あらすじ・解説
1936年のドイツ、ベルリン。パスポートや紙幣など、あらゆる偽造を行うプロの贋作(がんさく)師サリー(カール・マルコヴィックス)。犯罪捜査局の捜査官ヘルツォーク(デーヴィト・シュトリーゾフ)に捕らえられた彼は、マウトハウゼン強制収容所に送られる。そこは犯罪者の送られる刑務所ではなく、ユダヤ人を対象にした収容所だった。
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作品レビュー(220件)
- tos********
3.0点
戦前、ドイツで一流の贋札作りだったサリーが、ヘルツォーク捜査官に逮捕される。戦中、ユダヤ人だったため強制収容所に入れられたサリーは、ナチスドイツのベルンハルト作戦のために、外国の贋札作りを強要される。 隔離され生きるために贋札作りを行うユダヤ人たちは、それがナチスに加担することになるという葛藤に苦しむ。しかし解放された瞬間、隔離外のユダヤ人たちの悲惨な姿に、優遇されていた自分たちとの差に衝撃をうけ、それはまた彼らを苦しめたことが容易に想像できます。解放された喜びの方が多く、優遇されていて申し訳なさそうなところを、もっと描いても良かったと思いました。
- oir********
3.0点
このレビューにはネタバレが含まれています。 - jir********
5.0点
映画はやはりほとんどの人が非日常を求めてみるもので、ヒトラーをテーマにした映画はその非日常がリアリティとともに描けることから、ほとんどのヒトラー関連の映画が面白い 今回のヒトラーの贋札も相当面白かった まず主人公のキャラクターがいい 気骨のある感じと演じる役者の雰囲気が人間性をわざわざ語らずとも伝わってくるものがビシビシあった そして肝心の偽札作りに対しても脚本を書いた人が何でこんなに詳しく知っているんだろうというほどリアリティがありおみそれした こういうのって一体どうやって調べているのだろうと疑問に思う ただヒトラー物でもドラゴンが出てきたり空想 SF ものがあるのでそれらはつまらないけど今回のは事実に即したとても素晴らしい物語であった
- sou********
5.0点
映画になった戦慄の実話100という本で、実際に贋札制作に関わったユダヤ人達の写真が見れる。キャスティングは、かなり実在の人物を意識して行われたのがわかる。似た雰囲気、容姿の俳優たちだ。 本には、脚色部分など書いてあるが、エピソードの多くは実際の出来事がかなり反映されているらしい。 登場人物の、アドルフ・ブルガーの回想録が基になっているらしいので、いつか読んでみたいものだ。 そもそもが、強制収容所という、現代人には理解し難い過酷な環境において、極めて特殊な扱いを受けていた囚人たち。この複雑な状態を観て、簡単な感想など述べる事など、僕にはほとんど不可能だ。 例えば、卓球台のエピソードは実話らしいのだ。教科書で知る強制収容所と、全く異なる環境にも感じるし、同時に常に死が側にある環境でもある。この複雑さが、他の強制収容所を描いた映画とは一線を画す。 いろんな映画で、いろんな人生が描かれてきたが、僕はそれらを観て、良いと思われる生き方を考える教科書としてきた部分もある。 正直、この映画の環境で、誰のように振る舞う事が出来るのか…。判断に迷う。大義、正義は理解出来る。だが、目の前に居る仲間を裏切れるのか…。答えなど見つける事は出来ずに、ただ生き残る事だけに専念しそうな気がする。 この映画にある感情を、一度は観ておいて良かった思う。 今後も、時折考えてみたいテーマだ。 ストーリーの奥深さと同様に、映像も素晴らしい。カメラワークはかなり気に入った。オープニングから、好みのカメラワークと一瞬で理解出来た。僕は、かなり好きなカメラだ。 音楽は、ほとんど気にならない存在だったが、エンドロールの曲は良い。ジャンル的に詳しくないが、メロディアスで好きだ。
- kyo********
4.0点
ナチ占領下でのユダヤ人収容所における残酷物語です。同じような映画を見るたび身につまされます。ドイツ映画であるところにより現実感があります。 贋札作りのマニアックな解説を期待してはだめです。ポンド紙幣にボロ布の繊維が混入されているのを発見して偽造に成功するといった話くらいでしょう。 ガス室殺人はないが人権皆無の飼い殺し状態が描写されています。 贋札を米英にばらまき経済混乱をたくらんだ実話があったらしい。収用所で偽札作りをさせられることで「優遇」され生き延びたユダヤ人の話です。 主人公は戦後も闇社会で幅をきかせている。ふとして過去の記憶が思い起こされ、今の人生と戦中戦後をへて世界の無常と恒常を諦観する…というお話。 ナチによる「ホロコースト」は600万人のユダヤ人虐殺という空前の事実を有無もいわせず人々の脳裏に焼きこみます。 戦争がもたらした残酷は枢軸国側によるものだけではありません。連合国側による無差別爆撃さらに原爆、戦後のドイツ人収容所や終戦間際の民間人への迫害、大陸での日本人陵辱殺人や抑留など枚挙に暇ありません。それらに対しても圧倒的なイメージで「ホロコースト」は覆いかぶさってきます。 「ホロコースト」のディテールや規模に関する批判には「歴史修正主義」という悪のレッテルが貼られます。 ドイツ人にとってもこういう映画を作り続けることは重要なのでしょう。 単純に見てしまうとこれは教化もしくはプロパガンダの映画の一つかもしれません。 日本に置き換えて見ます。 ホロコーストはナチの政治犯罪であり「戦争犯罪とは区別されるべきものだ」と主張するとそこでも「歴史修正主義」と非難されるようです。 つまり日本の行為をドイツの行為と同列に扱い「ホロコースト」と重ね合わせることで「戦後体制」のくびきを解かない政治目的がそこにはあります。 歴史は今を生きる人間にとって都合よく解釈され利用されます。 歴史の事象の中で生きているという意味ではこの映画の登場人物たちもおそらくそうでしょう。 戦争犯罪者は裁かれ刑に処せられました。また戦争犯罪に加担させられた人々のうち刑を免れた人は戦後を生き延びました。 あの数年間の地獄はたんなる「悪夢」だったのか。 主人公(ユダヤ人)は今の(戦後の)自分を否定して次の人生へとスタートしようと決意したのでしょう。「悪夢」の中から受け継ぐものをみつけて。 他方ドイツ人たちどんな戦後の人生を送ったのでしょうか。 戦後を生きるとはドイツ人ドイツ社会も日本人日本社会も似たような妥協と諦観だったのかもしれません。
スタッフ・キャスト
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受賞歴
アカデミー賞第80回