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フィクサー (2007)

MICHAEL CLAYTON

監督
トニー・ギルロイ
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3.25 / 評価:719件

仕事とは、信念と哲学と良心の融和である

  • dr.hawk さん
  • 2016年10月20日 23時20分
  • 役立ち度 0
    • 総合評価
    • ★★★★★

DVDレンタル 字幕 2016.10.19


弁護士事務所に所属しながら裏で暗躍するもみ消し屋(フィクサー)の苦悩を描いた人間ドラマ
監督は『ボーン・アイデンティティー』の脚本家トニー・ギルロイ
本作が初メガホン
第80回アカデミー賞にて作品賞を含む7部門でノミネートされ、ティルダ・スウィントンが助演女優賞を受賞した


ニューヨークにある大手弁護士事務所に勤務するマイケル(ジョージ・クルーニー)は裏方作業に嫌気を差していた
彼は足を洗おうと副業で店を出していたが失敗に終わり、多額の借金を背負っていた
そんな彼の元に同僚アーサー(トム・ウィルキンソン)の失態の尻拭いが回って来た
アーサーは農薬製造会社U・ノース社の訴訟を担当しており、物語の冒頭ではアーサーがマイケルに届けたメッセージが流れている


アーサーの言葉の意味は何か
そしてマイケルに忍び寄る「手」の正体は?
サスペンス仕立てのドラマが展開される


U・ノース社は自身が開発した農薬被害の集団訴訟の渦中にあった
その弁護を担当していたのがアーサーだったが、彼は訴訟の最中である「秘密」を知る
そして、その「秘密」は彼の良心の責め立てることとなった

ある日アーサーは集団訴訟相手のとの懇談中に全裸になるという奇行に走った
マイケルは彼を監視下に置き、その失態の尻拭いを命じられるが、元々精神的な疾患を持っていたアーサーの奇行を軽くあしらってしまう
アーサーの真意を掴めぬまま、彼はマイケルの前から姿を眩ました


物語の中核は3人の登場人物で占められる

訴訟中に「秘密」を知ったアーサー
そのアーサーの監視役のマイケル
訴訟相手の法務担当のカレン(ティルダ・スウィントン)


カレンは会社の利益を優先しながらそれが正義でないことを薄々と感じている
それでも彼女を襲う現実が彼女の思考を停止させ危険な判断を強いていく
それが飽和し、その飽和の帰結として瓦解させるのが、アーサーの意思を受け継いだマイケルであった


この映画の登場人物の物語上の欲求は明確で行動も論理的である

アーサーは「秘密」の暴露を考え、被害者救済を考えていた
マイケルは仕事を辞めるきっかけを探していた
カレンは与えられた地位と会社への奉仕に明け暮れている

それぞれが素直なアイデンティティーの元行動し、どこに正義があるのかわからない
主人公マイケルの行動もどこか歪で、自分の存在意義に疑問を持ちながら、首を突っ込むことでしか人生を開けない窮地にいる


前半のシークエンスはアーサーの言葉の謎解き、後半はマイケルの決断への道程を描いている
そしてカレンがある種の悪魔に侵されていく様子を重ねていく


ラストシークエンスのマイケルとカレンの対峙は象徴的であり、信念の揺らぎが勝敗を分けた
マイケルは後のない中で経験則に基づく仕事をやってのけた
カレンは決定権がありながら正常な判断に欠き選択を誤る
マイケルが突きつけた「カレンの精神の瓦解」は見事である


そして、この映画の最大の魅力はエンドロール直前にある

仕事を終えたマイケルがタクシーで街を漂うシーン
彼は何を思うのか
そして最後に見せる表情の意味は

余韻深く、とても興味深いラストショットである


オリジナル脚本で無駄なシーンはほとんどない
人の心の動きに着目し、ハードな反応を演じて見せた俳優陣の力量は確かである

地味な作品であるが、映画好きならば一見の価値はあると断言する

詳細評価

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