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スカイ・クロラ The Sky Crawlers (2008)

THE SKY CRAWLERS

監督
押井守
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3.31 / 評価:1524件

現実と虚構、その先の「日常」へ

この作品は、明らかにこれまでの押井作品とは一線を画します。
方法論や理論と言った、道具立ての違いではないのです。むしろ、その様な方法論や理論は、以前とあまり変わっていないと言って良いです。
ある映画サイトの評論家のレビューでは、この作品に対し、「押井の、思索家からエンターテイナーへ、よりエモーショナルな移行を感じる。」と言ったような評価をしていました。正しいと思います。ただ以前の押井守が思索家だとは思わないし、また、この作品から押井守がエンターテイナーへ移行したとも思えません。真の思索家や芸術家は、私達の「日常」に肉薄してくるものです。この作品で、押井がようやく遅ればせながら真の芸術家になったと言っても良いのです。「キルドレ」という、あまり劇中で説明のない設定や、ショーと化した戦争も、私達の日常の哀しさや愛おしさを描くためのツールなのです。現実や虚構と言った、思考の概念をそれらは喚起するものではなく、どこまでも私達の日常に寄り添い、慈しむための絵筆と言っても良く、繊細なタッチは、それまでの概念に囚われることなく、のびのびしています。
「俳句の様に両義的で曖昧」、海外の映画祭でこのように揶揄された様だが、それはある意味で的を得ています。真の創造性には誹謗中傷がつき物であり、今では当たり前になってしまった、かの「印象派」という命名も、印象派の画家たちを揶揄して言われた呼び名なのです。印象派の絵画もこの作品も、刹那的な私達の日常に静かに寄り添い、そして慈しむのです。
3・11以降、私達が見出すべき拠り所がそっと示されている様です。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 悲しい
  • ロマンチック
  • 知的
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