くりいむレモン 旅のおわり
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作品情報上映スケジュールレビュー

あらすじ・解説

解説:allcinema(外部リンク)

作品レビュー(3件)

セクシー28.6%恐怖14.3%不思議14.3%かわいい14.3%ロマンチック14.3%

  • ********

    5.0

    高校生たちの狭い世界を生真面目に

    2008年。前田弘二監督。これが長編デビューの期待の監督というのだから、人生経験の浅い高校生たちのそれぞれにとっての切実な問題が、見るものにとってはまったく取るに足りないということはまあいいでしょう。せいぜい問題は「性」であり、人を好きになるとはどういうことかであり、どちらも本当のモノがあるはずだという根拠のない確信である。本当の性、本当の恋。あまりに真剣で、あまりに苦しい。 義理の兄妹の性愛を描いたシリーズの一作。離れ離れになった義理の兄と妹が久しぶりに会ってことに及んでしまう。それを妹の彼氏が見ていてショックのあまり浮気して、という話。しかも相手は同級生なのだからいかにも狭い、高校生の世界。だれもが「自分」大好きで、「自分」の苦しみを語りたがる。 最初の性愛を他所で済ませて、思いのままにならない性愛の苦悩を共有することで一緒に歩んでいこうというラスト。ありきたりといえばありきたりですが、高校生たちの狭い世界は何時の世も変わらないということかも。義理の兄妹の愛とか三角関係とかとは別の、彼らの会話の空虚さ、しかもその空虚さを真剣に語る視野の狭さを、生真面目の撮る映画です。

  • taj********

    3.0

    虚ろなもので充ちている

     理屈とか解釈とか、そういう類のアプローチが効かない映画だと思います。つまり、僕がレビューに苦しむタイプ(笑)。主演のキヨミジュンさんが「監督は『ジャッジをしない』ことをよく言った」と述べていましたが、おそらく善悪虚実あらゆる軸での判断は無理だと、個人的には感じました。とりあえず星3つにしているだけです。  自主映画監督として一部で爆発的な知名度を誇る前田弘二さんの初商業作品です。タイトルどおり「くりいむレモン」の実写版オリジナルストーリーで、「お兄ちゃん」と「妹」のあんなことこんなこともお約束。ただ、本作の外面的な印象はエロ映画ではなく、執拗な長回しと会話の無力感に包まれた、なんとも不思議なものでした。会話がない、カットを割らない、即物的なもりあがりがない、ナレーションがない、ないないづくし映画です。  なにしろ僕「わかりやすい映画」世代ですから、これがこうと指示されないと落ち着かない性質でして、本作に対しては沈黙を決め込もうかとすら思いながらテアトル新宿から自転車で東へ靖国通りを走ってたら、市ヶ谷で大事故があってて…いや、そうじゃなくて、本作は「~がある」という文体ではなく、「~がない」という語りかたが基本なんじゃないか、と頭をよぎりました。集合・反集合という数学の概念がありますが、徹底的に反集合から成る映画だと思います。  というのも、集合部分で語ろうとするとこの映画、あまりにも重すぎる印象だからです。オリジナル版「くりいむレモン」の軽さとエロさ(のみ)を期待していくとやけどしそうです。  そもそも本作の情況は、修学旅行中のひそかな別行動。ご存じのとおり修学旅行は楽しく「しなきゃいけない」もの。なのに、主人公アヤ(キヨミジュンさん)や彼氏ノブ(榊原順さん)、「お兄ちゃん」ことアヤの義兄(宇野祥平さん)、友人エリ(鈴木なつみさん)までも、それ以上のことをこのイベントに呼びこんでしまっています。それを象徴するのがラストのアヤとノブ。あれほど物悲しい渋谷西武前横断歩道が、残酷な手つなぎがあるなんて信じられません。恐怖すら感じます。  かくして本作は、お話の核が重くなりすぎて、あたかもブラックホールのように中心が見えなくなっている印象でした。ダイアローグや映像、意味、個々の要素が虚ろなまま、70分超の時間が確実に充ちていく、といったら抽象的すぎるでしょうか。監督のいう「ジャッジをしない」とは、こういうことだと思います。  そういうわけで、今の前田監督が「アナーキー」(宣伝パンフより)だの「野心的」(同)と呼ばれるのは理にかなっています。でも、いままでは自主映画、本作からは商業映画。クライアントの意向を聞かざるをえなくなっていく彼はどこに向かうのか?を、レビュー後半のお題にしましょう。ほら、やっぱしレビューに苦しんどる(笑)。  おそらくひとつの、もっとも可能性の高い方向は、「ゴンからの手紙」さんが言うように、エロなしで、考える前(=意味が虚ろな段階)に動く人物を撮ることでしょう。会話劇ではない台本が受けいれられるハードルは非常に高いのですが、会話の拒否ないし破綻という意味では偶然一致してしまった「大日本人」すらヒットするご時世ですから、意外とマーケットあるのかもしれません。  ただ、僕が前田監督に期待するのはすこしちがった方角で(俺が要望してどうなる!)、いまのエロ路線とクライアント映画を融合させてくれんかのー、と。自主映画精神あふれる商業映画監督といえば大林宣彦さん、「女の子を脱がせたい欲望」を絶対に捨てない人だ(笑)。今作「くりいむレモン」をご覧になるとわかりますが、前田監督は女の子をかわいく脱がせる才能をもっています。ラブシーンには、女性監督に近い、いい意味でのドライさを感じました。かわいくないとなにも自主映画が面白くないとはいえ(「ジャーマン+雨」を除く・笑)、人間を一番美しい状態で撮れるのは映画監督として非常に有利。監督は78年うまれですから、年代的にも大林二世を目指してもらいたいものです。妙に角がとれた「偉大な凡監督」になるより、ずっと魅力的です。少なくとも今時点では。さて、児ポル法どうしよう?  この映画、東京ではレイトで計6回(!)しか公開されません。そこらへんは自主映画テイスト。元来VシネなのでDVDですぐに出るとはいえ、映画館で観ていろいろ感じるのも損はないでしょう。そして「わかりやすい映画・邦画」に食傷ぎみのかたには、強力におすすめの一本です。

