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特命係長 只野仁 最後の劇場版
2008年12月6日公開

特命係長 只野仁 最後の劇場版

1052008年12月6日公開

zin********

3.0

【只野ワールド】を知らずに観たら大変だ。

『映画だから、少しは格調高くしたかな?』 まかり間違っても、そんなカン違いをしてはイケナイ。 作品がダンディズム漂わすが如く、 制作陣も実に男らしく、変らぬ【只野ワールド】を、 スクリーンにブチまけた。 つまり、誇らしげなおバカ映画である。 所々、品のあるヒューマンドラマになりそうな流れを、 ものの見事にウッフン♡モードで下劣に蹴散らし、 お寒いギャグと、訳の判らん一部(大部分)の役者(?)の演技で、 B級映画に叩き落とす。 例えば、 今回のゲスト・赤井英和演ずる山西と只野の会話は、 中々に重く、味がある。 サラリーマンがヘラヘコ笑って、 バカな得意先にへつらい、耐えられるのは何故か? 只野は裏の顔が防波堤になっている。 が、普通のサラリーマンは? 山西は、それは“プライド”だと云う。 “プライド”は、家族を守る為にあると。 猫背で串カツ食う只野が、そんな山西を優しく見守る。 …世のお父さんにはタマラン場面だ。 お高いと思っていたシルビアとのマジな本音も、 『ア、コレは良いかも』と、座席に座り直させる。 が!とたん映画は容赦もなく、ウッフン♡、お下劣、 ヘタレギャグをカマし、そんな淡い後味をブチ壊すのだ。 だが、あえて言う。 コレでいい。 普通のサラリーマンドラマ風アクション・サスペンス(何だそりゃ?)なら、 掃いて捨てる程ある。 そう云うドラマは、最初の5分で最後の5分が判る。 それどころか、すぐ次の展開すら読める。 だから観なくなる。 だが【只野】は、そんな当たり前に流れがちな話を、 アホな“外し技”で揺すりに揺すってくる。 A級→B級(もしくはC級)映画を行ったり来たりする。 ある意味、気を抜けない。 これが【只野】なのだ。 この一風変った“特徴”が、安定した視聴率を取れる魅力となったのだろう。 主役の魅力だけでは、こうは長続きしまい。 偶然の産物か、狙ったものか? とにかく制作陣は、映画であろうと、その創り方を変えなかった。 『支持された【只野】はコレだ。 サァどうですか!』ってなもんだ。 驚くべき不器用さと、信念と、男のダンディズム(破滅への美学とも言う)の結晶だ。 これが映画として、ロードショーするに相応しいか、なんて考えてない。 【只野】は、良い映画を創ろうとしちゃイカン。 ひたすらB級を目指す志…そこに勢いが生まれる。 おかげで私も、何度隣の席の様子を窺った事か。 気まずいウッフン♡・ギャグに。 制作陣は今作を、 社会派サスペンス・ヒューマン・セクシー・アクション・ラブ・エンターティメント・ コメディと称しているが、本当にそれらが全部入っているから物凄い。 これらが渾然一体、違和感ないかと言うと、全くそーでない所がまた凄い。 全てのエッセンスがいびつに存在している。 …って言うか、他のエッセンスの邪魔さえしている。 例えば、チェ・ホンマンとの格闘シーン。 大体、40才過ぎて体創って(それも凄く)、 本気で大プロと格闘シーンを撮る主役も、正気じゃない。 が、その興奮冷めやらぬ直後、西川史子、いや、 加藤マネージャーとの、ウッフン♡が始まるのが世離れしている。 直前まで必死に築き上げた雰囲気は何なんだ? “あの格闘シーンは、夢か幻か”ってなもんだ。 これを“失敗”ではなく、“ちゃんと”やってる所が【只野】。 コレに付いてこれるかどうか、コレが今作のキーだ。 面白さが、ほぼ我々側の受けとり方の問題だというのも凄い。 メイド喫茶も、サウナ嬢も、ホモ社員も、変態デビット伊東も、 チェ・ホンマンの《ジャッパーン!(観れば判る)》も、長谷川初範のヤル気ない芝居も、 他の映画のうっす~いパロディも、 【只野ワールド】の味として、付いていける人は大丈夫! ちなみに私は、4~5度完全にひいたが。 下手に映画畑の人で創らず、テレビスタッフのまま事にあたったのが、 この見事な“完全再生テレビ映画”となった。 【只野】は映画でも変らなかった。 私は、こう云う手段を選ばず、何とか独自色を出そうとする魂を、 捨て置けない甘さがある。 甘いなぁ。 【相棒】の映画化の話には、『あ、な~る程』と納得したが、 【只野】には、『大丈夫?』と感じたのは、私だけではあるまい。 つまり、映画ノリし易く、映画ファンを取り込める作品と、そうでない作品だ。 制作側の『新しいファンを開拓できるかどうかが、興行の鍵』、との声も聞いたが、 カン違してはいけない。 “テレビを観て、面白いと感じた方(のみ)が面白い映画である”。 今作を楽しめた方は、TVも楽しめる…ただそれだけだ。 そんな作品で、ここから目覚しい程のファン層が広がるのだろうか? …余計なお世話か。 【只野】が【只野】であった事を、単純に良しとするべきかも知れない。

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