解説
アニメーションの世界に暮らすプリンセスが、魔法で現代のニューヨークに追放されてしまうディズニー・ファンタジー。『ターザン』『102』のケヴィン・リマが監督を務め、ディズニーの“お約束”が通じない実写の世界で右往左往するお姫様の冒険を、夢いっぱいに描き出す。主演は、33歳で“ディズニー・プリンセス”役を射止めたエイミー・アダムス。おとぎの国のシーンはアニメ、ニューヨークでのシーンは実写で描くというユニークな設定にも注目だ。
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あらすじ
“アニメーションの世界”に暮らす心優しいプリンセスのジゼル(エイミー・アダムス)は、夢にまで見た王子様との結婚式の当日、意地悪な魔女に騙されて魔法をかけられてしまい、世にも恐ろしい世界へ追放されてしまう。そこは“おとぎの国”とは正反対の刺激的な“現代のニューヨーク”で、ジゼルはパニックに陥ってしまう。
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映画レポート

「魔法にかけられて」戦いの剣に自ら手を伸ばす凛々しさに拍手
冒険の旅から人生を学び、成長していくキャラクターは映画の常道だが、「魔法にかけられて」のジゼルは、その変化の意外性において群を抜いている。何しろ、〈happily ever after〉を約束されたアニメ世界のお姫様が、その幸せなお約束に疑問を呈するのだ。いや、意外と言っては彼女に失礼かもしれない。映画の最初ですでに、彼女はタフで懐が深く、変化を受け入れるキャラを見せてくれているのだから。ニューヨークのアパートで彼女の歌に誘われて現れるのは、アニメの森の小鳥やリスではなく、ゴキブリやドブねずみやハエたち。お姫さまなら気絶しても当然なのに、ジゼルは一瞬驚きはするけれど、すぐに普段どおりの仕事にとりかかる。ディズニー・アニメの名場面を笑いの種に仕込んだ数々のアイデアも素晴らしいが、それはただ笑わせるためだけではなく、人間としてのジゼルの可能性の大きさを描くためのものでもあるのだ。
そんなジゼルだもの、すべての道筋が決められた人生って何なの?と気づき、考えて選び取る道をチョイスするのは時間の問題だった。白馬の王子様を待つのではなく、戦いの剣に自ら手を伸ばす凛々しさに、惜しみない拍手を送りたい。(森山京子)
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2008年3月13日 更新