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非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎
2008年3月29日公開

非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎

IN THE REALMS OF THE UNREAL/IN THE REALMS OF THE UNREAL: THE MYSTERY OF HENRY DARGER

822008年3月29日公開

oz2********

4.0

ネタバレ今まで見たことのないものだった

丁寧に作られた印象を持った。この人は今でいうアスペルガー症候群のような、器質的な原因からくる対人関係障害は持ち合わせていたのだろう。しかし、貧困と不遇、周囲の無理解から人との関わりに対して深い傷を負い、閉じこもってしまった。静かでむしろ退屈そのもののような、判で押したような生活を送っていた人間の中に、これほどの怒りと激しさと行き場を失った愛情のエネルギーが渦を巻いていたとは・・・・描かれた両性具有の少女たちは、映画を見る限りでは性的暴力にはさらされておらず、絵も独特ではあるが退廃は感じさせない。彼女らはむしろ、愛に飢え続けたダーガーその人であり、また彼の未成熟な、穢れなき性愛の対象だったのだろう。だが、現実には彼は敗北し続け、愛する対象を求めながら、一匹の犬さえ経済的な負担から飼うことができない。観ているときは終始胸をしめつけられたが、救いは周囲の隣人が、どこか愛情をもって彼を見守り、支えていたことであった(これがなければ精神病院に閉じ込められて一生を過ごしたかもしれない!)。うーん、今まで観たことのないものを見た。私には退屈どころか刺激が強くて眠るどころではなかった。ただ、彼の描いた物語の概要はわかったものの、物語の持っているであろう毒はあまり伝わってこなかった。きっとあるだろうと思うのだが。

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