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上映中

ダークナイト (2008)

THE DARK KNIGHT

監督
クリストファー・ノーラン
  • みたいムービー 1,460
  • みたログ 1.4万

4.39 / 評価:7460件

傑作ゆえに、ずっとレビューできなかった…

  • xeno_tofu さん
  • 2020年7月13日 3時17分
  • 閲覧数 1471
  • 役立ち度 10
    • 総合評価
    • ★★★★★

12年前の公開時に鑑賞して、映画の楽しさをこれでもかと思い知らせて、映画鑑賞の世界に私を引きずり込んだ大きなきっかけとなった作品で、その傑作ゆえに畏れ多く、その良さを書き尽くすことができないためにレビューできなかった。レビュータイトルに反して、とうとうレビューしちゃうんだけどね。

4DXで公開され、胸弾ませ鑑賞。アトラクション演出で現実に引き戻される・・・。しかし、傑作だった。スクリーンを焦げ付かせるような緊迫感は、「本物」であることを示している。まさに、冒頭にそれが凝縮されている。ズームアップしていく高層ビルの窓が突然、突き破られる。それを合図に、映像空間と現実を隔てる幕をも突き破るのだ。

ずっと冒頭から最後まで息もつかせぬクライマックスが続く。通常、緩急をつけて物語を展開するものだが、ほとんど緩まない。インターミッションとなるパートが、すでに次の展開の導入となっていて、次々と状況が変わる。格闘、爆破、カーチェイス・・・迫力のアクションは目が離せなくなる。
有名なシークエンスだが、大型トレーラーは実際にひっくり返した。12年前
といえども、CGでぜんぜんできた演出のはずだが、それを無視するかのように本当にやるとは、狂気じみている。

作品に通底する狂気を体現するのは、ヒース・レジャー演じるジョーカー。今回で5~6回目くらいの鑑賞なのだが、初めてはっきり意識した。ジョーカーの本質を、かなり早い段階でアルフレッドが指摘していた。
「世界が燃えるのを見て喜ぶ連中です」(これはブルーレイ版の字幕から引用)

彼に行動原理はない。ただただ、状況を楽しんでいる。陰と陽、光と影。バッドマンの存在が大きくなるほど、ジョーカーの存在を色濃くする。尋問シーンで、ジョーカー自身がその事実を吐露しながら、バットマンを挑発している。
「お前が変えたからだ、永遠に」「殺しやしないさ。お前がいなけりゃ、ケチな泥棒に逆戻り」
最後、逆さ吊りのままジョーカー自身が言う。「どうやら永遠に戦い続ける運命だぜ」。そう、光は強ければ強いほど、影が濃くなるだけでない。それは分かちがたく、一対(いっつい)になっていて、互いの存在を証明するために戦い続けるのだ。

さて、この映画の凄さはこれだけではない。
ジョーカーの狂気は、ヒースの怪演あってこそだ。だが、ストーリーにおいて実は巧みに、この狂気が演出されている。
表現が難しいのだが、矛盾に満ち、理解に苦しむジョーカーの行動だが、ストーリーにおいては緻密で、無駄がない。
例えば、バットマン、ゴードン、デントの3人による戦略で捕まってみせながら、ラウを取り返す行動だったり。
少数精鋭を気取っていたはずなのに、金を燃やすシーンで「ゴッサムには上等な悪党が似合う」と言い出し、マフィアを乗っ取る。これ、病院爆破やフェリーに爆弾を仕掛けたりするのをやってのける組織力の(乗っ取ったばかりという矛盾もあるが)裏付けになっているんだよね。

ジョーカーが常に揺さぶっていたのは、実はゴッサム市民だ。デントとの病室シークエンス。自身が仕掛けた市長の殺害予告を例に「小さな無秩序で体制をひっくり返す。すると世の中は大混乱に陥る」「俺は混乱の使者。混乱の本質は分かるか? 公平だ」(※最後は英語字幕から意訳。ブルーレイは「恐怖だ」の誤訳だが、あながち間違いじゃないよなぁ。ちなみに4DX版、「公平だ」に直されていた)
だから、次々と無理な要求とともに犯行予告を繰り返し、市民の安全を脅かしていく。まさに世界が燃えることを楽しみ、自身に敵対するバットマンやマフィア、バービー・デントをその炎を強める材料としているのだ。

裏切った方が自身が得するという「囚人のジレンマ」状態を強要された2隻のフェリー。市民と囚人、双方とも自ら起爆スイッチを押さない選択をする。その状況に落胆するジョーカーだが、デントを闇落ちさせる切り札(まさにジョーカー)を用意している。警察やマフィア、ゴードン、デントを陰謀家と突き放して、自分は本能で動いているってのたまわったのに、大きな策謀を仕掛けているんだよね。

ああ、いくら書いても書き足りない。市警本部長の追悼式で実は、ジョーカーが素顔さらしているとか、病院爆破で、スイッチが反応しないシーンとか。アルフレッドのウィットに富んだセリフ。(あれ、美人?と思うことがあるレイチェルのことは黙っておこう笑)。捜査パートは金かけすぎとか。

物語の前半でかなり後半のキーとなる要素を示しているのに、伏線の見せ方が非常に自然なのもすごい。例えば、女性警官ラミレスの母親が入院していることは、ゴードンとの会話でさらっと触れるだけとかね。

なんと言ってもラスト。バットポッドが光の中に突っ込み、タイトル。壮大なアバンだった。そう彼こそ暗黒の騎士、ダークナイトだ。

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