ここから本文です

永遠のこどもたち (2007)

EL ORFANATO/THE ORPHANAGE

監督
J・A・バヨナ
  • みたいムービー 495
  • みたログ 1,330

3.84 / 評価:626件

解説

『パンズ・ラビリンス』のギレルモ・デル・トロをプロデューサーに迎え製作されたスペイン発のホラー映画。短編映画やミュージックビデオ制作で活躍するJ・A・バヨーナが初の長編監督を務め、主演は『美しすぎる母』のベレン・ルエダ。『クライムタイム』のジェラルディン・チャップリンや、『宮廷画家ゴヤは見た』のマベル・リベラが脇を固める。緻密(ちみつ)な人物描写は単純なホラー映画とは一線を画し、母親の深く強い愛をサスペンスフルに描いている。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

孤児院で育ったラウラ(ベレン・ルエダ)は、長らく閉鎖されていたその孤児院を買い取り、障害を持つ子どもたちのホームとして再建しようと夫のカルロス(フェルナンド・カヨ)、息子のシモン(ロジェール・プリンセプ)とともに移り住んでいた。だが、シモンは遊び相手のいない寂しさから空想上の友だちを作って遊ぶようになり、その姿にラウラは不安を覚える。そして入園希望者を集めたパーティーの日、シモンはこつ然と姿を消してしまい……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C)Rodar y Rodar Cine y Television, S.L / Telecinco Cinema, S.A., 2006
(C)Rodar y Rodar Cine y Television, S.L / Telecinco Cinema, S.A., 2006

「永遠のこどもたち」自身の過去に決着をつける鎮魂のファンタジー

 スペインの海辺に立つ広大な屋敷を舞台に、ゴシックホラーの雰囲気を醸し出しながらも、観る者を欺くことに全精力を傾けた「シックス・センス」や「アザーズ」とは一線を画している。恐怖や衝撃は抑制され、製作を手掛けたギレルモ・デル・トロの悲劇的な色合いよりも、むしろ生の原点を幼児期に見出すスピルバーグの匂いさえ漂う魂の物語が、サスペンスフルに進行するのだ。

 ヒロインは育った孤児院を買い取り、夫と命に限りある養子とともに暮らし始める。障害のある子たちの施設として屋敷を再建する目的があったのだが、奇妙な出来事が起こり始め、程なくして息子が姿を消してしまう。子供の失踪というモチーフは、往々にして親の行いへの報いとして生じる。本作でもヒロインの過去がすべての鍵を握っていた。我が子を必死に捜すプロセスは、やがて、封じ込めてきた彼女自身の苦い記憶を甦らせていく。

 そして、心に刺さった棘を溶かす30年の時をかけた物語が明かされる。彼女の魂が安堵するとき、まるでネバーランドへ舞い戻ったウェンディを彷彿とさせる場面が登場する。息子が神隠しに遭うことを通して、大人になりたくてもなれなかった仲間たちの元へと還るのだ。なぜ、屋敷に戻ってきたのか。なぜ、薄幸な子供たちのために身を捧げる覚悟をしたのか。何気ない伏線が収斂していく脚本が素晴らしい。これは、心の奥深くへ分け入り、自身の過去に決着をつける鎮魂のファンタジーである。(清水節)

映画.com(外部リンク)

2008年12月26日 更新

本文はここま>
でです このページの先頭へ