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イントゥ・ザ・ワイルド
2008年9月6日公開

イントゥ・ザ・ワイルド

INTO THE WILD

1482008年9月6日公開

yuta

4.0

Sean Penn

人生を描く映画は多いが、3層で描く作品は初めて見た。 ショーンペンの監督・脚本としての才能を痛感した。主人公が普段の生活に嫌気がさして、これまでの全てを捨てて、旅に出るという、いたって映画的なストーリーなのだが、そのストーリーの進め方が魔法のようだった。 この映画は3つの層になって物語が進んでいく。 ・主人公クリス(アレックス)が一人で旅をしていくストーリー ・妹カリーンのナレーションで息子が出ていった後の両親を過去のエピソードを交えながら語っていくストーリー。 ・主人公が旅の終盤見つけた、マジックバスト呼ぶバスでの数ヶ月のストーリー。 その3つの色合いは大きく違いながらも、相互に関係し合いながら、視聴者を引っ張っていく、勢いが凄まじかった。3つの話の中に出てくる人物の数が大きく違う。最初のメインストーリーは、クリスとクリスが旅で出会う様々な人々。2つ目のナレーションのストーリーはクリスの家族4人。最後のマジックバスでのストーリーはクリス1人。この人物の違いがストーリーを進める大きな真となっており、人とのつながりというものと、1人の人生というもののコントラストとハーモニーを描いている。ハーモニーをえがいているときは、とてもオープンで色々なことが起き、出会いや別れが連続し、一歩ずつ歩みを進めていく主人公。一方コントラストで、孤独や生きるということ、自然を描くときには、一歩立ち止まって自分を見つめ直すこと、一歩立ち止められて、後戻りをすることなど、リズムが落ち着く。この2つがとてもバランスよく構成されている気がして、全く単調ではなく、次にどのような人が出会うのか、どのような場所に行くのかというワクワクが止まらなかった。 さらにはそこに音楽が飾り付けをする。劇中実際に歌われる音楽から、バックグラウンドミュージックまで映画に占める音の割合というのは、本当に大きいんだなと実感させられた。音楽は0から1を作るというよりも、5や6を9や10にまで持っていくような役割。 主人公があまり途中で大きなものを失ったり、出会う人々から大きなものを学ぶというよりも、出会う人々に何かを残していくというストーリーが多かっただけに、主人公のキャラクターに感情移入するという部分では少し薄かったのかもしれない。むしろ、ドキュメンタリーのような彼の人生を描くことによって、我々の人生に枝を1本増やしてくれるような、バイオグラフィー的なドラマでした。 ジェイ・キャシディの編集の力を突きつけられた。とても自然なのにパワフルな編集、映画一本の中で、一周するような、スタートを思い起こさせ、エンディングにつなげるようなリズムの取り方と、ショットの選び方。リズムの帝王なのか。。。。

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