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シークレット・サンシャイン (2007)

SECRET SUNSHINE/密陽

監督
イ・チャンドン
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3.92 / 評価:277件

解説

『オアシス』のイ・チャンドン監督が5年ぶりにメガホンを取った究極のラブストーリー。息子と地方都市に移り住み悲劇に見舞われるシングルマザーと、彼女をそっと見守る不器用な男の魂の救済を描く。チョン・ドヨンはこの作品で、2007年カンヌ国際映画祭主演女優賞を受賞。共演の『グエムル -漢江の怪物-』のソン・ガンホとともに見事な演技をみせる。愛する者を失う悲しみ、そして淡々と語られる生きるということの不条理が胸に突き刺さる。

シネマトゥデイ (外部リンク)

あらすじ

シネ(チョン・ドヨン)は事故で亡くなった夫の故郷で再出発するため、息子(ソン・ジョンヨプ)とソウルからミリャンに引っ越して来る。車が途中で故障しレッカー車を呼ぶと、自動車修理工場を営むジョンチャン(ソン・ガンホ)が現れる。彼の好意でシネは無事にピアノ教室も開き、順調に新生活を送っていたが、ある日息子が誘拐され……。

シネマトゥデイ (外部リンク)

映画レポート

(C) 2007 CINEMA SERVICE CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED
(C) 2007 CINEMA SERVICE CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED

「シークレット・サンシャイン」個人の葛藤と狂気、そして既製の価値観が揺らぐ社会や時代も浮き彫りに

 歴史や社会の変化に敏感なイ・チャンドンの新作でまず興味深いのは、この監督が映画のもとになった小説に、光州事件に関わる政治的な寓意を読み取っていることだ。彼は、もはや寓意が成り立たない現代を背景に、あえてそんな小説から物語を紡ぎ出している。

 物語の鍵を握るのは、ヒロインの亡夫の故郷である地方都市ミリャン(密陽)だ。ソウルを離れ、亡夫の故郷で再出発しようとした彼女は、息子の命を奪われ、信仰に救いを求め、狂気に囚われていく。だが、それらを偶然の悲劇と言い切ることはできない。

 すでに再出発の時点で、ヒロインと現実の間にはズレがある。確かに彼女は夫を愛していたが、やがて結婚生活が幸福だったわけではないことが明らかになる。亡夫の故郷はそんなズレを押し広げていく。彼女は、“秘密の陽射し”を意味するミリャンに期待を寄せるが、そこは平凡な町でしかない。それでも人生や愛に執拗なまでに特別な意味を求める彼女は、現実遊離し、悲劇を招き寄せてしまう。

 チョン・ドヨンの鬼気迫る演技に圧倒されるこの映画は、喪失に苛まれるある個人の壮絶な葛藤と狂気だけではなく、既成の秩序や価値観が揺らぐ社会や時代も浮き彫りにしている。(大場正明)

映画.com(外部リンク)

2008年6月5日 更新

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