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劇場版 空の境界/第四章 伽藍の洞

miy********

5.0

静から動へ。種は全てばら撒かれた。

原作のノベルズ版「空の境界」には、 物語内の簡易的な年表が書かれた栞がついています。 1995年4月 式、幹也と知り合う。 1995年9月 2/殺人考察(前) 1998年5月 幹也、橙子と知り合い、大学を辞める。 1998年6月 4/伽藍の洞 1998年7月 3/痛覚残留 1998年9月 1/俯瞰風景 ・・・・・・といった具合。 章立ての時系列が入れ替わっていることによる初読時の混乱は これによって大分軽減されました。 初めて読む方には文庫版ではなくノベルズ版がオススメです。 さて、第四章は『伽藍の洞』。 第一章の直前の第三章よりさらに直前の話。 (しかし章を時系列に並べるだけで混乱してくるなこりゃ) 第二章の最後で幹也を殺そうとしていた式が、 何故か怪我を負い救急車で病院に運ばれる。 それにつきそう幹也。何が起きたのかは明かされない。 それから2年後、式の意識は失われたまま。 (2年後だったり3年後だったりするのは時間を大雑把に 捉えているからなのであまり気にしないでくださいw) 幹也は足しげく式の病室にお見舞いに通っている。 その間に幹也は高校を卒業し、橙子の事務所へ就職する。 意識のない間死に触れ続けたことにより あらゆるものの“死”が見えるようになる式。 橙子によるとそれは“直死の魔眼”というかなり特殊な能力。 ようやく、ようやく「空の境界」の最重要キーワードの一つである “直死の魔眼”という言葉が出てきました。引っ張るなあ。 橙子はなんだかいろいろなことを知っている。 式の心の空洞。織(男性人格)がいなくなっていること。 “直死の魔眼”の使い方。病院の雑念共から式の病室を護る結界。 自らを「魔法使い(魔術師)」だという。 この章は、式が2年間の沈黙を破り “直死の魔眼”を得てついに動き出すという 両儀式の静→動の物語であるわけですが 蒼崎橙子が初めて事件に直接絡んできます。 橙子が火のついた煙草を使い魔法(魔術)を発動する。 それは結局は雑念に取り付かれた肉体には効かないわけですが 式に“直死の魔眼”を使わせるために わざとそうしているように見受けられます。 橙子は自分には無い“直死の魔眼”を手に入れたいのだ。 式が自らの心の空洞、織(男性人格)の不存在を自覚し、 死に触れ続けたによって“直死の魔眼”の能力を得ることで ようやく物語の種はすべてばら撒かれました。 霧絵、藤乃、里緒と荒耶宗蓮の遭遇を描いた エンドロール後の映像もそのことを補完しています。 上映時間は50分とこれまた短いですが 比較的「静」寄りだった物語が一気に「動」へと移る重要な章です。 次は第五章「矛盾螺旋」。この時点で早くもラスボス戦です。 一章~四章は比較的原作を忠実に再現していましたが 五章以降それがガラッと変わることになります。 主題歌『ARIA』 メイン Hikaru 三拍子のバラード(?)。僕のお気に入りHikaru初登場。 もちろん人によって好き嫌いは当然あるかと思いますが この『ARIA』がKalafinaを代表する名曲であることに 疑いの余地はないと思います。 お気に入りは2ndコーラスでリズムパートが混ざって音が分厚くなってから。 他と同様、この曲も歌詞が物語に見事にシンクロしています。 「今 君を失くした未来は 始まったばかり」 「消えたものと 変わらぬもの」 詞を読むだけで泣けてくる。

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