レビュー一覧に戻る
ぜんぶ、フィデルのせい
2008年1月19日公開

ぜんぶ、フィデルのせい

LA FAUTE A FIDEL!

992008年1月19日公開

atj********

5.0

ネタバレ結局、自由って難しいのよね。

この映画、見たかったのよ。とっても。ずっと前に、沢木耕太朗さんが新聞でレビュー書いてて、うわぁおもしろそう、、、だけど、単館上映系だからこっちではやらないかなぁ、なんてあきらめて、記憶はすっかり頭の隅っこに押しやられてた。でも、さすがにサ○ンシネマだわ(はぁと)。この間の「ボスニアの花」見に行ってもらった冊子に、なんだか気になる題名が・・・・うぁぁっっっっ、今日までだわ?おまけに朝からの一本しかないじゃない? ということで、2日酔いではありましたが、私にしては早起きして行って参りました。そして、やっぱり行って良かったよ~。こんなにおもしろい映画、久しぶり~ 映画がおもしろくないと、カネ返せって(心の中で)叫ぶんだけど。この映画は、多分DVD買っちゃうな。ツボだなぁ。松子以来の、大ヒットだわん。 この映画は、ちょっとばかり社会情勢の難しげな映画で、もし見に行かれる方は多少予習していった方が、映画の描き出す少女の気持ちの変化や、大人たちへの優しい目線、いろんなひだひだを理解する余裕ができると思います。 とにかく、アンナが可愛らしく、こんなストーリーであっても、またもやおバカな私は涙がだぁだぁ・・・ちょっと大げさだな、滲んできました。彼女を取り巻く大人たちの、ちょっぴり周りが見えなくなっちゃうほど活動にのめり込んで行く様子は、ともすれば批判的な描き方になりがちだけど、この映画はそんな彼らに対する視線もとっても優しい。 突然目覚めちゃった両親につれられ、狭いアパートに引っ越し、夜も昼もお構いなく鬚面のオトコたちや、眉間にしわを寄せたオンナたちが出たり入ったり、タバコの煙に包まれ、ワインを飲み、熱心に話し合い・・・。そんな彼らに反発しながらも、アンナはいろんな質問を投げかける。この質問がね、子どもならではの、単純で深い、本質を突いてる質問なのよ。それに対して周りの大人たちはバカにすることなく、ちょっと困った顔をしながら一生懸命答えようとするの。きっと大人たちも、彼女のこんな問いかけで成長して行ってるんだろうな、、、 そして、一見無秩序な混沌に包まれた状況で、アンナは次第に自分の居場所を見付け、状況を理解していくのよ。そのけなげな過程がとっても幸せで、幾つか泣けちゃうポイントがあってね。あまりにネタバレになるから詳細は書かないけど。特に、エンディング間際のアンナの成長を象徴的に表すようなシーン。これはもう、やっぱりすぐに明るいところにいけないくらい泣けちゃった。あぁ、なんて涙もろいんでしょう、最近のあたくしって。 この間見た「ボスニアの花」でも、親子って良いなと思ったけど、この映画で描かれる親子もとてもステキだった。そう、家族の愛の物語を堪能したいなら、予習してから見た方がいいね。じゃないと、けっこうストレスたまると思うよ。いろんなテーマにあふれてるしね。社会主義革命とか、女性の中絶問題とか。 そして、大きなテーマ、これはやっぱり、自由の意味だとおもうんだな。伝統的で敬虔なカトリック教徒の創り出す、一見平和で清潔そうな秩序ある世界に対して、いろんな価値観がゴッタ混ぜにされ、子どもはあまり知らされないようないろんなオトナの事情がちりばめられた無秩序のカオスの中にアンナは放り込まれてしまう。何が正しいのか、とか、どうすればいいのか、ってことは語られていない。いろんなことを知り、その情報の中から自分の考えを構築していく。 そして、そんなアンナの目線、これはね、抽象的な目線ではなく、まさにカメラの目線がアンナの身長に置かれているの。子ども時代がなんとなく懐かしくなったわ。目的とか、行き先とか分からないままに、親につれて歩かれていた頃の、匂い、みたいなものまで、思い出しそうになったわ。 あらゆる所に、いろんなひだひだが仕込まれていて、もう一度見たらまた新しいことに気付けそうなの。社会派大好き人間には、たまらない映画でしたわ。 これで、今日のお酒も、おいしいわい。

閲覧数174