2007年12月15日公開

イッツ・ア・ニューデイ

702007年12月15日公開
イッツ・ア・ニューデイ
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作品情報上映スケジュールレビュー

作品レビュー(3件)


  • taj********

    3.0

    だめな人、すごい人、ある一つの視点。

     コミュニケーション不在の時代といわれます。「イッツ・ア・ニューデイ」は、見かけは正反対の男女の日常と心の交流を描いた映画です。主人公はふたり。東大卒なのにダメ社員の甲斐智成(時津真人さん)と、フランスでMBAをとったのに派遣社員の柚月沙織(青山倫子さん)。絵に描いたような対極のふたりですが、実は似た者同士ではないのか、という気がしてきました。  とりあえず、沙織がいつも着ている真っ白なスーツと甲斐の黒ずんだ背広姿を取っ掛かりにして、ちょこちょこネットを調べると、白は清潔、身ごなしのよさを象徴する一方、純色ならではの潔癖さ、他者への警戒心を象徴するそうです。白色が光を多く反射するせいなのですが、あまりにも発光が強いと、パノプティコンの看守のように、中身は空虚、本人不在の可能性もあります。で、ダメダメ男甲斐の黒色。重厚、引き締まったイメージはむしろデキる同僚・森下健之(赤塚篤紀さん)のもので、甲斐は不吉や恐怖、コンプレックスといった負の看板を掲げているようでした。しかも、抑圧を感じるときに黒を着ると、余計に殻へ篭ってしまう危険があるそうです。追い討ちをかけるように、ストレスのあまり甲斐は「心因性難聴」に陥り、唯一声の聞こえる沙織以外とは話せなくなってしまいます。ちなみに舞台は、対話力がすべて(らしい)という商社のオフィス。だから、難聴はいっそう深刻に彼の心に響くことになります。  表面は違えども、「他人と自然に交流できない」共通の悩みを抱えるのが沙織と甲斐。いろいろ言葉を使いましたが、実際に本作をご覧になれば、かなり直感的にふたりが同根同類だと気付くのではないでしょうか。それくらい、「イッツ・ア・ニューデイ」の視点はひとつ明確ですし、人によっては「設定が一面的すぎる」と批判されるかもしれません。  にもかかわらず本作が秀逸だったのは、「本人が望んでそうなったのではない」という、喫契の社会問題をさりげなく織り込んでいた点でしょう。甲斐がわかりやすい例で、彼はダメ社員といっても会社への貢献は忘れていない人物として描かれます。頼まれた仕事は責任をもってやるし(難聴のせいでそれが仇となるのですが、観ている僕らは勝手に笑うだけです)、同僚森下のミスを「誰がやったって同じですから」とすすんで泥をかぶります(これ、「企業は、身内とではなく外と戦っているのだ」という忘れがちな基本事項ですね)。腐っても東大卒(笑)なのですから、どこかでボタンを掛け違えたにちがいありません。  沙織も、一人息子との時間を守るべく、MBAをもちながら低給の派遣社員を続けています。シングルマザーであることすら会社には明かしません。  何気なく「東大なのに」「MBAなのに」と書いていますね。そう、「東大卒/MBAは斯くあるべき」という、外部からの無言の圧力が、僕らを、そしてふたりをいつの間にか縛っているのを、見逃すわけにはいきません。  そういうわけで、もはや甲斐や沙織のストレスは外因性なのか自分が原因なのか、誰にもわからないのが本音だと思います。甲斐が駆け込んだ診療所の医師はホワイトボードに書きました。「薬はありません。ま、経過をみましょう。」…甲斐ならずともあんぐりです。診療代返せよ!  ところが、誰にもどうにもならないこの“病”のソリューションはおそろしく単純なところにあるんだよ、と、この映画は教えてくれました。それは、あまりにもありきたりな言葉ですが、「心のつながり」。所詮真理は簡単なところに宿るときたもんだ。このあっけなさをどう感じるかで、「イッツ・ア・ニューデイ」は、観る人の中で佳作にも駄作にも転じるでしょう。個人的には、さすがに「心のつながり」に至れる過程をもっと描くべきだったかな、と思います。後半の描写はかなり正直で良かったのですが、そもそものコトの始まりが「結局、甲斐が沙織に一目惚れしただけだろ?」と突っ込まれるようではいけません。非常に惜しい3つ星とします。  余談ですが、MBA「なのに」派遣社員という生きかた、一人の女性が責任をどこに注ぐか(仕事or家族?)という問題には有効かもしれません。仕事上の責任が軽いゆえに育児に集中できる(沙織は必ず定時で退社し保育園に向かいます)点で、派遣はひとつの可能性でしょう。ただ、MBAだから融通が効くんだろ…と思うと、一般的な「派遣の悲劇」とは縁が薄く、残念なところです。  僕自身のお話で恐縮ながら、今年の新作レビューはこれでおしまい、4週間ほど南インドで農村調査してきます。登録いただいているレビュアーさん、来年もよろしくおねがいしますm(._.)m。というわけで、ちょっと早いけど「イッツ・ア・ニューイヤー(謹賀新年)!」。これが言いたいだけで、「イッツ・ア・ニューデイ」を2007年のトリにしてみました(笑)。

