あらすじ・解説
大正時代末期、広島の石内尋常高等小学校では、5年生の担任、市川先生(柄本明)が全力で生徒たちと向き合っていた。30年後、東京で売れない脚本家となっていた良人(豊川悦司)は、市川先生の定年祝いに出席。戦争をはさんで集まった同窓生それぞれの人生を目の当たりにした良人は、自身のふがいなさにがく然とする。
シネマトゥデイ(外部リンク)
本編配信
スマートフォンご利用の方はアプリから視聴できます。
作品レビュー(27件)
- kih********
3.0点
自伝的映画というから、作中の“脚本家”が主人公なのだろうけど、単に生徒の一人として流してある。生徒から見た“先生”のキャラを追いかけたドキュメントを大袈裟にドラマ化したものだ。従って、“先生”に目が行ってしまう。 墓碑「市川義夫先生乃墓碑」(裏面:昭和三十八年十一月七日没 行年六十六歳)から分かるのは、終戦の年にこの先生は40歳前。教え子が20歳前後、先生およそ30歳の頃か。 私にはこの先生の定年退職同窓会とその後(おそらく6年間)が気になって仕方がない。被爆の犠牲と生き延びの苦労を語る教え子への関わりが鮮明でないからだ。先生自身も苦労したであろうけど、この間先生は戦時中どのように教えたか、戦後どのように教えたか、今それをどのように振り返っているか、そういうことを子どもたちに一切語らないのだ。それって、有りか。 同僚教師も大いに苦しんだだろう。原爆・敗戦から定年になるまでの20年間、彼の教育はどう変わったのだろうか。実際にこの時代、先生たちは戦後教育に腐心し、新教育を模索する努力をされていた。それは戦時中の教育からの脱皮だったり反省だったり、また懺悔でさえあった。そういう手記や報告がいくらでもある。(映画でいえば、『二十四の瞳』など、多数。) 本作の先生にはそういうのが殆んど見えない。彼が主役ではないから画面に出ないだけかもしれない。しかし、退職後に教え子の前で、漢詩を謡い、晴耕雨読の生活を自画自賛するなど、少々デリカシーに欠けてはいないか。 先生の墓前で教え子が校歌を斉唱する。その3番、 「わが師の教え背に受けて 強く生きなん人の道……」。 戦後18年経っても、先生は「師」であるのだ。本当か。悪戦苦闘の教え子たちに「人の道」を「強く」生きよと、「背」を押して「教え」ただろうか。(実はこの歌詞は本物ではなくて、この映画用に作詞・作曲したものだという。ということは映画制作上の意図があるはず。)いっそのこと、生徒たちは墓碑を「背」にして、海と村里に向かって「強く」歌うと、私の思うような映画に近くなるのだが。 (墓碑に「○○先生乃墓碑」と書くのは一般的な風習なのかな……??)
- ta8********
3.0点
ネタバレ大げさな演出ながら
このレビューにはネタバレが含まれています。 - tak********
3.0点
素晴らしい脚本の数々,新藤先生,でも…,監督としては?, 古いとか新しいとかじゃなく, 演出家ではない長い時代…脚本家として活躍して,勉強してきた方, 脚本通りの良さと悪さ,その2つの面が出ている微妙に残念な作品, 今村昌平監督も高齢者だが,監督を長きにわたりやってきた方,ヤッパリ面白い, 畑違いは否めない,
- グミのプーさん
4.0点
連休の間は 「白い船」に続き、未見で溜まっているDVDを少しでも 片付けないといけないというわけで 続けて観たのが「石内尋常高等小学校 花は散れども」です。 これも自分の故郷である中国地方(昨日の島根の次は広島)を舞台としていて昨年なんと95歳で70年の現役監督というふれこみで宣伝された新藤兼人作品ですね。特典映像を観てもわかるように 次男のプロデューサーと同じく映画産業に携わっている孫娘のアシストに助けられての苦労話は面白かったなあ。 でも 95歳現役と言われても車椅子で満足な演出が出来るのか?それを売りにするために作った 自分の小学校時代をモチーフにしたただの思い入れの強い作品なのかと思ってそれほど期待していなかったのですが、これが大違い! 