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ウォーリー (2008)

WALL・E

監督
アンドリュー・スタントン
  • みたいムービー 830
  • みたログ 5,951

4.15 / 評価:2,391件

ピクサーとして、実は大きな冒険をした作品

  • zin***** さん
  • 2008年12月12日 18時45分
  • 閲覧数 3417
  • 役立ち度 233
    • 総合評価
    • ★★★★★

これまでのピクサー作とは、かなり違った創りである。
一言で言うなら、真骨頂のファンタジー色を抑え、
リアル感を強めた。
そんな“別の土俵”で表現して、なおこの出来。 凄い。

魚や車を人間の様に扱い、
ネズミが愛らしく料理をする…。
ピクサーのそんな独創性を強調するのは、大袈裟に、
それでも嫌味なくデフォルメしたキャラクター達だった。 
(人間キャラもそう)
そして、背景は時にリアルで幻想的。 こちらも見応えある。

だが、アニメは動いてナンボ。
ピクサーのピクサーたる所は、
シュパシュパパと小気味良く動く、キャラ達の“タイミング”の良さ。
基本はリアルながらも、オーバーアクション気味…これが良い。
“アニメーター勘”の成せる技だ。
かつ。 呆れる程練りこまれたドラマ。
これが変わらぬピクサー色…と思っていた。

が。 今作は珍しくもデフォルメ色が少ない。
いや、極力デフォルメしていない。
ウォーリーもイヴも、お得意の擬人化はなく、実写感覚に近い。
手に触れられそうな、“質感”さえ感じる。

ウォーリー達だけじゃない。 冒頭の地球~ゴミビル群~砂嵐。
もはや実写映画である。
確かにこれまでも、画のリアルさが目を引きはしたが、
それは“らしい”範囲に止めていた。
今作は、それを行き着く所まで描いた感じだ。
カメラワークから大気感まで、まさに《実写感》。
(今回、実写の人物画をハメ込んだが、それで違和感がないのが証か)

だから今作は、ピクサーのお得意芸を封印した気配すらある。
だが。
『成程』と思ったのは、このリアル感が似合う話だった事。
打ち捨てられた地球・人類のはかない希望…
SFとしての風格を必要とする話がそこにある。
だからリアル指向のキャラと映像になった。

擬人化したキャラなら、こうはいかなかった筈だ。
何故か?
2機のロマンチックな“想い”は、周りがドライな世界でこそ浮き立って観える。
きらきらファンタジー世界では、ロボット同志の“夢々しい感情”さえ、
“当り前の事”になってしまい、感動が薄れがちになる。
だから、この一風無機質な世界観の画にした。 擬人化しなかった。
キャラを生かす世界観なのだ。
こんな世界でも、変わらぬピュア心がある…と。

ウォーリーやイヴの動き。セリフがなくても感情が伝わる。
絶賛も判るが、案外、生粋のアニメーターはそっちの方がやり易すかったりする。
【トムとジェリー】なんかもセリフはないし、
日本だと【名探偵ホームズ】の製作中止時に、
音・セリフのないフィルムだけを公開上映して、好評だった。

動きだけで笑いを取ったり、感情を表わすのはアニメの基本だ。
ウォーリーやイヴ、モーにも、
手と足、目に相当する部分はちゃんとある。
これを使って、かつ全身を使って表情を出す。
“絵”を動かしたくて仕方ないのが、生粋のアニメーター。
動きだけで観せる…こんなに燃える“仕事”はあるまい。

そうして“気持ち良く”“伝わる様に”“よく動かし”、
アニメの真骨頂を見せてくれた。
心地良く動くアニメは、もうそれだけで引き込む力を持つ。
ピクサーのアニメーター達の基本力と、レベルの高さがある。

伝わったのは、“笑い”だけじゃない。
ウォーリーが男の子である事、
几帳面である事、ややヘタレな事、優しい所。
イヴは現代っぽく男勝りで、意外に一途で、不器用で、そして女の子である事。
イヴの“指令”をかなえたいウォーリーの一途さ。
それに気付くイヴ。
映画はそんな2機の“気持ち”をずっと追って見せてくれる。

ただウォーリーはイヴを。 イヴはウォーリーを。
その想いが2機をつき動かした。
ただそれを、確実に伝えた。

だからラスト。
我々は、今作がとてもピュアな《ラブストーリー》であった事に、改めて気付かされる。
これが感動につながる。

2機が新しい地球の1ページの鍵を持ったのも、
“退化”した人間達に、何かの影響を与えたとしても、
それは付いてきた結果にすぎない。
結果的に周りの何かが変わっていくなら、
それは、2機の“心”が生み出した“パワー”の影響なのだ。

後半、人間キャラが出てきてから、いつものピクサーらしい色は見られる。
が、今作は、あの色鮮やかなデフォルメ世界観とは違う、別の山頂を目指した作品だ。
【レミーのおいしいレストラン】で完成された、ピクサー作品群とは別の頂である。
今作に、『?』を感じる方がおられたら、多分それだろう。

ただ断言する。 今作の頂は、決して低くない。
むしろ、他の作品との比較さえ難しい程…高い。
リアル感と、それによって描き得る、品格あるSFと夢々しい恋物語。
そんな山頂を1作で創り上げた、ピクサーの力と、感性。
クリエーター達が創造力を存分に発揮できる、社としての環境の素晴しさがある。

詳細評価

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