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ヴィオラソナタ・ショスタコヴィッチ (1981)

SONATA FOR VIOLA. DMITRI SHOSTAKOVITCH

監督
アレクサンドル・ソクーロフ
セミョーン・アラノヴィッチ
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3.75 / 評価:4件

チ~チ~ンプイプイ♪(交響曲第7番)

  • bakeneko さん
  • 2011年7月26日 10時56分
  • 閲覧数 292
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

ソクーロフの出世作ともなったショスタコービッチの伝記ドキュメンタリーで、記録映画でありながら時空を自在に飛翔する視点や、縦横無尽の編集による音楽と画面のシンクロナイゼーションに映画的快感が満ちている佳作であります。

え~一般的に伝記ドキュメンタリーの進行は、対象となっている人物の生誕から始まって逝去で終わり、大体の出来事は生涯の成長に合わせて順序良く語られていきます。
しかし本作は、一人の人間の人生が“縦横に飛び回る俯瞰的な視点”で語られ、“映画の眼”が一度通り過ぎた時点へまた戻ってきたりします。まるでカート・ボネガットの「スローターハウス5」の様な“跳躍する語り口”ですが、上手な説明によって観客を混乱させる事は無く、寧ろ人生の本質的なものと重要な時点を見極めて見せてくれるものであり、実際に私達が“人生を振り返る際の視点”にとても近いものであることに気が付きます。そして、冒頭の時計の振子の動きから始まる“象徴的な絵”はベルイマンの諸作品の隠喩表現の如く“鋭い感覚と深い思索性”を観る者の感覚の根底に揺り起こすのであります。

また、普通の伝記として生涯を観てもショスタコヴィッチの人生は抜群に興味深く、
ショパンコンクールに入賞するほどのピアノの名手であったことや、2次大戦後の“芸術論争”(実は音楽界の権力闘争)で窮地に立っていた事実などが、ソ連やヨーロッパの歴史と文化と共に紹介されます。
そして本作の一番の見所は、彼の作品の音楽、彼の家族写真、ニュース映像、映画、記念大会等をミックス&シンクロさせて創りだした“魔術的映像”の躍動感で、映像派&ドキュメンタリーファンは勉強に成りますよ~。

“イデオロギーに翻弄されてなかなか苦労した作曲家の人生”のドキュメンタリーとして、普通に映像と音楽を楽しめる作品ですが、“自在な編集&凝った仕掛け”に、“ノンフィクションでも芸術できる”ことに感心させられる映画でもあります。 

ねたばれ?
1、 売れない頃は、サイレント映画の音楽係としてピアノ即興で稼いでいたとのエピソードより、
この経験が後に「十月」等の映画音楽製作に生かされたのかな~(しかし、贅沢な映画上映だね!)
2、 ピアニストに自作の演奏の秘訣を教える電話の会話は、“芸術の実際のアドバイス”例として興味津々ですが、良く考えたらこれって“電話が全て当局に盗聴されていた”ってことですよね(「善き人の為のソナタ」みたい!)。
3、 2通りの指揮者による同一交響曲の演奏を比べるところは、(資本主義国家代表の)バーンスタインの方が良い演奏の気が..(音楽ってイデオロギーじゃ縛れないなあ~)。
4、表題になっている“ヴィオラ・ソナタ ハ長調 作品147 (1975年)”は彼の死の年に創られた遺作であります。

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