2008年8月16日公開

この自由な世界で

IT'S A FREE WORLD...

962008年8月16日公開
この自由な世界で
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作品情報上映スケジュールレビュー

あらすじ・解説

一人息子を両親に預けて働くアンジー(カーストン・ウェアリング)は、勤め先の職業紹介会社をクビになる。彼女は自分で職業紹介所を立ち上げようと決意し、ルームメイトのローズ(ジュリエット・エリス)を共同経営に誘う。アンジーは必死にビジネスを軌道に乗せるが、ある日不法移民を働かせる方がもうかることを知り……。

シネマトゥデイ(外部リンク)

作品レビュー(87件)

悲しい20.2%絶望的18.5%切ない18.5%知的12.4%恐怖9.6%

  • mic********

    5.0

    自由な世界で生き抜くために払う代償は多い

    「旅行で訪れたベトナムで、ストリートチルドレンの子どもたちが友人の財布を盗んだ。走り去る時、ものすごくキラキラした笑顔をしていた。『犯罪を犯しているのに、どうしてあんな笑顔ができるんだろう』と思った。それで気づいたのは、彼らにとってはそれが犯罪かどうかよりも、苦しい生活の中でお金を手に入れて、自分の母親を喜ばせてあげることの方が重要だということ 」※ “悪者”は出てこないこのエピソードと似た背景を持つ本作には、イギリスでシングルマザーが起業し、もがき苦しみながら事業を軌道に乗せようとする過程が描かれている フィクションという体で撮られたドキュメンタリーのような作品なので、いわゆる感動モノが苦手な人にはぜひおすすめしたい。(この作品の制作を指揮したケン・ローチ監督の作品がおすすめ)大げさな音楽や過剰な演出はないのに見入ってしまうほどの引力があることに感動する。胸に迫るとか胸が詰まるという表現では追いつかない、強烈な作品である。 ベトナムの純粋無垢なストリートチルドレンとは違い、ロンドンで移民労働者を対象とした人材派遣業を始めた主人公は分別がつく大人である。しかし、約束された未来などひとつもない汲々とした日々のなかで、ひとり息子との幸せな暮らしを手に入れるため、超えてはならない一線を超えてしまう。そんな彼女を“悪者”だと責められる人はいるだろうか。 今日を生き延びるためにままならない現実と格闘し続けている人間に、倫理観や道徳観を問うのはナンセンスだ。そう思わされるのも、彼女らを翻弄する市場メカニズムが生んだ社会の歪みまで、映画の中でしっかりと描かれているからだろう。搾取する側と搾取される側を隔てる格差が広がっていくばかりの社会構造には、絶望感すら抱かされる。 何かを得るためには、何かを犠牲にする。目的を達成するためには、手段を選んでいられないこともある。人は自由を手に入れる代わりに、自分の身は自分で守り、自分のケツは自分で拭かなければならない……。こうした「現実を濃縮したような現実」が描き出されているところに、この映画のすごさ、すばらしさがある。 しかしまぁ「この自由な世界で」というタイトルからは想像しがたいほど、ひとかけらの甘さもない物語だ。虚構の世界なのだからもう少し救いがあってほしい、というこちらの願望はついぞ叶えられることはなかった。きっとそれは「より安い資源や労働力を得ようとする経済システムは、家族や社会、ひいては地球を壊していく」と危惧するケン・ローチ監督の“怒り”のメッセージなのだろう。(現在公開中の『家族を想うとき』もおすすめ) われわれは、市場原理とは切っても切り離せない経済システムから逃れることはできない。ならば、その現実にどう処すればよいのか。簡単に答えを出すことのできない問いを突きつける本作には、観た人の心を捉えて放さない何かがある。 ※ http://alternas.jp/work/ethical_work/74561より引用

