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痛いほどきみが好きなのに
2008年5月17日公開

痛いほどきみが好きなのに

THE HOTTEST STATE

1172008年5月17日公開

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3.0

イーサン2作品目は結構好きだった

監督作品1作目の『チェルシーホテル』は、 なんとなく雰囲気と言葉だけで終わってしまっているような印象を受けた。 ので、 ジョージ・クルーニー的な俳優監督 (センスはものすごくいいけれどイマイチ作品がおもしろくならない) にイーサンもなってしまうんじゃなかろうか…… という不安を抱きつつも、 「この作品はイーサンファンなら観ずにおれるか!」 という心意気で観に行ったら、結構よかった(もうだいぶ前だけど…)。 自分自身の自叙伝的な小説(本人は否定?)を自ら撮ったせいなのか 前作よりもずっと「人間臭さ」が溢れているように感じた。 普遍的なテーマを取り扱っているから、 物語もシンプルでとてもわかりやすい。 ひとことでいえば 「大人になる過程に経験するひとつの恋」 のお話なんだけれど、 主人公ウィリアムの情けなさや弱さや自分勝手な愛情表現も、 恋人サラの極端な気持ちの揺れや人生に対する迷いや戸惑いも、 なんだか知らないがとても理解できてしまった。 ああそういえば、自分もこんなふうに恋をしていたなぁ、と。 情けなくて不器用で、荒々しくて、繊細で。 ウィリアム目線で物語が語られるので サラは最後までサバサバとした女性のような印象を受けるのだけれど 彼女の家庭環境や過去の恋愛のエピソードも合間に挟まれているので、 彼女と同じ性の私としてはウィリアムの知らぬところで、 サラにも様々な葛藤があったのだろうと勝手に想像してしまった(笑) 父親不在で育ったことがひっかかったままで いまいち男としての振舞い方、生き方に自信が持てないウィリアム。 同じく父親不在で、有能だけれど厳格な母親に育てられ、 恋をしながらも、人としての自立の道を突き進もうとするサラ。 愛されたいと望むがあまり、どうしたらいいのかわからなくなる。 人を愛することが、自分の人生の障害になるのではという不安。 若いときというのは、往々にしてこんなものかもしれない。 同じようなことで悩み、傷ついた経験のある人は多いはず。 これが「さっぱりわからない」という人は、 単に感性が違うか、親というものに持つ印象が異なるか、 または、若いときからしっかりしておられたのかもしれない。 単なる恋愛映画ではなく 青年の成長を描いたヒューマンドラマでもあったように感じる。 観終わった後に、切なさと少しの気恥ずかしさとともに、 どこか懐かしい、あたたかいようなすがすがしいような気分になった。 この原作、昔一度映画化の話が出たとき イーサン自身が撮って欲しかった監督に話を持ちかけたところ 「自分でやれば?」 と言われてしまったそうだが、それが功を奏したかも。 と、私は評価しましたが…世間の評価はどうでしょう? 父親役でイーサン自身も出演しているのだけれど、 「リアリティ・バイツの頃のイーサンの主人公ウィリアム役を観てみたかった!!」 というのが、私の正直なところではある。 ちなみにビフォアサンライズ、サンセットのつながりで なんとなくセットにされているようだが 同じ時期に公開されていた ジュリー・デルピーの『パリ、恋人たちの2日間』は、 『痛いほど~』とはまったく異なった、 スパイスの効いた大人のコメディだった(おもしろかった)。

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