ハゲだったのに驚いた
- たこのまくら さん
- 2011年7月30日 1時14分
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偽ドキュメンタリーな割に登場人物がそれっぽく描き分けられすぎていて、ぎこちない劇映画を観た印象が残ってしまい、必ずしも出来がよいとも思えないが、「スネーク・アイズ」なんて映画にもちゃんと描かれていた、デ・パルマの「戦争」に対する嫌悪がモロに出ており、力作と思う。
冒頭の「これはフィクションである」という宣言にガツン。デ・パルマはここで事実ではなく「真実」を描くことを宣言したに等しい。米兵にキリスト教臭さをあえて避けていると思えるあたりがヌルいが、アメリカ人によるイスラム女性への陵辱行為がハッキリと描写されていて、ちょっとヒヤリとする。ラスト1枚のスチールとともに、「イスラム」への侮蔑と蹂躙がストレートに描かれている(あれはやはり頭髪の露出に注目すべきか)。また、楯になるのは外国人(メキシコ人)、手を汚すのはホワイト・トラッシュ。それらによって守られるのは結局マッコイ(米国本体)という構図も辛辣かつ適確と思える。これらの「真実」は編集された正史に対して、想像力で編集した「映画」として観客に提出された。デ・パルマはかなり挑戦的なのである。
だが、最後の告白シーンのいかにもなデ・パルマ調、また、血を追うイスラム戦士のカメラが映画的だとか、軟化させることも忘れない。
【メモ】2006年7月1日の米軍公式発表/バグダッド南方マハムディヤで米兵たちがイラク人女性をレイプしたあと家族ともども殺害/兵士たちは1週間ほど前からその家族の動向を「調べていた」/米兵は女性を他の3人の家族から別にし、彼女をレイプしたあと体に火をつけた/そのとき既に他の家族3人は殺害されていた/犠牲者の1人は子どもだった/米軍当局者は宗派間暴力による犠牲と思っていた/イラク当局は米軍兵士が一家を殺害したという報告を受け取っていたがイラク政府のコメントはなし
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