけ。

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