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劇場版 天元突破グレンラガン 紅蓮篇
2008年9月6日公開

劇場版 天元突破グレンラガン 紅蓮篇

1132008年9月6日公開

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5.0

かぶく!

 以前、多く「劇団☆新感線」の脚本を書いている中島かずきさんが脚本・シリーズ構成を担当し、AERAに寄せているコラムでの言及が印象あったアニメ作品。去年の紅白でしょこたんこと中川翔子が同アニメの主題歌『空色デイズ』を歌ったのを、仕事をしながら(つまり大晦日)感慨深く聴いた、と書かれていました。  けれど僕自身、そのアニメ『天元突破グレンラガン』はあのGAINAXが久々に力を入れて制作し、評判がいいことはしっていたのですが、少し見た感じで絵柄が趣味ではない(内容も分からず)と判断してスルーしていたのです。ただ今回、友人のアニメプロデューサーが見たいといっていたのを思い出し、きょう午後までの仕事を終えて池袋で急きょ今石洋之監督『劇場版 天元突破グレンラガン 紅蓮篇』見ることにしたのでした。TV版の総集編+αであるとのことも「見ても分かるだろう」と思えたから。何しろTAF2008の同ブースの盛り上がりがすごかったのもよく覚えていたし。  正直、見始めは入り込めませんでした。地下世界で生きる人間たち。しかしその中の反抗的で、若者たちのリーダー的存在カミナと共に、地を掘ることに関しては比類ないも気弱な少年シモン。彼らが地上から落ちてきたガンメン(ロボット)、そしてそれと闘う少女ブータと遭遇することによって、かつて人は地上に生き、今やそこは獣人が支配する世界となっていること。かつブーダや隣穴の人間たちは彼らに戦いを挑んでいることを知り、シモンは偶然地中で見つけた顔面だけのロボットに乗りこんで…てな、あんまり新奇さに欠ける物語に。  が、見ながら改めて「これはアニメ版劇団☆新感線なんだ」と気付いてからはググっと入り込んだのです。台詞はいちいちかっこよすぎて大仰で(特にカミナ)、リアル追求型の正反対をいった物理法則を無視した描写とハチャメチャ具合。けれど、これが実際の舞台だったら出来ないことをアニメならできる、それをやっていると気付いたとき、同時に主人公たちの真っ直ぐな、強さと弱さがしっかり背中合わせな心理描写が沁み込むうちにどっぷりでした。まさに“かぶく”とはこのことだ!と。  エンドクレジットが流れしょこたんの主題歌を聴きながら、もうアホみたいに涙がぼろぼろ。まだ見ぬきょうシーズン2最終回だった『コードギアス』とはまさに対極を成す、真正面から斬り込む、権謀術数なんてどうでもいい作品の真骨頂。ただ、おそらくTVを見ていないからこそ、こんなにも「見ることの充足」を得られたのは確かでしょう。けれども大画面ならではのスタジオ美峰が描く特徴的な背景、あの赤紫の夕景に映える主人公たちの勇姿、美しさ。弱いから、人間は強くなれる。エイメン!  ただ劇場から出てくる際にオタク的分析評を熱心にする方々が多く、がっかりしました。つまり、彼らは心ではなく頭が動いてTV版や他のアニメ作品との比較検討のみに傾いているようです。僕は見ながら「これがいいなら“劇団~”の舞台も観られるはず」なんて勘違いしていた自分がなんなのか。さみしい。もったいない。そう思えてならないのは年のせいでしょう。

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