  • tac********

    2.0

    痛ましい舞台挨拶…

    初日初回の舞台挨拶つきの上映を観て来ました。この作品、東京国際映画祭の中でも上映されていましたし、北区つかこうへい劇団の俳優さん達が脇を固めていると聞いていましたので、昨今食傷ぎみのメジャー系大資本投下型の邦画とは一線を画した、ミニシアター系らしい、ストーリー本位の「掘り出し物」のような作品を期待していたのですが…。 監督は、舞台挨拶の中で「ごくありふれた日常」を描いた作品と言われていたのですが、私の印象としては、監督や脚本家の方をはじめ関係者の方々の中には、会社勤めの経験がある方はいないのかしらと思われるような、一見それらしくはあるものの、私の経験からすれば、やや不自然なオフィスの世界(職場で日中に平然とパターゴルフに興じる上司、定時からわずか1時間でがらんとするオフィス、あまりにも無責任な診療医等々)が描かれていて、舞台が非常に身近な世界であるだけに、違和感を感じざるを得ませんでした。また、心因性の難聴といっても、主人公沙織の声だけは聞こえるという設定自体が受け入れ難く、ストーリーをわかりにくいものにしているように思われました。 それだけに、先行レビュアーの方の投稿にもあるように、上映後の舞台挨拶の時は、それはもう、何とも言えない重い空気が流れていて、こんな雰囲気の中でも、笑顔で挨拶をしないといけない役者さんたちが、可哀想に思えるほどでした。普通、舞台挨拶が控えているような上映の場合は、役者さん達が袖で控えていることが分かっている訳ですから、エンドロール後に、誰からともなく拍手が湧き起るものなんですが、今回に関しては、上映後の拍手は一切なく、その雰囲気を引きずって舞台挨拶に入ったものですから、これまで観たことのないような、ちょっと痛ましい舞台挨拶となってしまったように感じました。 劇団の役者さんたちの芝居は、熱がこもっていて、面白可笑しく観られただけに、脚本や設定の粗さが目だってしまったのが残念な作品でした。

  • fum********

    1.0

    夏休みの昼ドラ

    koshiroseさんに深く同意、です。 上映終了後の、あの独特の雰囲気、お客さんたちのなのともいえない失望の表情…。 ストーリーがあまりに安易で、どこに面白みを見いだせばよいのか。 設定もゆるく、あれ耳が聞こえないはずなのに、それは聞こえちゃうの?なにかの伏線か?と思ってたらなんでもなかったり。 映画にはいつもかなり甘い評価をくだす私でも、さすがに…といった感じでした。 映画館で見るものではないかな。夏休みの昼ドラマであれば…。

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