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ラブファイト
2008年11月15日公開

ラブファイト

1262008年11月15日公開

皐月

5.0

ネタバレ「本気」と「真剣」の、ガチンコ勝負★

私はこの作品はもっと評価されるべきだと思います。 非常に面白いだけではなくて、奥が深いし、清清しい。 こういう作品があるから、私は映画が大好きなんです。   雨上がりの空にかかる、「虹」のような作品 いい作品です。皆様にも、是非ご覧頂きたいと思います。  この映画を観る上で、重要な「キー」は以下をご覧下さい。 1.冒頭のシーン  まず最初に、主人公稔と幼なじみの亜紀の幼稚園時代の 回想が出てきます。いじめられっ子の稔を、亜紀が必死に 守るのです。「このヘタレっ!」の一言が、とっても可愛い。 2.大木との出会い  亜紀が原因で、不良にからまれていた所を、大木に助けられた稔。 大木の強さに感動し、彼は大木のボクシングジムに入門。 それを知った亜紀も、続けて入門します。  初めは、ジムを閉鎖しようと考えていた大木ですが、 タケに必死に説得をされ、復興します。  タケも人情味あふれる、とても魅力的な人間です。 脇役なのに、きちんと感情移入出来ます。 3.稔がボクシングを始めた理由  そもそも、稔はなぜボクシングを始めたのでしょう。 その理由は、こうです。 「西村亜紀に勝って、あいつから自由になりたかったからや」  彼は昔から亜紀に守られ続ける自分が、やり切れなかったのです。 4.大木の過去  大木はかつて日本チャンピオンにまで登り詰めながら、 世界タイトルを前に引退してしまいます。  何が、彼をそうさせたのでしょうか。  実は、大木にはかつて「世界タイトルを捨ててもいい」と 思えるほど、深く愛した女性(順子)がいました。 お互いに思い合っていたのですが、彼女が芸能人だったため、 心ない報道記者にスクープされてしまったのです。   その結果、彼女は「清純派女優」から失墜。  それでも、愛し合う二人は、約束の場所で会うはずでした。 しかしながら、運命は残酷で、偶然が重なり出会えずに…。 そうして大木は酒に溺れ、ボクシングから遠ざかるのです。 5.亜紀と恭子  劇中、二人の以下のようなやりとりがあります。 恭子「西村さんが(稔を)守ってきたことが、    橘くんをどれだけ苦しめてきたか、知ってる?」 亜紀「奥村さん、稔ちゃんのどこが好きなの?」 恭子「西村さん、恋したことないやろ。もしあったら、    橘君にはいいところがたくさんあることがわかるはずや」  恭子は、ケンカが弱くて、ボクシングもいまひとつな稔の 心優しい「本質」を愛したのです。 6.亜紀の強さの理由  劇中、亜紀と大木がシャボン玉の舞い上がる道を話しながら歩く シーンがあります。下町情緒あふれる、素敵なシーンです。  そこで亜紀は大木に、胸の内を明かします。 「私は最初から強かったわけじゃない」 「稔ちゃんを守るために、強くなったんや」  不器用な彼女の、心優しい一面が垣間見えます。 7.大木の人柄  劇中、ボクシングをさぼっていた稔に、大木がこう言います。 「お前は10年逃げ回って、(ボクシングの)天才になった」 「西村さんは、10年どついて天才になった」 「お前らは10年分の天才や」 「ボクシングはケンカやない、スポーツや。  この世で一番美しい、”会話”や」  決して言葉が上手いわけではないのに、心にちゃんと響くのは、 かつて彼が苦しい思いをして、どん底に落ちたことがあるからです、  また、彼はジムのためにわざと負ける試合をします。 相手役は藤井隆ですが、悪役を見事に演じています。 「自分が育てるボクサーのためやったら、泥かぶってでも、  守っていくのが大事とちゃうんか」  こう説得され、彼は稔の目にその姿を焼き付けるために、 八百長とわかっていながら、わざと負けるのです。 8.亜紀の願い  試合後に、亜紀は稔の前で大木にキスして、とお願いします。 大木は真意を理解した上で、キスしてしまいます。 亜紀は、そこで初めて、「稔ちゃんに守って欲しい」と思って涙するのです。  稔も、その時は呆然として何も出来ませんでしたが、 彼女が初めて見せた涙に動揺します。 そして大木と、ボクシングでカタを付けます。  あとは、皆様の目でご覧下さい。  全体を通して、亜紀がカッコ良かったです。 回し蹴り、羽交い絞め、ストレートパンチ、どれもキレがいい。  それとラブファイトは2段構成です。 「亜紀と、稔」 「大木と、順子」  この二つのラブが、上手い具合にマッチングしています。 「99%の努力と、1%の才能」  有名な言葉ですが、本当にその通りだと思います。 自分の限界を決めるのは、自分。  観た後に、雨上がりの空ような、さわやかな気持ちになりました。

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