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今夜、列車は走る (2004)

PROXIMA SALIDA

監督
ニコラス・トゥオッツォ
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4.06 / 評価:17件

子供達は、世界の現実に反応した

  • bushnarrowtracks さん
  • 2008年4月22日 23時07分
  • 閲覧数 161
  • 役立ち度 5
    • 総合評価
    • ★★★★★

「誰もこれに反応しないのはなぜなんだ
 もうたくさんだ! となぜ言わない」

 国鉄をリストラされて鉄道工場跡に住み着いた老・整備士が、遊びにやって来た同僚の息子に言うセリフです。

 私がこの映画を知ったのは、『世界の車窓からDVDブック・アルゼンチン編』のブック内で、この映画が紹介されていたからです。

 鉄道の映像にも期待していたのですが、あまり出てきませんでした。でも、この映画を見られて良かったです。映画館を出た後からジワジワと考えさせる映画です。

 予告編では、躍動感ある音楽とともに、鉄道がスタイリッシュに登場しますが、実際は動いている列車は、最初の頃に少しと出てきて、当分は出てきません。
 その代わりに、リストラされた鉄道員と、その家族のウダツの上がらない日常が、淡々と描写されます。その分、ラストで、関を切ったように盛り上がる・・・といっても、ハリウッド映画のような事はありません。

 ただ、グローバリズムのせいで国鉄が民営化されたとも言えるのだから、グローバリズムの権化たるハリウッドがこの映画を作っても説得力が無いわけで・・・。この映画がミニシネマであるいう事も、この映画に説得力を与えます。

 彼ら元国鉄職員の生活は本当に切羽詰っていて、アルゼンチン人に欠かせないマテ茶も、ほとんど登場しません。『世界の車窓から』では、「マイ茶器」を持ち歩いて、お湯を入れては、列車の中でもチューチューすすっているのに。

 キャラクター達は、過度なマイナス思考も、過度なプラス思考もなく、淡々と生きており、そこがリアルであり、退屈でもあります。
 これはハリウッド映画のように、受身で楽しませてくれる映画ではありません。
 今の社会と世界のあり方に、問題意識を持っている方にお勧めです。

 映画の最後で子ども達が起こした行動は、単に彼らの親たちのに目にとまっただけではなく、グローバリズムに巻き込まれる世界中の国々で、その恩恵を受けられずに生きている大多数の庶民に、何かを問いかけるでしょう。
 時流の流れと称して、様々なものを民営化し、民間に委託・丸投げし、格差を広げてきた我が日本も、その例外ではないと思います。老整備士の「鉄道が無くなった。そして国も。無いのと同じだ」というセリフが旨に迫ります。

 子ども達は、世界の現実に反応し、「もうたくさんだ!」という思いを、大人たちに突きつけたのです。

詳細評価

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