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ベティ・ペイジ (2005)

THE NOTORIOUS BETTIE PAGE

監督
メアリー・ハロン
  • みたいムービー 90
  • みたログ 205

3.12 / 評価:50件

実際にはうまくいかない人生だったにしても

  • sittin'in the darkness さん
  • 2008年2月3日 6時01分
  • 閲覧数 394
  • 役立ち度 23
    • 総合評価
    • ★★★★★

伝説のピンナップガール、ベティ・ペイジ。
チラシの写真は、黒革のビスチエに身を包みやはり黒の革手袋に乗馬ムチを持つ
悩ましげな美女。

この映画で受けた感銘をなんと綴ろう。
何から語ろう。ベティ・ペイジ。

敬虔な家庭で育てられ、高校時代は首席を狙うほど勉強熱心だった彼女は、
奨学金がとれなくて大学進学をあきらめ、ニューヨークに出る。
たまたま散歩中に、写真撮影好きな男性にモデルに請われ、快諾したことで
彼女は自覚もないままそのキャリアをスタートさせる。
紹介で次々にモデルの仕事が入り、どのアトリエでも、どのカメラマンにむかっても
彼女は屈託なく肢体をあらわにし、開放感あふれる笑顔を見せた。
そしてアーヴィング・クロウ&ポーラ兄妹のスタジオで
ボンデージファッション、SM風のショートムーヴィーも撮るようになり
休暇で訪れたフロリダでは人気写真家のバニー・イェーガーにも気に入られる。
とにかくベティの美しさ!その明るい笑顔!

彼女が活躍した7年間、1950年代のアメリカは、まだ性解放のムーブメントの夜明け前だった。
フェティッシュな性表現などもってのほかだったあの時代に、
なぜそこまでベティ・ペイジは
何にも束縛されない笑顔でもってカメラの前に立てたのか。。。

観ていて涙がでてきたほど。

モデルの仕事と平行してベティは演劇学校に通い演技を勉強する。
オーディションの後プロデューサーに「キミこの後食事しないか」と誘われても
「恋人がいますから」と断る。身持ちがかたい。
「プロデューサーと仲良くしておくとお徳だよ」とロコツなことを言うプロデューサー、
しかしベティはなびかない。
(んで役がまわってこないんだから男ってやつぁ・・・プロデューサー、器がちっさいぜ!)
結局演技の道はベティの前には開かれない。

NYにでてきたばかりの頃、まだカメラの前に立つ前のベティに、こんな事件があった。
町でナンパされて、ダンスパーティに行くのだと思って初対面の男の車に乗るベティ。
他の女性も乗っているしまるで疑っていなかったのに、途中から雲行きあやしくなり、
人気のない郊外で彼女は輪姦されそうになる。
「ダメよ生理中なの、だからできないわ」「他にも方法はあるぜ」というやりとりの後
どうなったのか映画ははっきりとは描かないものの、
それがどんなに怖ろしく苛酷な体験であったか想像される。
このシーンがわたしは長くひっかかっていた。
あんな体験をしたベティなのにどうして・・・
どうして、よく知らない相手のカメラの要求に応じて衣類を脱げるのか。
大勢のアマチュアカメラマンに囲まれて水着姿(というか下着姿というか)になれるのか。
どうして彼女はあんなにも安心しきった笑顔でカメラの前に立っていたのか。
映画はこの件に関して答えを用意してくれはしなかった。
だけど観終わってわたしは想う、
信心深く神を愛する心の深さが彼女の芯にあったこと、それがすべてなのかもしれないと。
キリスト教徒ではなく、キリスト教をちゃんと理解していると言いがたい者が何を言う、
てなもんかもしれないけれど、
考えるんじゃなくて、感じたこと。

今から50年以上も前のアメリカにこんな女性がいたんだ。ほんとにいたんだ。

クロウスタジオは縛りやSMの入った作品を、高級顧客に個人的に販売していた。
その顧客の一人であるらしい、ある青年が変死(おそらくセルフSM中の事故?)し、
「こんな写真を見なければ息子は死ぬことはなかった」と
彼の親(上院議員)がクロウスタジオを訴える。
その裁判の後、ベティは引退し、教会で布教活動をする静かな生活へ。
アーヴィング・クロウはその後の当局の追及をおそれて
「在庫の写真やネガをすべて処分するんだ」と義妹に命ずるが
写真を焼きながら、ポーラはそっとベティの写った写真やフィルムをポケットに隠す・・・
そのラストシーンには涙が止まらなかった。
フィルムの中の、愛想をふりまき踊るベティの姿には
人生を愛するエネルギーがみちあふれて、それが見る人を幸福にする。
実際には思い通りにはいかない人生であったにしても
彼女が人生を愛し神を信じていたということがわかる。
もしかしたら、カメラの前で彼女自身は
神様の「人たちよ、自分を愛し人生を愛せよ」というメッセージそのものだったのかもしれない。

グレッチェン・モル演じるベティはとても可愛く、女のわたしでも魂を鷲掴みにされた。
ベティ・ペイジという人を、この映画の説明の中でしか知らないわたしにとって
本人の生き方が与えた感銘なのかグレッチェン演じるベティだからこその感銘なのかは
判然としない。だけどとにかく魂鷲掴みである。

詳細評価

物語
配役
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映像
音楽

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