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歩いても 歩いても (2007)

STILL WALKING

監督
是枝裕和
  • みたいムービー 1,659
  • みたログ 2,956

4.03 / 評価:1,141件

「家族」って、面倒くさくて愛おしい

  • すみちん さん
  • 2009年5月11日 23時41分
  • 閲覧数 1374
  • 役立ち度 43
    • 総合評価
    • ★★★★★

「はぁ~っ…」

と、夏川結衣さん演じる嫁が、
夫の実家の片隅で足を投げたした姿に
「分かる、分かるっ」。

嫁というのは、夫の実家に溶け込むのに
それなりの努力をするものです。

お義母さんや小姑の手前、さてはて…と。
遠方に住んでいれば尚更。
自分はこの一族のお嫁さん、でも、年に1度
会うだけだと「お客さん」扱いの面も。
特に、台所での動きは難しいものです。

そんな細かいところ、夏川さんが微妙に
揺れる嫁心を演じていて、笑っていない瞳や、
突如、夫に愚痴るシーンは可笑しかった~!


でも、これ、夏川さんの演技力もあるんだけど、
是枝監督の細かな脚本に恐れ入りました。
嫁だけじゃなく、姑・小姑・母の気持ち…

女性監督ならいざしらず、男性でここまで細かく女性たちの心理や
絶妙な台詞を言わせるあたり、人間観察力に優れているというか、
もともと「想像して台詞を書く」センスに溢れているお方なのか…。


話自体は、とってもシンプル。
15年前に人助けで命を落とした長男。
その命日に、親族が集まります。
たった1泊2日の出来事を描いた作品。

しかも、大事件もなければ、映画としての山場も特になく、淡々と進みます。
でも、その「淡々」が、超リアルな日常を描いているので、
観ている人、誰しも「分かるわー!」だの「あれ、私だ」だの
「うちの親や兄弟も、あんなこと言ってた」だの、共感部分アリ。
いろいろなタイプの人間が出てくるので、その交差がおもしろい。



でも、この作品、手を叩いて「ホントっ、おっもしろいのよー!!」
というタイプではありません。
どちらかというと「ホントっ、うまいのよー!!」。

エンタテイメントよりも、職人的な作品とでもいうのかな。
脚本・演出・美術…どれをとっても練り込み度が高い。
ただ、目を凝らして、耳を澄ませてじゃないと、その職人技が
見えないところも多いので、視聴覚的にストレートな作品が好きな方には
ちょっと合わないかもしれません。



兄と比べられてばかりで、窮屈な思いをしてきた良多(りょうた)。
阿部寛さん演じる良多は、コンプレックスの塊。
阿部さんの体のサイズと、昭和40年代に建てられた日本家屋の
サイズが全然合わなくて、そこがまた狙いのようにも感じました。
実家に帰る度、良多の心が窮屈…というのが、視覚的にも表現されているようで。

ユーモアと毒の両方を持ち合わせた母を樹木希林さん。
「子供に先立たれた親は悲しい」と、亡き長男を想い続けます。
でも、次男の良多のことも愛してやまない。
樹木さんのほんわか部分と、シリアスな部分のコントラストが、
どこか悲しくて、そして、どこか優しくてジーンときました。

そして、頑固な父親を原田芳雄さん。
「父の顔」「夫の顔」「おじいちゃんの顔」、
そして、「家族にも見せたことのない顔」。
この使い分けがとても素晴らしく、そして切なかったです。


親というのは、子供にいろいろなことを言うものですが、
でも、親の想いって、やっぱり子供の名前に表れているかも…。

「良多」

どうか、この子に、良いことがたくさんありますように…。


どんなに口うるさく言っても、この横山夫妻にとって、
良多は愛すべき息子なのです。
そして、良多にとっても…ラストに答えがありますよ。



ちなみに、この作品、食事や台所シーンも多いのですが、
お母さんが「とうもろこしのかき揚げ」を作り、
みんなが「とうもろこしって、茹でるとか焼くとか…だよね。
揚げたの見たことない。母さんの考えた料理か?」と驚きます。

いやいや、うちも作りますよ~!
しかも、奥様のお料理サイトや本には、よく載ってるし!


かき揚げ初心者の方にも簡単な方法。
缶詰めのコーンの水気をキッチンペーパーでよく切って、
天ぷら粉をまぶします。そこに水を少しずつ足して、粉に粘りが出る程度に。
(天ぷら粉と水をいきなり混ぜるよりも、こっちの方がタネが作りやすい)

油の温度は170~180度。
木ベラの上にスプーンですくったタネを乗せ、天ぷら鍋の端の方から
落としていくと、形が崩れにくいです。
ちなみに油は「日○ ベジフ○ーツオイル」がカラっと揚がってgood!

作品でも、おやつのようにそのまま食べていましたが、
個人的には、抹茶塩がオススメ。

是非、かき揚げ食べながら、観てみてください(笑
コーンの甘い優しさが、この作品とマッチしますよ~!


「家族」という小さな社会の中の本音を描いた秀作。
この「横山家」、ちょっと覗き見してみませんか?

詳細評価

物語
配役
演出
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音楽

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  • 切ない
  • コミカル
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