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青い鳥 (2008)

監督
中西健二
  • みたいムービー 432
  • みたログ 965

4.20 / 評価:389件

再上映したほうがいい

  • mos***** さん
  • 2017年12月29日 16時52分
  • 閲覧数 1883
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

すぐれた洋画を見ると、たいてい邦画の非難をしたくなる。出来のいい兄がいる弟みたいに、矛先を日本映画界にむけて、その為体を嘆く。とばっちりも甚だしいのだが。

もしこれを日本映画でやるとしたら、と考えてみることもある。ハリウッドに比べ、こっちでリメイクされることは稀だが、脳内置換だけなら罪はない。
BabyDriverを見たとき、Babyを誰にあてるか考えていた。

導き出したのが本郷奏多。
好きな俳優だが作品に恵まれないのが惜しい。主役があまりなくて、恋愛ものでお呼びがなく、ニッチな市場に好まれる。雰囲気的に林遣都に似ているが、線が細く、役どころの幅がせまい。しかし、ひ弱な外見に反して相当の演技派。
代表作がなく、結局、まだ少年だったこの映画の彼をとてもよく覚えている。名演だった。そしていい映画だった。

吃音の脈略が描かれていないのだが、どもりが、先生(阿部寛)の誠実な印象を決定づけている。しばしば物語では、清らかな心を代弁するかのように、障害が使われる。盲、聾、唖、ダウン症など、それらの境遇と善人はイコールではないのだが、シンパシーを取り込みたいとき、有効に働く。物語世界では、不遇や貧困はたいてい、善をあらわす。だが、うまく使わないと見る人によっては嘘くさい。

阿部寛の吃音は自然で、ドラマに溶け込んでいる。なぜどもるのかわからないのに、それをすんなり受け容れることができると同時に、先生の人間性に、深みを感じることができる。

いじめをテーマに据えた映画は多いが、日毎のニュースを見るにつけ、事実は小説より奇なりで、きょうび、創ったものより、じっさいおこったことのほうが、えげつない。それが、この主題を難しくし、かつ過剰化させている。

その傾向からみると、この映画で扱ういじめは、むしろ軽度だが、反省をうながし、掘り下げて考えさせることで、ステレオタイプを凌駕するものがある。
『みんな、一生忘れられないようなことを野口君にしたんだ、だったら、みんながそれを忘れるなんて卑怯だろ、~それが責任だ、罪になってもならなくても、自分のしたことに責任をとらなくちゃだめなんだよ』
たどたどしく諭す先生に、おごそかで、ゆるぎない信念がある。
少年が抱える罪の意識(良心の呵責)が、先生の課した命題によって、成長に昇華する過程を、つぶさに見ることができる。その生真面目なつくりに好感をもった。

中西健二監督はなぜかwikiもない人なのだが、この映画と北川景子の「花のあと」を見れば、使い手なのが確信できる。主張はしないが堅実で丁寧。個人的には、滝田洋二郎や根岸吉太郎のポジションを継ぐ技量があると思う。

阿部寛、本郷奏多もさることながら、太賀や新木優子に、まだ初々しい魅力がある。また伊藤歩がひときわきれいだった。

邦画では、カルト映画の位置づけが一般的ではないが、この映画はカルト。青い鳥って、何かぞろぞろ違うものが検索されそうなタイトルに難はある、とはいえ、もし当時出品していたらサンダンスとカンヌの批評家賞くらいは獲っただろう(と思います)。

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