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地球でいちばん幸せな場所
2008年8月2日公開

地球でいちばん幸せな場所

OWL AND THE SPARROW

982008年8月2日公開

dav********

5.0

タイヨウのうた2008 in ベトナム

★★★★☆です。ちょっと安っぽいレビュータイトルをつけてしまいましたが、あながち的外れではないと思います。 両者にはいくつかの共通点があると思っています。 1.まずヒロインがかわいい(*´д`*)。 雨音薫役のYUIとトゥイ役のファム・ティ・ハン。共にいわゆる美人ではなく、どこにでもいそうだけど町中ですれ違うとちょっと足をふと止めてしまう、そんな普通っぽいかわいらしさがあります。 2.新人監督による作品。 「タイヨウのうた」の小泉徳宏監督も長編デビュー作なら、本作のステファン・ゴーガー監督もこれが同じく長編デビュー作。 そして、その新人監督らしさが共に同じ形で表されたというのが次の共通点。 ↓ 3.重いテーマそのものはほんのちょっと画面で説明するだけ。 これが一番大事。説教臭くさせない効果は絶大でした。 「タイヨウのうた」における色素性乾皮症は本来テーマのベースにあったはずですが、実際に出来上がった作品は見かけ上そうではなく、2人の男女のさわやかでぎこちない青春映画でした。本作も劇場でNPO「国境なき子どもたち」の写真展が開かれていた通り、ストリートチルドレンの過酷な現状が本来テーマのベースにあると思いますが、こちらも見かけ上その部分はごくわずかなインサートや途中のワンシーンの背景として描くに留めており、見かけ上のストーリーは、ホーチミンの町中でたくましく生きるストリートチルドレンの女の子と彼女が出会った2人の男女の心温まる愛情と友情の物語として描かれていました。 にもかからわず、両者ともそのベースであった本来のテーマをより強烈に観客に伝えることに成功した秀作となっています。まったくテーマが違うにも関わらず、その意味でも共通していることが注目に値します。 「タイヨウのうた」では太陽の下での活動を象徴するサーフィンと月の下でのそれを象徴するストリートライブ、本来交わることのない両者が出会ってしまった運命をクールに映し出すことで、実際の一部にせよXPそのものを夜に知らしめる結果となりました。 本作「地球でいちばん幸せな場所」においても、両親の死別と叔父による強制労働に耐えかねての家出という重い設定にもかかわらず前向きにたくましく都会で生き抜こうとする主人公トゥイの健気さが、逆説的にストリートチルドレンの現状の過酷さを示す結果となりました。このことは直接的に表すよりも遥かに有効でした。この点も「タイヨウのうた」と同様です。 また、本作は、大人になってもお金があっても幸せになれないのはなぜか、というもう一つの主題を用意することでさらに相乗効果を生み出すことに成功しています。つまり、大人のぼくらも幸せになるためのなにかを見失ってるよね、っていう主題を置くことで、ベトナムの貧しい子供たちの問題だけじゃなくて自分たち自身の問題として観客に考えさせる道筋を作っています。これ、多くの人により受け入れやすい形でメッセージを届けるための効果として絶大でした。くしくも「タイヨウのうた」ではYUIの歌というツールと同じ役目です。 もちろん多少のキレイゴトはありますが、それでもそれをひっくり返すだけの力強さと後味の良さは評価に値します。作品としても非常によく出来た秀作だと思います。この手の作品は泣かせようとする演出をしがちですがむしろ作風が明るく、楽しい、かわいいというイメージのほうがしっくりくるという不思議な作品です。 本作は「チェブラーシカ」上映前の予告編で初めて知った作品ですが、予告編から受けた印象通りのさわやかな作風です。上映館数も東京と大阪のシネマート、2館のみのようです。非常に少ないですがお勧めできる作品です。

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