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さくらんぼ 母ときた道
2008年11月1日公開

さくらんぼ 母ときた道

CHERRIES/桜桃

1072008年11月1日公開

puc********

4.0

無心でひたすら子を慈しむ母性に涙

女の子は幼児の頃母性に目覚め、ままごとや人形遊びで母親になる練習を始める。主人公の母桜桃は、精神的には幼児である。子への期待や親としての欲は一切なく、ひたすら子を愛し、護り、子の笑顔に喜ぶ姿に、母性の原点を見た思いがする。父、母、娘、それぞれ不遇な3人が貧しい食事をする場面に悲惨さはない。妻を慈しみ、妻が大切にする娘を慈しむ、父親の大きな愛が家族を包んでいるからかもしれない。物心ついた子が、大好きだった母親を恥じ、疎ましく思うことも理解でき、胸が痛む。ドラマチックな場面も、わざとらしい演出感がなく、村の風景も自然に美しく映る。途中から、ドキュメンタリーを見ている感覚になった。 映画の冒頭で、自分を引き取り育ててくれた義母を偲んで桜桃が大泣きする。言葉で表現できなくても、愛を解する優しい女性である事が分かり、義母が愛情溢れる人だったことが連想できる。息子である桜桃の夫は母親の深い愛を受け継いだのだろう。貧しい農村で、村人の唯一の楽しみが桜桃の夫が弾くけっして上手ではない二胡である。中国語は分からないが、村人の台詞は棒読みだ。が、不思議にも、それが村人達の温さを増している。 主人公の締めくくりの言葉にちょっと違和感を覚えた。主人公が語る観客に向けた教訓めいた言葉は作為的だ。映画の流れとしては、「お母さん、ありがとう」ぐらいで終わったほうが自然だったと思う。私的には、残念だが最後の最後で星がひとつ減ってしまった。 でも、久しぶりに、「見てよかった!」と思えた一作である。

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