  • kih********

    4.0

    母が母であることを忘れる自由などはない。

     この女性はよろしくない。情状酌量の余地なし。確かに、社会の構造が歪んでいるし民心は荒んでいるのだから、弱者社会の中からこういう強い女性が出てきても悪くはない。しかし、強く生きるということは悪く生きるということ同じではあるまい。  彼女・アンジーの罪状  ・母親であることを忘れて(放棄して)、子どもを顧みない罪。  ・自分も弱者であることを忘れて(裏切って)、更なる弱者を甚振る罪。  ケン・ローチ氏の映画であるから、弱者が更なる弱者を……がメインの視点であろうけど、私的には、母親であることを……の方に目が行って、気分が滅入る。  労働弱者や移民差別の問題は、これから何作も拝見するであろう同監督作品から教えられることが多いようだから、それはそれで学ばせてもらう。本作のアンジーが反面教師となって教えてくれるのは、母親不在(逃亡?)による家庭崩壊の問題だ。これは英国のような階級社会とか移民社会でなくても、そしてまた貧困家庭でなくても、どこの国のどこの社会でも共通する現代社会の問題点だ。  原題は『It's a Free World...』。シングルマザーであるアンジーも、実はすでに十分Free World で、freeな生活ができているではないか。この上どんな自由を欲っするというのか。自由の履き違い、人のせいの言い訳、際限のない欲望、……。……、いやいや、この女性にはそういう話ができる望みはない。1人息子のジェイミー君には気の毒だが、どうにもならない。  こういう不幸な家族や子どもたちが、実際には数えきれないほど居るんだよね。それをそのままに描写した映画。少しは希望を持たせる終わり方をすれば良さそうなものだが、ケン・ローチ監督はそういうのを好まないようだ。いいんじゃないかな、どういう終わり方をしようと、それまた監督の自由なのだから。

  • hor********

    4.0

    可愛い顔して御ぬしもなかなかの

    この子のためなら、搾取する側に回らなきゃやってらんないわ。 ・えげつなさがエスカレート。強欲にゴールはない。 ・実はファッションも見所。

  • 一人旅

    5.0

    自由は不自由を伴うのだ

    ケン・ローチ監督作。 移民に仕事を斡旋するシングルマザーの姿を描いたドラマ。 イギリスの名匠ケン・ローチが移民問題をテーマに描く社会派ドラマの秀作で、民間の職業紹介所をクビになったシングルマザー:アンジーが親友:ローズと共に求職中の東欧移民を対象とした職業紹介所を立ち上げるが、労働許可証を持たない不法移民にまで仕事を斡旋し始めたことにより予期せぬトラブルに巻き込まれていく姿を映し出しています。 アンジーが運営する職業紹介所はいわゆる派遣会社です。当初は東欧移民に対する仕事斡旋を業務にしていましたが、“儲かる”ことを理由に生活に困窮した不法移民にまで仕事を斡旋し始めます。劣悪な生活環境に身を置きながら長時間の肉体労働に従事する移民たちですが、給料の未払いといった深刻な問題が発生します。アンジーは資本主義の正義に基づいて移民を商品として自由に企業に売って荒稼ぎしますが、その一方でアンジーの紹介によって職を得た移民たちは不遇な労働環境と一向に改善しない経済的困窮に苦しみ続けるのです。 自由は不自由を伴います。アンジーは自由という権利を謳歌しますが、その皺寄せは社会的に無力な存在である移民たちの元へ不自由となって押し寄せます。現代社会における移民・労働問題をテーマに、稼ぐ者と搾取される者の関係性の縮図を描き、資本主義の矛盾と問題点を浮き彫りにした社会派の秀作です。 「私は気にしない」というアンジーの言葉が、弱者を切り捨てる資本主義・拝金主義の冷徹な側面を端的に表現しています。 ちなみに本作はイギリスを舞台にしたお話ですが、派遣会社の国別事業所数は世界の中でも日本が突出して多いのが実情です。正規・非正規間の格差が深刻な日本において、本作で取り上げられる問題は決して他所事ではないのです。

  • mey********

    5.0

    いずれ日本でも

    いずれ日本でも起こりうる問題。 どんな理想を掲げても人間は搾取する側される側、差別する側される側に分かれてしまう。 ケン ローチは、じゃあどうしろって言ってるんだろう。

スタッフ・キャスト

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受賞歴

ヴェネチア国際映画祭第64回

金オゼッラ賞(脚本)

基本情報


タイトル
この自由な世界で

原題
IT'S A FREE WORLD...

上映時間

製作国
イギリス/イタリア/ドイツ/スペイン

製作年度

公開日

ジャンル