ここから本文です

インビジブル・ターゲット (2007)

INVISIBLE TARGET

監督
ベニー・チャン
  • みたいムービー 38
  • みたログ 143

3.94 / 評価:52件

香港アクションは死なず

  • lamlam_pachanga さん
  • 2012年1月21日 0時48分
  • 閲覧数 715
  • 役立ち度 6
    • 総合評価
    • ★★★★★

『ジェネックス・コップ』、『香港国際警察/NEW POLICE STORY』、『コネクテッド』などのヒット作を抱え、昨年(11年)末には『新少林寺/SHAOLIN』も公開されたベニー・チャン。「怒涛のアクション+湿っぽいメロドラマ」が売りの監督で、終盤の悲劇展開は最早定番。本作は、そんな現在の香港エンタメ系の第一人者である彼が07年に手掛けた、香港映画が最も得意とするポリス・アクション超大作です。

香港映画におけるこのジャンルの金字塔と言えば、やはりジャッキー・チェンの『ポリス・ストーリー』シリーズ。この映画は、現代香港アクションの礎を築いた同シリーズのアイデンティティーを受け継いだ映画と言えます。本作におけるベニー・チャンからはその意図がありありと窺え、ニコラス・ツェー、ショーン・ユー、ジェイシー・チャン、呉京(ウー・ジン)、アンディ・オンと言った若手俳優をズラッと並べたのは、彼らを次代のスターに育てたいとの想いがあったからでしょう。

簡単に言えば、この映画は、「ジャッキー・チェンのいない『ポリス・ストーリー』」です。

香港の繁華街。白昼堂々、現金輸送車が襲われる事件が発生。輸送中の現金1億米?が強奪され、犯人グループは姿を消した・・・半年後、事件の巻き添えで婚約者を失ったチャン刑事(ニコラス・ツェー)は、大きな喪失感を抱えながらも犯人グループ(呉京、アンディ・オン)の行方を追う。同じ頃、過激捜査で知られるフォン警部補(ショーン・ユー)が犯人グループと遭遇するが、僅かな油断から彼らを取り逃がす。チャンは恋人の仇討ちのため、フォンは失態を取り返すため、それぞれに手掛かりを求めるふたりは、やがて犯人グループと係わりを持つ元警官の情報に辿りつく。そして、ふたりはその弟であるワイ巡査(ジェイシー・チャン)へ接近するのだが・・・。

ベニー・チャンの映画では毎度のことですが、今回もドラマチックな展開がテンコ盛り。主人公三人(チェン、フォン、ワイ)が犯人を追う動機や、犯人グループのキャラクター性をきっちり描いているとは言え、ストーリーがあまりに湿っぽいのは頂けない(味がクドイって言うのかな)。

ただまぁ、これは私個人のイチャモンに過ぎません(笑)

湿っぽさにさえ眼をつぶれば、本作は、恐らくベニー・チャンが手掛けた最高のアクション映画でしょう。

この映画、映画冒頭からクライマックスまで、ド派手で危険なアクション・シークエンスの連続。序盤はワイヤーを巧く使いながらのビルの屋上での大追跡、中盤にカーチェイスから銃撃戦までの爆破アクション、そしてラストにお得意のカンフー・アクションと、まさに香港アクションのフルコース。主演三人(ニコラス、ショーン、ジェイシー)は、この監督からの無茶な要求に応え、かなりの頑張りを見せています。個人的には、「映画スター自らがスタントをこなす」と言うジャッキー・イズムを継承してるのがニコラス・ツェーであり、実の息子のジェイシー・チャンは(ありがちな反発でしょうが)それを避けていると言うのも面白かったですね。

そんな彼らと対の主人公(悪役)を務めたのが、こちらは本職の呉京(ウー・ジン)とアンディ・オン。

呉京は中国本土出身の武術家(ジェット・リーの同門)で、アンディ・オンは米国帰りのスポーツマン(嵩山少林寺に短期入門経験あり)。やはり本職のアクション俳優が披露する所作は、いくら頑張ったとは言え、アクションは素人の主役三人とは比べ物になりません。加えて、今回主役三人が役柄的にも感情的に突っ走るキャラクターであったのに対し、こちらは獰猛さを秘めながらも一定の行動原理を持つキャラクターだったり、その対比が功を奏し、悪役としての存在感が素晴らしい(特に呉京)。香港警察全体を敵に回しての大暴れのクライマックスでは、私は彼らを応援してました(笑)

ほぼ全編を激烈アクションで突っ走った映画は、クライマックスにその全てを締め括る大規模な戦いが用意されていますが、それを「やり過ぎ」と感じるか、「満腹」と感じるかで、この映画への評価は二分されるでしょう。この最後の戦いには蛇足感があり(ストーリーはこれ以前にほぼ終わってるから)、映画的バランスを考えると疑問が残るのは確かですが、私は、この映画はこれで良かったのだと思います。

往時のジャッキー・チェンが見せたのは、小ぢんまりとした話に拘泥せず、ひたすらアクションだけで前へ進む姿勢でした。

『インビジブル・ターゲット』は、そんな香港アクションが消えつつあることを心配するファンへの、ベニー・チャンからの回答です。

香港アクション映画がお好きな全ての人に、自信を持ってお薦めします。

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 泣ける
  • スペクタクル
  • 勇敢
  • 切ない
  • かっこいい
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