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ベティ・ペイジ (2005)

THE NOTORIOUS BETTIE PAGE

監督
メアリー・ハロン
  • みたいムービー 90
  • みたログ 205

3.12 / 評価:50件

ベティのその後

  • syaorie1124 さん
  • 2008年1月2日 18時27分
  • 閲覧数 795
  • 役立ち度 25
    • 総合評価
    • ★★★★★

私は昔からきらびやかな世界の暗黒面や、美しく華やかに見える女の心の闇、美しさゆえの悲劇、転落していく過程やそれゆえの狂気などに異常な興味があり、具体的にはマリアンヌ・フェイスフルやブラック・ダリアことエリザベス・ショート、フランシス・ファーマー、マリリン・モンローなどが興味の対象でした。そしてこのベティ・ペイジという人もそういう意味でずっと興味のある女性でした。

で、この映画が公開されたわけですが、映画としてはイマイチだと思いました。私はベティに非常に興味があるので退屈はしなかったのですが、それほどの興味を持っていない人が見たら退屈な出来ではないでしょうか。

彼女が父から性的虐待を受けていたこと(それを匂わせる程度の描写)NYでの屈辱的な事件などもあっさり描かれ、それが彼女に及ぼした影響なども全く感じさせず。

信仰深い彼女があっさり裸になった理由は私にはよく分かりませんが、おそらくその性的体験が影響を及ぼしているのではないかと思っていたのですが(裸体をさらし、自らの性を公然と開放することで、本人は無意識ながら、それらの屈辱的性体験をも脱ぎ捨てるような、きっとそんな心情かな、と)そこは全然描かれず、それならその虐待を匂わせる描写もNYでの事件もいらないだろうと思ったのですが。
ただこういう事がベティの身に起こりましたと、出来事を淡々と描き出すだけで、彼女の内面に迫ることもないので、心に触れるものが何もないんです。

ただ、映画を見ていて思ったのが、彼女自身はまったく悪意も策略もない、明るい健全な女性で、それゆえSM写真というものを問題視されたり、それがある種の異常な性癖の持ち主たちに病的な興奮を感じさせるものであることがよく分からなかったのかもしれないなと思いました。撮影しているときの冗談っぽい雰囲気のまま、それをみた人も冗談にしかとらえないものだと思っていたのかもしれません。そういう意味ではKYですね、ベティは。

しかしこの映画で一つだけ素晴らしかったのは、ベティを演じたグレッチェン・モル。彼女のことは以前つまらん女優だ、可愛いだけの女優ではないか!と思っていたんですが、びっくりです。
あの無邪気で生き生きとした笑顔、健康的な肉体、全身から魅力が溢れていて、ベティとはこんな女性だったのか!と思えたのが、この映画唯一の美点でした・・・がしかし、実はだからこその気味の悪さも感じました。

以前ベティについてネットで調べていた時、非常に気味の悪い写真に出くわしたことが有りまして、それは個人宅と思われる場所で、下半身裸のベティが、正面を向いて椅子に座り、思いっきり足を広げている写真でした。ベティの表情は無邪気そのもの。そういう写真が何枚も載っていましたが、どの写真でも下半身を露出した彼女が笑顔で写っていました。
ピンナップでの笑顔と、ボンテージ写真での笑顔、そしてこの猥雑な写真での笑顔。どれも無邪気そのもの。
私は彼女を可愛いともエロティックだとも思わず、非常に気持ち悪く感じました。この映画で描かれたような健全な精神と健康的な魅力の持ち主であるベティが裏ではこのような写真を撮っていた、という事実に、余計に薄気味悪さを感じてしまいました。

本によるとベティは酔っていて、その手の写真は個人で所有するだけのものと思っていたそうで、結局それを金で売ってしまった者がいたようです。そして私もそれを見てしまったわけですが・・・

基本的には酒もたばこも、もちろん麻薬もやらず、ハリウッドの重役やハワード・ヒューズの誘いも断っています。(もしも誘いに乗っていたら、彼女はハリウッドスターになっていた可能性も充分にありえるし、ビリー・ニールとの結婚中、妊娠したベティはスクリーンテストを蹴っています。スターの座より家庭を優先したのです。結局流産してしまったのですが・・・)スターになるために体を売るようなことはしない女性だったのです。
その行動と精神のアンバランスさに、この女性の不可思議さを感じます。

映画では最後ベティが信仰に救いを見出し、そこで終わる。

しかしベティのその後には悲惨な人生が待っていた。
過去の自分の行動への罪悪感からか、狂信的なキリスト教徒になってしまい、宗教は彼女に狂気をもたらし、暴力的妄想を生み出し、ついには何件もの殺人未遂を起こし、精神病院に入院・・・。本で見た彼女の1972年の写真は、美貌のかけらもなく、太り、やつれた痛々しい彼女の姿。

美しく生まれたがゆえの栄光と悲劇、真面目な性格ゆえの矛盾と罪悪感、神を信じるがゆえの狂気・・・というところまでこの映画は描いていませんが、ベティに興味のある人は見て損のない映画、それ以外はイマイチ楽しめない映画、といったところでしょうか。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

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