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ヴォイス・オブ・ヘドウィグ
2007年9月22日公開

ヴォイス・オブ・ヘドウィグ

FOLLOW MY VOICE: WITH THE MUSIC OF HEDWIG

1012007年9月22日公開

kit********

4.0

青春と性差を超えていけ。

この映画のレビューが一つもないのは意外でした。 大抵の紹介文には「ジェンダー」とか「ドキュメンタリー」とか書いてあって、 まあ、それはそのとおりなんだけど、まず、楽しい映画なのです。 少なくとも声高に何かを主張しているような映画ではありません。 基本的には、誰もが通る青春の軌跡に、 愉快な(そして、ちょっとスパイスの効いた)音楽を載せただけ、とも言えます。 確かに、彼らの青春は、人に比べて少し厳しいものがあるのかもしれません。 でも、そもそも青春時代ってのは、誰にとっても厄介なもの。 「人との違い」とか、「両親との確執」とか、 悩ましい事柄自体はは性的マイノリティであれ、ストレートであれ それほど、変わりはないのです── とか言ってるけど、確かに見る前は「特殊な人たちを見に行く」気持ち。 だから、あんまり偉そうなことはいえないのだけど、 この映画を見ているうちに、「ああ、あんまり変わんねえんだな」と思いました。 僕がこの映画でもっとも象徴的に思えたのは、 ある女の子(肉体的には♂)の笑顔でした。 両親に女の子っぽい服を捨てられたり、 髪の毛を伸ばすことを禁じられていた彼女が、 (これって、男である筆者に置き換えると、ある日突然、男物の服が全て捨てられ、  フリフリのお姫様ドレスばかりになるってことです。そんなん、グレますよ、普通に) この映画の舞台となる学校(性的マイノリティのための学校)の学園祭を前に、 華やかに着飾っていくのですが、 そのときの笑顔がなんというか、もう喜びに満ち溢れているのです。 彼女は自分が認められる場所にたどり着いたことで、 はじめて笑うことが出来た。 これって実はストレートであっても変わらないですよね。 人は自分が認められる居場所がなければ、どこまでも沈んでいきます。 そして、自分が認められる居場所を見つけたとき、 初めて心から笑えるし、輝くことが出来る。 彼女の笑顔は、その象徴なのです。 自分の居場所になんだか違和感を感じていたり、 まさに今、自分の居場所を探している方には、 (要するに、現在、青春のようなものをやっている方には) 強くオススメします。 ちょっと元気になれるよ。  端と壁の2つの間には たいして違いがない。  ど真ん中に私がいなけりゃ 何の意味もないのさ。               ──劇中歌「Tear Me Down」より

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