あらすじ・解説
中学校の非常勤教師をしている青地(つぐみ)は、近ごろ学校に行くのがおっくうで、いくら寝ても寝不足気味だった。長く付き合っている彼氏、達ちゃん(山本浩司)との会話は上滑りし、好きだという気持ちもすでにあいまいになっている。そんな中、青地は記憶とも妄想ともつかぬ、奇妙な夢を繰り返し見続けるが……。
シネマトゥデイ(外部リンク)
作品レビュー(14件)
- oza********
3.0点
ネタバレモヤモヤ……
このレビューにはネタバレが含まれています。 - ore********
1.0点
ネタバレラジオドラマ(映像付き)。
このレビューにはネタバレが含まれています。 - pkd********
4.0点
この『眠り姫』という作品でまず注目されるのが、“作中に人がほとんど出てこない”ということ。 人が出ない代わりに動物や物がメインに登場するのかというと、そういうわけでもない。 ただ本当にある町の風景や建物の中など、日常よく見かけるような画面がほとんど映し出されるのみです。 ドキュメンタリー仕立てになっているわけでもなく、ただ人が映らない状態で会話が繰り広げられていくという異色作で、まず万人受けするとは言い難い内容です。 これだけで敬遠されてしまうことでしょうが、この作品から感じ取ることが出来る独特の雰囲気は特筆物。 寒さ伝わる冬の明け方や、霧がかる山中など、寂しさや不安さを煽られるカットの連続。それでいて美しくもあるこのアンバランスさ加減が、まさしくこの作品の何よりも素晴らしいところです。 家で毛布の中にうずくまりながら「今出てきたトイレに誰かがいる気がしてならない」と感じたり、人混みを逆に通り抜けると腹が立つと思ったり、同じ夢を見たり、そして他の人物たちとのやり取りはどこか噛み合わない…。 主人公・青地の例えようのない孤独感、やりきれない不安感や苛立ち、静かな怒り…。 敢えて人をほとんど登場させないことによって、こういった本人がしか分からないような言葉では言い切れない気持ちを、少しでもリアリティをもって観る者に伝えることを可能にしているように思います。 8mmフィルムで撮影されたイメージ映像も、夢と現実の境界をまたいで迫ってくるようで、いくら寝ても寝たりないという青地の心情が見て取れるようでもあります。 冒頭の青地の叫び声。あれは負の連鎖にある自分自身を脱却させようとする怒りの一喝だったのでしょうか。 トイレから感じていたもう視線の正体は、恐らくラストで出てきたもう一人の自分の視線だったのかもしれません。 静かな怒りを持ちつつ、部屋でうずくまっている自分を振り返りながら、この状況を変えようともがくもう一人の自分…。 そういえば青地は、勤め先である学校の職員・野口に顔を長く描いた似顔絵の落書きをFAXで送ったりといった奇行をとったりしていましたが、もしかしたら彼に救いを求めていたのかもしれない…。 人がほぼ登場しないというこの作品。果たしてこれを“映画”と呼んでいいのだろうか? そう思う方も少なくはないでしょう。 おそらくこの作品を鑑賞した多くの方は眠りに陥ったことだと思います。或いは「こんなの映画じゃない」と憤慨される方も中にはいるのかもしれません。 しかし、「“映画であること”とは一体何なんだろう?」 そういったことも考えさせられます。 この世にはデレク・ジャーマン監督の『BLUE ブルー』という、終始青い画面のみがスクリーンに映し出されるという、超異端な作品がすでに存在しています。 この『眠り姫』はそこまでのレベルではないにせよ、試みはそれに近いものがあるように思います。 映画とは、個性豊かな登場人物たちがいて、分かりやすいストーリーに沿って話が進み、手軽に感動することが出来るもの。 そう考える方もいることでしょう。というより、大多数の方はこのように思っているのかもしれません。 しかし、映画とは本当にただそれだけのものでしかないのでしょうか。 音楽にはポップだけでなく、ジャズやクラシック、パンク等、実に様々な表現方法が存在していますが、それは映画にだって同じことが言えるはずです。 エイズによる合併症で末期症状にあったジャーマン監督が、失明への不安や病の恐怖等の心理を伝えるのに、敢えてブルー一色のみで表現したように、この作品もまた人を敢えてほとんど登場させないことによって、主人公・青地の現実と隔離しかけている例えようのない孤独感を表現しようとしているのでしょう。 枠に嵌めないことによって、かえって伝わることもある。 映画にはそういった限りない表現方法と可能性がある、ということを知らしめることが出来る貴重な作品の一つと言えるかもしれません。 そしてこの作品、初公開から実に7年は経過しています。 それなのに、今もアンコール上映がこうして続けられている辺り、この一見すると無謀とも取られかねないこの作品に共感することが出来る方々が大勢いることの証明にもなっています。 七里監督の試みは成功だったと言えます。 しかし、DVDは発売する気はないのでしょうか? アンコール上映が続けられているのも嬉しいことですが、家でゆっくりと鑑賞したい方も少なくはないと思うので、是非ともDVD化してほしいものです。
- りんね
3.0点
世にも奇妙な物語、のような編集をすると 一般受けするかも 人影をなくしたことで 逆に見えてくるものがあること 映画は娯楽であり、芸術作品であることを ふまえて見てほしい 考えさせる映画が少ない昨今、 ただ、ストーリーを追うということだけを している人々が一般化しており、 この映画の評価は賛否両論あるだろう。
- タダラフィル
4.0点
渋谷のUPLINK Xでレイトショーでかかっていたのを観ました。 で、この映画ですが、ずっと見たかったのに機会を逃していた映画です。 やっと見ることができたのですが、やっぱり他の映画とは一線を画す出来栄えです。なにしろ、人間がほとんど映っていません。イントロからして、夜の木立に、太陽が昇ってすこし光が当たっていくところが数分にわたって映されるだけです。ただバックにながれる水音がすばらしい。 この映画は原作が山本直樹の漫画なのですが、画像よりもむしろ音楽が素晴らしい出来です。上質なラジオドラマのような調和がとられた脚本が秀逸です。実験的な映像を含めて、この映画の映像は評判がいいのですが、僕はむしろ音楽とセリフだけでこの物語は95%は完成しているのではと思います。 あらすじはっていっても、あってないようなもので、青地という若い女性が主人公ですが、彼女は最近眠くて眠くて、いくら眠っても眠り足りないような状態です。中学校の非常勤職員をしているのですが、電車で学校にいくのもいやでしょうがない。高校の頃からつきあっている彼氏は、掃除もされていない彼女の部屋に来てはセックスをするだけ。いや、彼は彼女との結婚も考えていて、親に紹介する行動も起こすのですが、彼女は彼のことを好きなのかどうかもわからなくなっている。 同僚の「顔の長い」野口は、青地の顔がどんどん膨らんでいるという。 彼女はいつも同じ夢を見ているようで、誰かの手が階段の手すりを乗り出してきて、そこからピンポンが落ちて行って・・・。 一方、野口はどんどんどんどん痩せていく。そして・・・。 山本直樹の原作ですが、もともとは内田百間(門構えに月がほんとうです)の短編が元です。そういえば内田百間らしい世界です。(山本直樹の描写は僕を辟易させるものがあって、あまり・・) 現実と夢の間の薄い膜が写されているとでも言えばいいのでしょうか。あの美しすぎる音楽も夢の世界から漏れてくるものなのでしょうか。 眠りを催すこともなく鑑賞できました。 ただ、タバコを吸いながらせき込んでいるあのシーン、「ヴァンダの部屋」のぱくりとはっきりわかるので、うーん、いらないなあ。
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