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Girl's BOX ラバーズ・ハイ (2007)

監督
佐藤太
  • みたいムービー 8
  • みたログ 14

3.33 / 評価:3件

内輪でアイドルの自家消費。

  • かんじゅーす さん
  • 2008年3月30日 11時30分
  • 閲覧数 231
  • 役立ち度 21
    • 総合評価
    • ★★★★★

 問題がややこしくなると僕、
「目的は何か?」
 と自問することにしています。それで、「Girl's Box」プロジェクトの目的はといえば
「『アイドル不在』の昨今、シーン自体を盛り上げるため」
 と販売パンフレットに書いてあって、要するに、出演している女の子たちをアイドルとして売りこむ企画というこっちゃ。で、いろいろなメディアミックス戦略の集大成として今回の映画「Girl's Box ラバーズ・ハイ」が制作された、本作はそんな位置づけです。だから、役名が出演者本人の名前に通じるところがあって、フィクションと現実を融合させようとしとるのね。長谷部優さん=優亜、長澤奈央さん=ナオミ、嘉陽愛子さん=愛、斉藤未知さん=未来、星井七瀬さん=奈々。ふーむ。この組み合わせの目的は何なんじゃ?
 「単独じゃ売れんので、まとめ売りで利益を山分けする」(笑)
 そういうわけで、物語や演技以前にキャストありきの映画です。しかもそれぞれの出演者がものすごく小粒。彼女たちを見たいひとだけが観る価値のある一本でしょう。たしかに、初日舞台挨拶回のQ-AXシネマは「その方面」の人々で埋めつくされていました。俺もその一人か?(笑)。

 さて、挫折を経験した少女たちがステージを盛り返すという本作のお話、2006年の「バックダンサーズ!」と基本的に同じ流れでした。avexが背後にいるのまで同じだ(笑)。ダンスと歌(本作)の違いだけです。ただ、本作の展開はより粗雑な印象。一匹狼かつメインテーマ曲「ラバーズ・ハイ」を提供する奈々のくだりは、とくに練りこみが足りなかったと思います。ここをうまく見せれば友情物語として厚みが出たのに。また、閉鎖の危機に立たされたライブハウス「Girl's Box」の売り上げを彼女たちが200%にするプロジェクトXばりの企画はあっという間に達成されて、しかもその手段がアキバでの街頭宣伝。素人目にも甘すぎますね(笑)。ま、何が起ころうが「目的」に従えば大団円はみえみえなので、ハラハラさせられることもありません(笑)。

 ただし現役(半)アイドルが出演しているだけあって、業界の微妙に黒い側面が覗けたのは数少ない収穫でした。ナオミのいう「外見や上っ面じゃなくて、もっと中身を見せようよ」とか、愛が告白する「私ほとんど口パクだったんだ」とか、随所に自戒が込められています(笑)。

 …口パク?

 そう、本作の魅力を大きく下げているのは、主題となるはずの「歌」場面の多くがアフレコバレバレだったこと。「音楽のもつ興奮を伝えたい」と佐藤太監督が言っているのに、歌唱に臨場感がないのはきつい。体の動きだけですべてを表現させる「バックダンサーズ!」のアイデアの偉大さが思いがけなく再確認できました(笑)。クライマックスは、ライヴではなくプロモーションビデオの一種として観るのが適切かと思います。あるいは、Perfumeみたく声に電子処理かければよかったのにとも思いました(優亜の出身地の設定やライブパフォーマンスなど、Perfumeを連想させる場面は多かったです)。いっそのこと、Perfumeを映画にすりゃよかったんちゃうか?(笑)。いまやアイドルの希望はavexでもハロプロでもなくPerfume(レーベルは徳間ジャパン)に託されたのである!

 …筆致がやけに熱いがな俺。ケータイの目覚まし曲設定が「Twinkle Snow Powderly Snow」であること以外、なにもPerfumeに興味はないんだが(笑)。

 閑話休題。撮影技術や編集は見るべき点がありました。白眉は、Girl's Box内で発生した客同士の喧嘩の撮りかた。男たちの殴り合いを音楽にシンクロさせてリズミカルに演出し、引きに移るカメラワークも秀逸でした。スタイリッシュな技術が本作をよりプロモーションビデオに近づけているのかもしれません。スタイリッシュさが上滑りしている感もありますが。

 主演5人の演技は、巧拙を問うレベルではありませんでした。というか、口にする台詞が白々しい気がしてなりません。アイドルだから云々ではなく、人間として存在が薄すぎる印象(あ、言っちゃった!)。だからこそこういう売り出しかたになっていることをわきまえるべきでは。脇役陣では、優亜に声をかけ、Girl's Boxに入りびたるオヤジ役の大槻修治さんが怪演。オヤジのポールダンスなんてうざすぎるぞ(ほめことば)。Girl's Boxのオーナー兼女の子たちの世話役、恵を演じた秋本奈緒美さんも好演でした。

 そういうわけで、キャスト目当てか、ポールダンスオヤジのように「いやー、待ち合わせしてたんだけど待ちぼうけくらっちゃってね~アハハ」な人しか、観る価値はないと思います。観客層の広がりは期待できません。ま、この映画の本来の目的からすれば、それでまったく構わないのですが。

詳細評価

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