あらすじ・解説
1970年代のパリ。弁護士の父(ステファノ・アコルシ)と雑誌記者の母(ジュリー・ドパルデュー)を持つアンナ(ニナ・ケルヴェル)は、名門のカトリックスクールに通うお嬢様。しかし、スペインで反政府活動を行っていた伯父の死をきっかけに、父と母は社会的良心に目覚め、アンナと幼い弟を残してチリへ旅立ってしまう。
シネマトゥデイ(外部リンク)
作品レビュー(58件)
- ayu********
4.0点
ネタバレ可愛いだけじゃない!
このレビューにはネタバレが含まれています。 - 一人旅
5.0点
ジュリー・ガヴラス監督作。 1970年代のパリを舞台に、共産主義に傾倒する両親を持つ9歳の少女アンナの成長を描いたドラマ。 『Z』(1969)『背信の日々』(1988)『ミュージックボックス』(1989)の社会派映画の巨匠コスタ=ガヴラスの実の娘ジュリー・ガヴラス監督の長編デビュー作。1970年代のパリを舞台に、スペイン貴族出身で弁護士の父と雑誌記者の母がある日を境に共産主義に傾倒した結果、それまでの恵まれた生活が一変する様子を、厳格なミッションスクールに通う9歳の娘アンナの視点で描いてゆく。 シャルル・ド・ゴールの死、アジェンデ大統領就任によるチリ社会主義政権の成立、スペインのフランコ独裁政権、反体制を訴えるパリのデモ行進、チリ・クーデターによる社会主義政権の崩壊など、1970年代のフランス国内外の情勢を色濃く反映した内容。チリのクーデーターに関しては監督の父コスタ=ガヴラスがジャック・レモン主演で『ミッシング』(1982)を撮っているので、本作にもその影響が見られる。 テーマは少女アンナの成長。アンナはさまざまな“価値観”と触れ合ってゆく。共産主義という価値観、ウーマンリブ運動という価値観、厳格なミッションスクールが子どもたちに強制する価値観…。世の中に存在する無数の価値観、そのどれもが人によっては正しく、人によっては間違いである。絶対的に正しい価値観など存在しないことに気づいたアンナは、ひとつの価値観を盲目的に信じ続ける父親や母親の姿を見て子どもながらに疑問を抱いてゆく。さまざまな価値観に囲まれながら、やがて自分なりに考え理解する力を身に付けてゆくアンナの姿が感動的だ。そして、アンナと転校先の公立校に渦巻く“無数の価値観”との初めての遭遇を表現した、長回しのラストカットが秀逸。 主人公アンナを演じた新人ニナ・ケルヴェルの演技が素晴らしい。常に不満を抱いているようなふくれっ面が逆にキュート。自分が信じた価値観の敗北を知り、一人窓辺に佇む父親の手に優しく触れる姿も印象に残る。
- goo********
2.0点
すべての人間がそうなのかなって・・ 小さい時に親に教えられたことや、関わっていく人と話すなかで思想が一変したり。興味のなかったものごとを考え始めたり。。。 教える時期って難しい・・それも親の判断になる。 この映画の女の子は小さいがいろいろと興味をもっている。おかしいと思いながらも親の教えに従ったり。意味はわからないけど覚えた歌を歌ってみたり・・子供ながらに受け入れようともがく少女の姿は大人になった自分からみると切なくなる・・
- ish********
5.0点
この作品で描かれる1970年代のフランスやキューバ、チリ、スペイン等の政治・歴史的知識がほとんど無いのでネットで軽く調べつつ鑑賞しましたが、殺伐とした描写は一切なく、ほのぼのとした雰囲気で小難しい説明も無く、観やすい映画でした。 情勢と家族に振り回される少女が、共産主義について語る両親やカトリック学校の教師に投げかける鋭い疑問には、観てるこちらも一緒に考えさせられます。 終始子供の目線で笑いも含めて描かれるので退屈もせず、教養も深められる、ヒューマンドラマとしてもしっかりしている、という素晴らしい映画でした。
- ryo********
4.0点
両親が急に共産主義に目覚めたら?1970年のパリを舞台に複雑な政治的背景を持つこの作品は、娘であるアンナの視線で物語が進んでいく。当時の時代背景が分からないと物語を理解するのが難しく(冒頭に字幕処理するが説明不足)、政治的思想が余り無かったり興味の無い人が多い日本人には特に難解に感じる所がある。私自身がバカだと言うのが一番の理由だが。 弁護士である父と雑誌記者の母。裕福な家庭に生まれ何不自由なく暮らしてきた家族の生活が、両親が共産主義に目覚めた為一変する。狭いアパートに引越し、好きな宗教学の授業も受けさせてくれない。家には知らない人(同胞者)が毎日大勢訪ねてきて夜な夜な議論をしている。親は共産主義の精神を子供に教えたいが、子供にしてみれば自分也の世界を持っておりそれを壊されるので常に反発する。 子供にとって親のしている事など分かるはずも無く、何とか自分の世界を守ろうとするアンナ。彼女の視線(というか目線)で進むこの作品のキモといえる二ナ・ケルヴェルの演技・存在感には度肝を抜かれた。常に仏頂面で文句ばかり言っているかと思えば、時折笑顔を見せるのが余計に可愛く見える。弟フランソワ役のバンジャマン・フイエも素晴しく、姉とは逆にどんな状況にも順応し対応する(深く考えてないとも言える)弟役を自然に演じていて、子役のレベルの高さに2度ビックリ。 親に反抗してばかりのアンナだが、次第にその考え方に変化が出てくる。周りにいる主義主張の異なる様々な大人達の様々な意見を聞いていく内に、自分なりに考え結論を出していくようになり、今迄の凝り固まった物の考え方でなく多角的に考え自分の世界観が広がっていく。その際大人達がアンナに対して問い掛けや説得をするがその問答がとても面白く、是非観に行って確認して欲しい。 時代背景として父親の祖国チリのアジェンデ政権の誕生と崩壊、それに対する政治的活動、記者である母親が当時法律で禁止されていた人工中絶を支持する記事を載せるというウーマンリブ運動など、アンナの気持ちの変化に重要な位置づけの出来事は、知っていた方がより深く理解できるのは間違いない。が、この映画がキッカケで調べてみるも良し、分からなくても子供達の演技を見るだけでも価値がある作品ですよ。
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