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コッポラの胡蝶の夢
2008年8月30日公開

コッポラの胡蝶の夢

YOUTH WITHOUT YOUTH

1242008年8月30日公開

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4.0

所詮は儚き夢か・・でも人は生きていくのだ

フランシス・F・コッポラ監督が久しぶりにかじ取りした作品で、 スポンサーを得ず彼の私財を投じて創り上げた意欲作という。 製作には米・伊・仏・独・ルーマニア5カ国製作というのだが、 作品の規模からはあまり感じられず、世界的監督の製作意欲に各国が 乗っかった格好じゃないのかしら。 お話は1930年代のドイツ。 しがない老言語学者ドミニク・マテイ(ティム・ロス)は、 ある嵐の夜に寝間着姿のまま外に出たところ 雷に打たれ病院に運ばれる。 しかしケガから回復したドミニクの体は40代にまで若返り、 驚異的な頭脳も授かる。 その噂を聞きつけたナチス・ドイツは彼を研究対象に。 しかし、彼の非常な運命に同情した医学博士は国外に 彼を逃がそうとする。 後に彼は未開の古代言語をも解読できるという特殊能力も持つに至る。 そうして各国を放浪するうちに、昔失恋した恋人に似たある女性に出会う。 体も若返ってライフワークの言語研究にも情熱が戻り、 そしてこの若き美しい女性とも恋仲に落ち、 まさに今までの人生に無かった順風満帆さ、春を謳歌。 あっという間にもう60年代。 気づいたらあの事件から30年以上が過ぎていた。 だが次第に不穏な出来事が起こり、夢が醒めていくかのように 体が老化し始め、物語はあっけなく静かに終焉を迎える・・・ 本作はかなり哲学的要素が盛り込まれており、 インドや中国の古代思想も登場。 題名の【胡蝶の夢】とは、 古代中国の思想家荘子(ソウジ 前369?~前286?) の書物にある一篇。 「人生において現実だろうが夢であろうが出来事は、 自然の流れ(法則)に身を任せれば結局同じことであり、 結果に大差はない」という意味のようで。放任主義なの? もう人生の締めくくりにあるだろうコッポラ監督。 やはり人生の哲学を考えるようになったのか、 彼の想いがかなり色濃く出たようなカンジ。 そのため幾分か特殊効果による演出で ファンタジックなテイストに仕上がっている。 少々難解な部分もあるが、あのラストだということで最後は納得。 主演のティム・ロスの老けっぷりがなかなかはまっていて いい意味でビックリ。ヒロインの女優さんもキレイ。 『4ヶ月、3週と2日』(2007)で、 衝撃的な主人公を演じたホテルのカウンター嬢役の アナマリア・マリンカもルーマニア美人っぷりで、 あの作品とは対照的なあっけらかんとした明かるさ。 マット・デイモンがチョイで出てるけど、 最近いくつかの映画でもこんな出演。 邪推だけどたくさん出演数増やそうとするのは、 ちょっと欲張りなのかな~と一言苦言。 だって意味ないもんさーあの役。何のため? 人として生まれ、自分の存在意義は何なのか? 夢を見るだけ? いや、たとえ実現しない儚い夢であっても目指し いい夢から目が覚めてもけっして悲観せず とにかく生きることに意味があるの。 名声や地位、財も手に入れた映画界の巨匠が達観し、 現実を超越した思想が投影されているかのようであり、 それは庶民には贅沢と呼べるべきものだろう。 でも私達はこうして映画として観る機会を与えてもらい、 監督が創らなければなかったのだから。 その作品で自分の人生や夢について考える。 贅沢な体勢から得られるもの。 それも生きる上では重要なエッセンス。 ただそれでも、 夢から覚めた時に仕事や有効期限が過ぎて悲惨なことになっていたら、 それはそれでやっぱり悲しく苦しいのでやっぱり嫌かもネ。。。

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