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地球でいちばん幸せな場所
2008年8月2日公開

地球でいちばん幸せな場所

OWL AND THE SPARROW

982008年8月2日公開

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3.0

無垢な魂に浄化される

 ベトナムのホーチミンを舞台に、孤児の少女と孤独な男女の交流を描くハートウォーミングなドラマ。  浅学ゆえベトナムについてはほとんど何も知らないのだが、工場で働いている少女たちの映像から、児童労働はベトナムにおいては特に珍しい風景ではないということが窺える。年端も行かない少女たちのなかに混ざって働いている一際幼い女の子が、本作の主人公、トゥイ。両親を失くしてしまって身寄りのない彼女は叔父が経営する工場で労働を強いられていたが、仕事で失敗して怒られたことが引き金となり、家を飛び出し都会でひとり生きていくことを決意する。  「貧困」が主題の一つでありながらもそれを彼女の「不遇」として前面に押し出して語るのではなく、幸福は人間同士の絆にこそあると訴える本作は、同じく貧しいながらも懸命に生活するきょうだいを描いたイラン映画の傑作『運動靴と赤い金魚』に通じるところがあり、決して軽くないテーマでありながらも鑑賞後さわやかな余韻を残す作りとなっている。大人たちがかような映画を見て感動してしまうのは、まだ何にも毒されていない子どもたちのきれいで真っ直ぐな心が自らの琴線に触れるからにほかならないだろう。    それは映画内の登場人物も同様で、『地球でいちばん幸せな場所』では孤独な男女がトゥイに影響されて徐々に心を開いていく様子も描く。また、装飾なしに撮影されたと思われる本作は、ざわめく街の雑音をカットせずにあえて取り入れたのかベトナムのリアルな雰囲気も感じることができて楽しい。バイクのあまりの多さ(中国における自転車のよう)には誰もが驚かずにはいられないだろう笑。ただ、いくらハンディカメラで撮影したとはいえ、ただあるものを映したといったような特に工夫の感じられない映像は頂けない。アップシーンの多用も評価を下げる原因となっている。  とはいえ、無垢な魂にはどこか人を浄化させる力があるということを信じさせてくれる、心温まる佳作だ。観客賞を受賞したのも頷ける。

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