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カニング・キラー 殺戮の沼

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5.0

ブルンジ共和国の内戦が背景

 実際に、アフリカのブルンジ共和国で起きた殺戮事件がベースになっている映画だそうです。 ブルンジ共和国、北に隣接したルワンダとともに、東西に、大国、コンゴ民主共和国とタンザニアに挟まれています。ルワンダの上は、アミン大統領で有名なウガンダです。  小国、ブルンジ共和国とルワンダは、多数派のフツ族と少数派ツチ族との激しい確執で多くの血が流されました。1994年、ブルンジ共和国のフツ族であるヌタリャミア大統領が搭乗していた飛行機がルワンダで撃墜され、一緒に乗っていたルワンダのハビヤリマナ大統領とともに殺害されてしまう事件が悲劇の引き金になりました。それがきっかけとなり、あの悪名高いルワンダの民族浄化とも言える大虐殺が始まったのです。また、それは、ルワンダだけではなく、ブルンジ共和国においても、フツ族とツチ族の対立により内戦がさらに激化していきました。  「ホテル・ルワンダ」や「ルワンダの涙」でルワンダの民族間の悲劇は有名ですが、ブルンジ共和国もルワンダ同様、内戦の虐殺による多くの人々の血が流されたのです。  前置きが長くなりましたが、その内戦の真っ只中、さらに人食いワニの襲撃により、子供たちは勿論、多くの村人が被害に遭っていました。  民族虐殺を調査していたNGOの調査員が調査中、この人食いワニ「グスタブ」の被害に遭います。NGOの調査員が白人女性だったことから、ニューヨークのテレビ局で「グスタブ」のドキュメンタリー番組が制作されることになり、敏腕プロデューサー、動物レポーター、カメラマンがブルンジ共和国の奥地を訪れることになります。  彼らは、罠や檻を使い、現地の人と協力して「グスタブ」を捕獲しようとしますが、巨大な人食いワニ「グスタブ」の獰猛さの前になす術はなく疲労困憊していきます。  民族の虐殺が続くブルンジ共和国にあって、彼らを襲う脅威は「グスタブ」だけではありませんでした。  フツ族による虐殺場面をカメラに納めたことで、誰も正体を知らないフツ族の支配者「リトル・グスタフ」からカメラと命を狙われることになるのです。  二つの敵から、いつ襲われるか分らない状態で、彼らは「グスタフ」を追ってさらに湿原に踏み入るのです。   途中、映画はフツ族の支配者「リトル・グスタフ」の手下や兵隊に襲われる方向に話が進みます。人食い鰐の話から外れることから一貫性がないと感じられる方もおられると思います。ただ、映画の舞台がブルンジ共和国ということを考えると、背景に内戦の惨さを無視するのは逆に不自然かなとも考えられます。また、実際に起きた殺戮事件だということであれば、尚更、仮に映画として散漫になるリスクが推測されても、「リトル・グスタフ」という弱者を殺戮するもうひとつの脅威を登場させることで当時のブルンジ共和国の問題点を露わにしようと映画監督のマイケル・ケイトルマン考えたのではないかと思います。  監督は、マイケル・ケイトルマン。今まで彼の作品は知りませんでしたが、この作品に賭ける情熱は素晴しい。音声解説によると、人食いワニ「グスタブ」はCGにより作られましたが、「グスタフ」が暴れ舞うときの川の水飛沫までに細かいこだわりを示し、まるで本物の巨大ワニが暴れているようでした。  だから、「グスタフ」が草むらから現れ、川に飛び込み、狂ったように追いかけ始める場面は戦慄が走りました。ワニは思った以上に早いんですね。しかもあの大きさ、やっと草原にたどり着いて観ている僕も安心しましたが、人間がいくら全速力で走っても到底逃げ切れないほどの「グスタフ」の速さ。気が狂ったように追いかける姿はホント怖かったですね。  民族殺戮により、川に流れた死体を食らったワニが、次第に人食いの味を覚え、巨大になり、さらに村人を襲う悪魔の化身「グスタフ」になったと映画は締めくくっています。 人間同士の争い、憎しみ、殺し合いが作り上げた怪物、それこそが「グスタフ」そのものなのかも知れません。 「グスタフ」は現在も生存しているそうです。そして、未だに犠牲者も絶えないと言う事です。 主人公の敏腕プロデューサーとして「プリズン・ブレイク」のドミニク・パーセルが主演しています。同行するカメラマンは、「ドラム・ライン」に出ていたオーランド・ジョーンズです。  さらにネタバレになりますが、彼には生きていて欲しいと思っていたのに!!もう、可哀想。 でも、彼の思い入れのある子供が助かり、希望していたアメリカに行ける事になってよかったですね。 人食いワニの恐怖だけでなく、ブルンジ共和国のことも少し理解できて良い映画だったと僕は思います。 最後に、あの巨大ワニ、昔、ゲームをした「バイオハザード2」?の巨大ワニを思い出しました。 この映画好きです。

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