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蛇にピアス (2008)

監督
蜷川幸雄
  • みたいムービー 484
  • みたログ 3,011

2.79 / 評価:1358件

女優としての振り幅

  • nop***** さん
  • 2018年9月6日 19時40分
  • 閲覧数 5834
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

 20歳前後の「女優 吉高由里子」の在り様を見事に切り取っていて、これは一生もんの出来だな。与えられた役を演じているのだとしても、実写映画の意義がその時代の俳優の人生の一部を切り取って保存することなのだとすれば、この映画は十分にその役目を果たしている。

 吉高、高良健吾、ARATAというキャスティングが神懸っていて、それだけで成立してるのがすごい。冒頭の手持ちカメラ的長回しがあまり効果的に思えなかったので、先行きを不安に感じたが、吉高由里子を愛でるだけでも十分に満足した。初主演作品でこれだけの体当たり演技をして、しかもハマり役。文句のつけようがないね。ただ彼女の演技や存在感に何も感じない人にとっては、退屈極まりない映画でしかないんだろうけど。

 物語が面白いという類の作品ではないのに、終始緊張感を持って鑑賞できた。スプリットタン、舌ピアスにタトゥー、暴力にSMセックスと、非日常の嵐。吉高の手首を縛っての後背位セックスや、首を絞めながらの正常位セックスは、そういう趣味がない俺でも妙な迫力を感じてしまった。

 ARATA演じるシバのキャラ設定が漫画チックなのはご愛敬。台詞も少し気障な所があって少し苦笑してしまったが、それもまた作品の魅力だと思えてしまえる。

 19歳の女性の不安定な心の揺れを描いた、と言葉にすると陳腐になってしまうが、芥川賞を受賞した純文学系の原作小説を、割とうまく映像化してると思う。吉高の気だるい感じと自暴自棄気味の空気感が見事にマッチしている。正義の「セ」みたいな役もいいけど(ってそのドラマ見てないけど)、振り幅が広いな、吉高。

 ただ惜しむらくは主人公のモノローグ。原作を尊重したのかもしれないし、主人公の心情が分かりにくくなるのを危惧したのかもしれんが、完全に余計だ。小説では成立してても、映画だと説明的になってしまう。というか実際、直前の出来事を説明してるだけだったりするし。
 
 彼女の「存在力」を信じて、モノローグを全部省略して欲しかった。舌足らずになってもいいんだよ。余白があれば観客が勝手に埋めるし。
 
 過去の名作でも、最初ナレーション付けていても直前に省いた結果、作品が名作化したものもあるじゃんか。その結果原作と違ってしまってもいいよ。映像と俳優の演技が全て語ってくれるんだから。そこだけが残念だなあ。あのモノローグが無ければ星五つだったんだけど。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 切ない
  • セクシー
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