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ダークナイト (2008)

THE DARK KNIGHT

監督
クリストファー・ノーラン
  • みたいムービー 1,442
  • みたログ 1.4万

4.39 / 評価:7,266件

ヒース・レジャーさんが最高でした

  • ハイジ さん
  • 2008年7月27日 20時43分
  • 閲覧数 5198
  • 役立ち度 272
    • 総合評価
    • ★★★★★

いやぁ、凄かったです。私の中では、この映画の主役はジョーカーを演じたヒース・レジャーさんでした。豪華な俳優が勢揃いの中、彼は一際 輝いていました。闇の世界でですが。冒頭から、恐怖を感じさせるピエロのマスク集団の銀行強盗。その中に、仲間を容赦なく消していく狂ったピエロが一人。このジョーカーと手を組みながらも、いつ家畜の様に命を奪われるか分からない恐怖に内心震え上がっている悪党たち。ジョーカーの行動、言動は確かに冷酷なのですが、彼が殺人を通して楽しんでいる事は、人間の弱さ、汚さ、愚かさを、幸せに暮らす一般人にも証明してやりたいという思いからきているんですよね。
本人は死を恐れていないし、寧ろ、死にたがっている様に思えるシーンも出てきます。あの笑い声と色の滲んだ悲しいピエロのメイク。彼の中で何が壊れて、その傷だらけの心が何を叫んでいるのか。
獄中で、ジョーカーが監守に電話をかけさせて欲しいと要求する場面があります。応じてくれない彼に、「俺がお前の友達を何人殺したっていうんだ?」とジョーカー。実際、何人も殺害していました。その時にジョーカーが語った言葉は、人として酷い言い分なのですが、真実でもある様な気がして、切なくなりました。ジョーカーは銃を使わない。ナイフでゆっくりじっくり人間を死に追いやっていく方が、味わい深いから。人間は死を前にすると、醜い本性が浮き上がってくる。だから、「お前(監守)の友達たちの事は、俺の方がよく知っている」と。
ジョーカーは悪党たちを虫ケラの様に殺します。だけど、市民を殺す時は、究極の選択を与えて、狼狽える人々の心を楽しみます。「この男が60分以内に死ねば、病院を爆破しない」とジョーカー。患者たちを必死で救出する病院の職員たちと、その男を狙い撃ちする人たち。時間切れが近付いてくると、男の身柄を保護する人間が握っている銃を取り上げようとする上司。自分の家族が爆破される病院にいて、目の前のこの男を撃ってしまえる立場にいる人間。この一つの命で大勢が救われる。だけど、人としてそれを実行できるものか?
バットマンの親友とその親友のガールフレンド(婚約者)が、それぞれ遠く離れた場所で、オイル缶に囲まれて爆破されようとしている。時間的に、バットマンが救えるのは一人だけ。声は通じる様になっていて、このカップルの死ぬ間際の会話が交されます。バットマンに、愛する者を救いに行って欲しいか、やっぱり自分を助けに来て欲しいか。映画では、美しい愛のあり方が描かれていましたが、現実には、人間って、男と女って、本当にそういう思いで死を覚悟できるかなぁ、と考えさせられました。子供の命を優先する母親はありだと思うけれど、カップルって所詮 他人だし…と。
船が丸ごと爆破される時にも、選択権が与えられていました。2つの船のうち、1つだけが爆破される。お互いの船にそれぞれ、相手の爆弾の操作キーがついていて、向こうの船を爆破すれば、自分たちの船は無事だという選択。これこそ正に、他人の集団VS他人の集団です。日本では、毎朝 ラッシュアワーに沢山の他人同士が電車の中で肩をぶつけ合っていますよね。もし自分がそんな状況に立たされて、あっちの電車を爆破すれば、あなたの乗っている電車は大丈夫ですよ、と言われたら、自分で手をかける勇気はなくても、乗客の誰かがあっちの電車を爆破してくれないかと望んでしまいますよね。
古い映画に『ソフィーの選択』というのがありますが、メリル・ストリープさんが演じるユダヤ人の母親が、収容所でドイツ軍に子供は一人だけ生かしてやるから選べと言われます。息子と更に幼い娘。半狂乱で迷い、決めかねていると、なら二人とも殺してやろうかと選択を迫られ、子供を一人選んでしまうのです。その罪を背負って、戦後もずっと、母親としての人格を自分で責めながら苦しみ続ける女性のお話です。『ダークナイト』のジョーカーは、そんな苦しみや悲しみを、人々に植え付けようとしているのです。彼自身が父親から受けた様に、他の人間にも、傷を背負って生きる苦しみを味わせてやる、教えてやるという執念。他人の命を犠牲にして生き延びた人間が、その残りの人生を、果してどれだけ幸せに過ごせるものでしょうか。この映画でも、バットマンに救われた親友は、愛する女性の死を背負って、結局は醜い部分をむき出しにして狂ってしまいます。ジョーカーの思い通りです。
バットマンの活躍よりも、見所はジョーカーです。彼は恐ろしい役柄ですが、魅力を感じ、可愛いとさえ思ってしまいました。彼が電話権の為に脅迫する場面、病院を爆破するシーンでは、くすっと笑ってしまいました。映画を観ている人の心まで狂わせてしまう魔力があったのでしょうか。皆さん、ヒース・レジャーさんに酔わされないよう、くれぐれも気を付けてご鑑賞下さい。

詳細評価

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