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ウォーター・ホース
2008年2月1日公開

ウォーター・ホース

THE WATER HORSE: LEGEND OF THE DEEP

1122008年2月1日公開

den********

5.0

ネタバレ決して失われることのない永遠の宝物

エンヤで知られ、『タイタニック』でも使われていた ケルト音楽の躍動感溢れる素朴なハーモニーが、 スコットランドの幻想的な風景を引き立てていました。 戦争で失った優しい父の死を受け容れられずに、 いつか戻ってくると信じているアンガスと、 世界で一匹しかいないと言われる 伝説の生き物ウォーター・ホースとの出逢い。 それは亡き父からの計らいだったのかもしれません。 お互いの孤独を癒すように二人は心を通わせ、 アンガスは笑顔を取り戻します。 さんさんと輝く太陽の光がネス湖の水面をダイヤモンドのように きらきらと照らし、アンガスを背中に乗せて自由自在に泳ぎ回る シーンは、太陽と、森、湖、人間と生物との息を呑むほどの 美しい“一体感”に昂揚し、歓びで胸が高まりました。 宇宙に存在する全てのもの、動物や植物、鉱物も太陽も星も、 森羅万象は皆繋がっていて“全てはひとつ”だという 自然の法則(類魂の法則)も感じさせてくれ、 また、ネス湖の守り神としての風格も存分に見せてくれました。 人は大人になる過程で、親や、学校の先生、社会から、 それぞれの思念や思想、価値観といったものを植えつけられます。 それ故、妖精や未知なるもの、目に見えない力や神秘の生き物の存在を 『恐れ』から否定しがちです。 でもアンガスのようなピュアな魂を持つ子供は、そんな“よろい”をまとっていないので、 まっさらな心で考え、恐れずに行動します。 「僕が命を助けた。友だちなんだ!」 とクルーソーを守り抜こうとします。 「クルーソー!クルーソー!」と必死で友を呼ぶアンガスの透明で清らかな声。 その声を聞いているだけで、大切なクルーソーへの想いが伝わってきます。 友だちを信じて救おうとする、自分の命さえも省みないアンガスの愛と勇気が 周りの大人たちも変え、母親やあの大尉さえ最後には拍手で応援してくれます。 でも遂に別れの時が…。 クルーソーのいない湖を眺めながら 「もう二度と戻って来ないんだね」と母に言うと、 「そうね、戻って来ないわ」 「ううん、パパのことだよ」 クルーソーとの出逢いと別れによってアンガスは父の死を現実として 受け容れることができたようでした。   その時、クルーソーが現れます。 まるで「心の中にいるよ、ずっと側にいるよ」と訴えているかのように…。 それはまた、クルーソーが父親の魂を宿していて、 亡き父も「姿はなくても想いを向ければいつも一緒にいるよ」 と言っているかのようでした。 もしかしたら、父はそれを伝えたくてクルーソーに逢わせてくれたのかもしれません。 エンドロールの歌詞の 「あなたの人生を生きて 人生は時に心をかき乱す 来て、私は側にいる 心の中で共にいる だから離さないで……」 はクルーソーやこの世を去った者からのメッセージのように聞こえました。 短い間だったかもしれませんが、アンガスにとってクルーソーと過ごした かけがえのない時間は魂に深く刻まれ、永遠の宝となったのだと思いました。 そしてクルーソーにとっても……。

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