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memo

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106

chi********

5.0

ネタバレ佐藤二朗、サイコー!

観なくてはいけません。 明るいお話ではないです。 正面から捉えると、かなりディープです。 個性派俳優と呼ばれるスタイルの俳優、佐藤二朗さんの初監督作品です。 といっても、BS-iでは、すでに、たくさん、監督・脚本をこなしています。 もちろん、劇団ちからわざでも、です。 単に、”映画”が初めてというだけで、そこらへんの話題先行の処女作とは、最初からステージが違います。 純平役の主演俳優としても、さすが、です。 早口のセリフでも、聞き取りやすいです。 セリフどおり、間の埋め方も絶妙です。 ある目的で20年ぶりに帰郷した、病気持ちの男、ということになるのかもしれませんが、ON/OFFというか、コメディタッチな部分とシリアスな部分の配分がすばらしいです。 純平のラストシーンの迫力は、息を呑みました。 個性派という評価が多いのですが、やっていることは、正統派、そのものです。 表現力も高く、味もあり、インパクトもある、一流の演技派です。 今回も、すばらしい演技でした。 長回しの撮影に意味を感じます。 セリフが続いたり、アクションが続いたり、と、長尺ゆえの表現に必然を感じます。 身が、ぎっしり、つまっているので、いい塩梅に感じます。 長回し病の監督は参考にするとよいのでは。 音楽もいいです。 極端にいうと、2曲しかありません。 「発作のテーマ」と「前向きマーチ」です。 「発作のテーマ」の使い方がいいです。体感できない観者に、シーンの背景を示唆してくれます。 ナイスアシストです。 一方、「前向きマーチ」はおしいです。 使い方はいいです。使いどころもいいです。 何回か出てきてしまうのを、1回にしてもいいかもしれません。 もしくは、最後の「前向きマーチ」のシーンでは、繭子の歩みを、きっちり、マーチに合わせ、行進させてもいいのではないでしょうか。 ヒロイン繭子を演じるのは、韓英恵さんです。 引き出しが多そうです。 この短い時間設定の中での”成長”を、きちんと理解できているようです。 表情の変化というか、柔らかくなっていく様がいいです。 関西人の言うところの、シュッとした女優ですね。 スイッチがついているタイプなのでしょうか。 けっこう表情豊かで、過去の作品にない、魅力を感じました。 期待してます。 大学進学を希望されているようですね。 がんばって、勉強してください。 時給30円くらいで家庭教師引き受けますよ。 父洋平役の宅間孝行さん、母道子役の高岡早紀さん、好演です。 主演の二人が特別な存在だけに、生臭い父と世間ズレしていない母という、あるあるキャラとして存在させるところにバランスのよさを感じます。 そのポジションをよく理解した演技だと思いました。 岡田義徳さん、池内博之さん、白石美帆さん、そして、キスおばちゃん、お疲れさまでした。 いいアクセントでした。 教師役の太田善也さんも含め、劇団で脚本や演出をしている人が多いですね。 数学の小テストが、日の推移を表しているようです。 つまり、3、4日の短い物語である、ということです。 たった、これだけの時間の中で、純平は繭子に大事なものを残してくれました。 ここは、けっこう、ストレートに表現してあります。 強迫性障害という題材が、おそらく、なった人にしか理解できないのでしょう。 分からないもので、分かりにくいものを表現しようとすると、結局、分からないものになってしまいます。 言いたいことは、直球勝負、なところがいいです。 サブエピソードのなかで、世の中の不条理さと暖かさも感じさせてくれます。 佐藤さんの体験がベースということで、リアリティにも事欠きません。 いい去り際でした。 「ムキになる必要はないのです。  正面から向かい合う必要もないのです。  もちろん、”闘う”ことなど不要です。  ゆるりと行こうではありませんか。」 そんな、映画です。グッときます。 パンフレットにあるとおり、”佐藤二朗”を感じることができます。 佐藤二朗、サイコー! 人生は、しりとり。 たまに来て埋めてあげる、間。

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