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神様のパズル
2008年6月7日公開

神様のパズル

1342008年6月7日公開

apo********

5.0

ヴェートーベンの第九は世界を救う。

いきなりだが、三池崇史監督はあんまり好きではない。 彼の撮る映画の題材はいつも素晴らしい。こんな映画が見たいんだ!と 思わしてくれるような映画を撮ってくれる。でも、実際見てみると 「何で、ここをこぉするの?」と嫌な気持ちになることが多い。 そして、市原隼人は大好きだ。日本の人気イケメン若手俳優は今 いっぱいいるが、彼が一番好きだ。顔、演技、しゃべり方、ファッション 全てが度ストライク、彼が存在しているだけでその作品は何か光っている。 最後に「宇宙」、「ロック」最高に興味がある。 何故なら僕もこの宇宙でロックをしている人間だからだ。 だから、この映画を見に行こうか見に行かないか迷った。 題材は良いけど映画自体は求めてるものと違うんだろうな。と思い、 しかしまぁ今日、見てみることにした。 序盤から、まさにそんな僕の予想は的中した。市原隼人が町中でギターを かき立てる最高に格好良いシーンに、安っぽい宇宙の映像をシンクロさせる。 そして、全然ロックじゃないタイトルの出方。いきなりげんなり。 やはり、これも「何か違う」映画なのか?そして、「何か違う」快進撃は続く。 安っぽい演出、安っぽい音楽、安っぽい演出、安っぽいギャグ。 僕に残るのは市原隼人の魅力だけ。彼は本当に輝いている。 が、話が「宇宙」の「哲学」だけではなく、「この地球で生きる意味」についての 哲学にまで広がってきたとき、見方が変わってきた。後半になるにつれて 前半やってきた雰囲気が覆される。この映画、予想以上にいろんな事に迫ってくる。 「宇宙」というものを考えたとき、それはロマンであり夢である。 しかし、「宇宙」は同時にあらゆるものをちっぽけにはかなく思わせる、 巨大な悪夢とも言える。馬鹿でかい宇宙の前に我々人類なんて存在の意味まで 疑わしいほどちっぽけではかない。そんな宇宙という全体像を考えず、 地球というからで必死こいている現代人を強烈に皮肉ったりもしているし、 逆にそぉいう「理系」的感覚でしかものを捉えることの出来ない「天才」を 皮肉ってもいる。この作品の扱っているものはかなり危険で、かなり壮大。 映画的感覚でこの映画を評価するとき、僕はこの映画は大嫌いだが、 哲学的感覚でこの映画を評価するとき、それは今までにないオリジナル性と 良い意味で「詰め込み過ぎ」の見応えたっぷりの傑作と言える。 確かに三池監督は予想通り僕に「何か違う」ものを見せてきた。 しかし、今回は「良い意味」で何か違うものを見せてきたと評価する。 結局、この映画が出す答え、「何でも良いから良い感じに生きろよ」。 天才なんていないし、凡人もいない。みんな良い感じに生きている。 壮大なものを綺麗事で片づけているのだが、これもまた「良い感じ」に片づけている。 そんな当たり前のことを当たり前にイッチーが爽やかな語り口調で教えてくれる。 地球を救ったロックの少年は、結局寿司屋になった。 寿司、ロック、人工授精、宇宙、農家、ネット、あらゆることが一つになった。 良いんだ、そんな「でかい」男が結局寿司職人になっても、本人が満足してるし。 宇宙の誕生の説明として、ヴェートーベンの「運命」が紹介される。 「俺は第9の方が好きだけど」とそんな時イッチーが言う。 「私も同意」谷村美月がさりげなく言う。そんなさりげないシーンが、 ラストのイッチーのギターソロのロック精神爆発シーンに結びつくから感動的だ。 その時に、平然とそこにある「マイクスタンド」、 正直、この映画でロック精神に関しては描きが浅い。でも、あのロックシーンは たまらんほど格好良い。「クローズ」の戦闘シーンより格好良い。 世界はロックなのだ。宇宙はロックなんだ。結局、寿司もロックなんだ。 そして、激しいロックは、孤独な天才少女の素直な笑顔を生んだ。 よし、これは良作、ぃやなかなかの傑作と評価しよう。

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