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カティンの森 (2007)

KATYN

監督
アンジェイ・ワイダ
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4.15 / 評価:339件

解説

第二次世界大戦中、ソ連の秘密警察によってポーランド軍将校が虐殺された「カティンの森事件」を、ポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダ監督が映画化した問題作。長い間明らかにされてこなかった同事件の真相を、ソ連の捕虜となった将校たちと、彼らの帰還を待ちわびる家族たちの姿を通して描く。父親を事件で殺された過去を持つワイダ監督が歴史の闇に迫った本作は、第80回アカデミー賞外国語映画賞ノミネートをはじめ、世界各地の映画祭で高く評価された。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

1939年、ポーランドはドイツ軍とソ連軍に侵攻され、すべてのポーランド軍将校はソ連の捕虜となった。アンジェイ大尉(アルトゥール・ジミエウスキー)は、彼の行方を探していた妻アンナ(マヤ・オスタシャースカ)と娘の目前で、東部へ連行されていく。アンナは夫の両親のもとに戻るが、義父はドイツに逮捕され収容所で病死し、残された家族はアンジェイの帰還を待ち続ける。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

「カティンの森」戦後ポーランドの痛ましい傷痕を女性たちの<顔>で描き出したワイダの集大成

 無惨な末路を迎えるテロリスト、マチェックは好きになった酒場の女クリスティーナに「なぜ、いつも黒眼鏡をかけているの」と問われ、「わが祖国への愛の記念さ。報われぬ愛の」と答える。「灰とダイヤモンド」で最も忘れがたい印象的なシーンだが、以来、アンジェイ・ワイダは、半世紀にわたって祖国ポーランドへの屈折した<報われぬ愛>を切々と謳い上げてきたのだと思う。

 「カティンの森」は、第2次大戦下、ソ連の捕虜となった1万人を越えるポーランドの将校がカティンで虐殺された事件を描いている。ワイダの父親もその被害者の1人で、この悲劇は永らくポーランドではタブーとされていた。文字通りの集大成となる本作で、ワイダは「灰とダイヤモンド」のようなロマンティックな語り口を避け、あるいは「大理石の男」のようにヒロイックに声高に糾弾するのでもなく、静謐な低い声でこのおぞましい事件の真相に迫ろうとする。この沈着なトーンを決定しているのは、ソ連とドイツ両国によって占領された戦後ポーランドの痛ましい傷痕を、さまざまな階層の女性たちの陰翳に富んだ<顔>によって際立たせようと試みているからだ。アンナと義母、大将夫人ルジャ、ソ連の犯行を兄の墓標に刻んだことを秘密警察に咎められ、決然と拒否するアグニェシュカ……。この映画で、果敢な行動を起こす際にヒロインたちが浮かべる表情はみな一様に美しい。歴史の受難が刻まれた<顔>を、ただ注視することこそが、真のレクイエムになるのではないだろうか。(高崎俊夫)

映画.com(外部リンク)

2009年12月10日 更新

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