失礼しました! ノッケの学校のシーンからジーンと目頭が熱くなってしまいましたよ! さすが 脚本家からスタートした新藤監督。映画本来の映画のツボをしっかりと抑えた 味のあるセリフ回しに特典映像で垣間見られた余裕ある映画作りに拘る演出シーン! 腰と足が不自由なだけで信念というか 頭もハッキリと そのかくしゃくたる演出ぶりには 驚き以上のものがありますねえ。 生きて行くことだけに皆一生懸命であり、苦労が当たり前だったあの時代ならではの風景に 笑いと涙を織り交ぜての展開に思わずのめり込みましたよ! 柄本 明の名演はもちろんのこと。大竹しのぶのいつものようなテンションの高い演技と豊川悦司の驚きの新境地というか号泣シーンがうまく絡み合って見ごたえ充分! 六平直政はまさにはまり役といえるほどの好演でした! ただ 文句を言いたい部分が3つほど・・・ ひとつは川上麻衣子のフケメイクがフケになっていないこと! 60歳になってもシワひとつないあの顔は・・・どうみてもおかしいの一言!あれでは バケものですよ!大竹しのぶとのバランスもあるわけですからねえ! それと 大竹ふんする 幼馴染みの みどりが女将として嫁いだ料亭がある廿日市だけれど あのあたりを昔から知っている身から言っても その料亭のすぐ近くに散歩で行けるという設定の海岸がまるで日本海か太平洋のような大きな波が打ち寄せる大海原だなんて・・・ いくら昭和30年代でも廿日市の海岸があんな 広い砂浜と海だなんて何を考えてのロケハンなんだあ!!!? 第一、あの海には島ひとつ見えないではないですか! 廿日市の前の瀬戸内海は 風光明媚で 一年中穏やかな波打ち際が特徴であり、そこら中に 養殖のカキいかだと小島が点在するわけで 台風が来ている設定でもないのに あんな晴天の中、サーフィンでも出来そうな大波が押し寄せているなんていう風景は絶対にありえないわけですよ。 きっと千葉か神奈川か 廃校になった小学校のロケをしたと思われる山口県の日本海側の砂浜で撮ったと思われ・・・そのあたりDVDの特典映像で紹介されなかったのが残念。 それと 3つめとして広島弁が少しおかしなところがあったのが気になるなあ・・・ でも まあ 標準語にあわせた わかり易い広島弁ということで理解しておきますか。 大正時代、尋常高等小学校の生徒と先生の会話だと 今の広島の若い人たちにもわからない言葉使いがあったと思われますからねえ。 しかし、そういう部分があっても この作品の言わんとしている「語りつくせない人生は米を作っていても麦を食べざるを得なかったあの時代に生きた人たちだからこその活動大写真のようなエンターテイメント!」であり、新藤監督が振り返った人生への謳歌なんですねえ! 今の学校の風景にはとても見られないような あの教師と生徒たちとの信頼を超えた絆。 別に広島だから・・・原爆がらみだから・・・特別に悲惨というわけではなく あの時代を生き抜いた世代は 皆何かしら似たような不幸な経験をして来たわけです。 この映画、始めは主役が先生だと思われつつ、時代を引き継いだ生徒たちにそれがいつのまにか移っていくところがいい! だからこそ同窓会で、それぞれの生徒たちがキラキラ輝いていたあの頃の笑顔と対比し つつ、その後の不幸な人生を告白するくだりが この映画の山場でもありました。 あの校歌が 劇中に3度も4度も唄われるのがとても印象的でした。
- ska********
4.0点
話は飛び飛びだし、 何だか役の設定も合わない気がするし、 同級生?って感じもするし、 新藤監督自身の役が豊悦って(笑 戦後のエピソードはネジ込んだ感もしたし、 画面のアングル等が古臭い気もするし・・・ しかしこれらが結局、 よく「観せる」んだよなぁ~ 新藤マジック? 古臭かろうが、シーン毎の美しさも 特筆せざるを得ない この調子で観てたのに 最後まで飽きない (私は生まれてないけど)この背景となる時代も、 よく映し出していると思った やっぱり凄いなぁ そしていい先生だった
スタッフ・キャスト
人名を選択するとYahoo!検索に移動します。