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コレラの時代の愛
2008年8月9日公開

コレラの時代の愛

LOVE IN THE TIME OF CHOLERA

PG121372008年8月9日公開

kps********

4.0

生と死、愛と孤独

郵便局員のフロレンティーノは配達先の令嬢フェルミナと恋に落ちる。身分違いから引き離されるが、51年9カ月と4日後に純愛が成就するという奇跡のようなお話でした。 ガルシア・マルケスの作品は、『100年の孤独』だけ読んだ記憶がありますが、ああいう魔術的なリアリズムは鳴りを潜めて、真っ当でリアルなお話だったんですが、一途な純愛が折れ曲がってしまうと、51年9カ月と4日の間に622人の女と寝てしまうという奇想天外なお話となっていて、さすがマルケスと唸るような面白いお話でした。 51年9カ月と4日待ち続けるほどの愛=孤独に対して、コレラや内戦という死の不安が介入してくる時代、生に対する抑圧が高まると行き場を失った生(愛)への欲動が、反転・暴走して622人の女を選択してしまうという、成就されない生(愛)の深さを描いている訳ですが、片や医者と結婚したフェルミナは、本当に愛しているかも分からない結婚に対して問題を抱えながらも幸福を感じているという、愛の虚実のようなものが表現されている作品かと思います。 最終的に成就するお互いの純愛に感動のようなものを覚えましたが、マルケスの作品は終始「時」を強く主張してくるので、こんな奇想天外なラブストーリーに対しても深く突っ込ませないところが良いです。 過ぎ去る「時」を前にして、人間の営みや愛の形などは不確かで幻想のようなも のではないでしょうか? 力強くシンプルに、生や死・愛や孤独が響いてくるところが極めて文学的で好ましかったです。 と、そんな感想で個人的には面白かったんですが、下の方のレビューでマルケスの作品を映像化なんてできるのか?というご意見があります。 確かに、内容に対して素晴らしい映像作品であったかと言われると、かなり疑問はあったかと思います。 もう少し芸術性が欲しかったですし、両者の老けメイクなんかも、題材の深みをぶち壊してる感じはしました。 映画としてどうであったか?と問われると疑問なところは多々あるかと思いますが、個人的に原作の素晴らしさが伝わってきたので、自分は良しとしたいと思います。 男も女も、異性と寝まくる奴らは意外と純なのか? と思ったりしました(笑) ★4つにしておきます。

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