  • dav********

    3.0

    監督の今後には期待が持てました

    ★★★☆です。作品としての評価だけならもっと厳しくすべきと思いますが、きらりと光るシーンはかなり多かったと思います。 このシリーズお約束の「さーびすしーん」(←なぜひらがな?)は、やっぱりあるのですが、個人的には苦手なんですよね。なので、こういった作品では、「本当に必要だったのか?」を作品としての判断材料にしています。星三つということは「あってもなくてもよかったよね」ってところでしょうか。まあ、AV女優さんを主演に据えた時点(実は今知ったんですが)で、しっかり撮るつもりだったのでしょう。 でも、大事なのはその直前のシーン。ある意味壮絶な、それでいて静かな、一人の男(お兄ちゃん:宇野祥平さん)と女(アヤ:キヨミジュンさん)の心理戦。この描き方は見事でした。同じようなところは他にもあって、アヤの彼氏ノブ(榊原順さん)とクラスメイトの女の子(役名失念(・∀・;):鈴木なつみさん)のカラオケBOXでのシーン、最後の渋谷のラブホテルでのアヤとノブ。いずれも表面上の静けさと裏腹の激しい心理戦の攻防が、強烈にこちらに伝わってきます。 残念なのは、それらをつなぐブリッジとも言える部分が非常に弱い点。これまで短編映画を主戦場としてきた監督前田弘二さんの、現時点で欠けている部分かも知れません。それと、技術上の問題かもしれませんが、ノイズが大きすぎたり、他人のセリフがかぶってしまっている箇所がかなりあり、聞き取りづらいシーンがあります。それと序盤の女子高生たちの無駄口のシーン。ここはアヤが他の子たちからちょっと浮いていることを描く重要なシーンですが、あまりうまく表現できていなかったと思います。その辺はちょっと気にすればできると思うのですが。。。 でも、一番大事な部分をしっかり描けたことは、評価されるべきで、今後の彼の作品にはかなり期待できるのではないかと思いました。少なくとも、舞台挨拶で監督が言っていた「アタマで考えていることと行動が伴わないもどかしさ、考える前に行動してしまう感じを出したかった」という点はしっかり伝わりました。 ぜひ、今後は、エロ度0%の作品で勝負してもらいですね。一叩きした次回作を大いに期待します。 役者を評価するのは難しいのですが、上記の大事なシーンについてはちゃんと表現できているので、及第点はあげられるのではないでしょうか。主演のキヨミジュンさんはAVデビュー自体も昨年の8月ということですので、この撮影時期はおそらくほとんどデビュー間もない頃と思われますが、意外にお芝居もやれそうな印象です。今後どういう道を選択するのかわかりませんが、幅広くいろいろチャレンジしてみてもらいたいと思います。相手役の榊原順さん、実年齢は20代後半とのことですが高校生にしか見えません(・∀・;)。そんでもってイケメンさんでした。この映画での彼のポジションはかなり解釈が難しかったと思いますが、純粋であるが故にアヤの気まぐれな(とも取れる)行動への対処法がわからずに悩む男子高校生ノブを見事に演じていました。こういう経験って男なら1度いや、2度も3度もあるよね。うんうん。もっと活躍の場が広がってくれれば、と思いました。 ラストのシーンで、アヤとノブは泣きながら渋谷の雑踏に戻っていきます。あの涙の意味をどうとらえるか。その前後、ホテルで結局結ばれたのか、あるいはあのあと二人は別れてしまったのか、とか。それによってこの映画から受け取るメッセージは人によって変わりそうです。個人的には、たった3日間だったけど、アヤとノブにとってはある意味お互いの気持ちを確かめ合う大事な3日間だったのではないかと思います。それはきっとカラダが結ばれることより大事なことかもね。 エロさよりも心の一番深い場所のキズをつつかれたときの痛みのほうをより強く感じる作品でした。

スタッフ・キャスト

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基本情報


タイトル
くりいむレモン 旅のおわり

上映時間

製作国
日本

製作年度

公開日
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