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ジェシー・ジェームズの暗殺 (2007)

THE ASSASSINATION OF JESSE JAMES BY THE COWARD ROBERT FORD

監督
アンドリュー・ドミニク
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3.25 / 評価:482件

解説

19世紀のアメリカに名をとどろかせた犯罪者ジェシー・ジェームズと、彼を暗殺した手下、ロバート・フォードの人物像に迫るサスペンス・ドラマ。プロデュースも務めるブラッド・ピットが伝説の無法者ジェシーを怪演し、ヴェネチア国際映画祭で主演男優賞を受賞。監督は『チョッパー・リード 史上最凶の殺人鬼』のアンドリュー・ドミニク。伝説的人物の知られざる一面に迫る人間ドラマとしてだけでなく、登場人物のさまざまな思惑が交錯する心理サスペンスとしても楽しめる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

悪名高きアウトローとして数々の犯罪に手を染め、法をあざけり、自分自身のルールで生きてきたジェシー・ジェームズ(ブラッド・ピット)。理想に燃える野心家の若者ロバート・フォード(ケイシー・アフレック)は、そんなジェシーの仲間になれたことを心から喜んでいたが、思わぬ事態が彼らを待ち受ける。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C) 2008 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
(C) 2008 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

「ジェシー・ジェームズの暗殺」灰色の大平原を背景に灰色の登場人物が煮詰められていく

 ウォルター・ヒル監督の「ロング・ライダーズ」(80)の最後は、ロバート・フォードがジェシー・ジェームズを撃つ場面だった。フォード弟に扮したニコラス・ゲスト(兄のクリストファーがチャーリー・フォードを演じた)が「アイ・ショット・ジェシー・ジェームズ」と叫びながら引金を絞る場面は、妙な強引さが記憶に残る。

 「ジェシー・ジェームズの暗殺」も、この場面を物語のクライマックスに用意している。ただ、ケイシー・アフレックの演じるロバート・フォードは叫ばない。映画全体も、「ロング・ライダーズ」が省略した「ジェシー・ジェームズの翳りを帯びた晩年」を丹念に描き出す。

 ロバートはジェシー(ブラッド・ピット)の崇拝者だった。「おまえは俺のようになりたいのか。それとも“俺”になりたいのか」と問われてうつむき、憧憬と執着を抱えたまま、失望と憎悪をつのらせていく。1880年代初め。エジソンが蓄音機を発明し、ビリー・ザ・キッドが殺され、ドストエフスキーが「カラマーゾフの兄弟」を発表した時代だ。

 監督のアンドリュー・ドミニクは、広大で寂寞とした大平原を背景に、両者の心理ドラマを煮詰めていく。急所はここだ。彼は、英雄と凡人、崇拝と憎悪という概念を対立させず、ジェシーの迷いとロバートの狂いを重層的に描き出す。「天国の日々」を思わせる映像だが、奥には「許されざる者」の灰色が潜む。灰色の大平原で、灰色の登場人物が不思議なパントマイムを演じている。(芝山幹郎)

映画.com(外部リンク)

2007年12月27日 更新

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