ここから本文です

暗号名 黒猫を追え! (1987)

監督
井上梅次
岩清水昌弘
  • みたいムービー 4
  • みたログ 5

3.00 / 評価:3件

友情の”バロムクロス”

  • bakeneko さん
  • 2012年10月23日 8時18分
  • 閲覧数 618
  • 役立ち度 3
    • 総合評価
    • ★★★★★

(2012秋の時点での)自民党首領も積極的に関与していたことで有名な,自民党&統一教会&日本勝共連合が邁進した“スパイ防止法案”のプロパガンダ映画として誕生した作品ですが,特撮ものの第一話のお約束の如く(仮面ライダーやジャイアントロボ,キカイダーと同様に),悪の戦士として造られながら,トンデモ映画&特撮ファンの味方となった=楽しめて笑える怪作であります。

え~,映画屋さんというものは,(製作費を出してくれるのが右翼だろうが宇宙人だろうが)兎に角お金が集まって映画が撮れれば満足で,あとは“どうやってプロデューサーの注文を誤魔化して自分の好きな作品を撮るか?”に頭を絞るのであります。
本作も,“戦後の日本で起こった様々なスパイ事件を盛り込んで描くことで,スパイ防止法の必要性をアピールしてくれ!”とのプロデューサー要望を上手く捻じ曲げて,井上監督お得意の“昔の仲間が敵味方に別れて闘う=友情と葛藤”シチュエーション+「引き裂かれたカーテン」等のヒッチコック風サスペンス活劇の娯楽性+「黒蜥蜴」流トンデモ描写満載の陽性アクションとなっています。
特撮ファンにとっては,“ソ連じゃなくてB連邦のスパイ”(KGBじゃなくてGKP)と“北朝鮮じゃなくて北方共和国の潜入工作員”の暗躍を食い止めるべく活躍する“公安警察とその仲間たち“のメンバーが凄い作品で,
主人公がシルバー仮面:柴俊夫,その兄がウルトラセブン:森次晃嗣,その妹が,光速エスパー:田中美佐子,父親が「マタンゴ」,「怪獣大戦争」:久保明,上司に昭和ガメラ&大魔神:本郷功次郎,警視総監に「世界大戦争」の山村聰,部下に光速エスパー:三ツ木清隆,ウルトラマンレオ:真夏竜吾,仮面ライダーストロンガー:荒木しげる,そして親友にライダーシリーズの榎木孝明と―特撮ヒーロー揃い踏みの布陣となっています。
そして,井上監督のいつもの悪乗り小道具も満載で,
日本を裏切りスパイとなるための―”菊の紋章踏み絵“
“パンダ(=中国)とおさる(=日本)は最近仲良し♡”―「黒蜥蜴」パターンの脱力系暗号
様々な映画ポスターに加えて,各種映画シーンの引用―「第3の男」の観覧車のシーンも再現!
監督自身が作詞した主題歌―“黒猫の瞳が輝く~”歌詞&ぶさかわ黒猫のオープニング!(ニャニャーン!カッコいいですよ♡)
―と見どころ&突っ込みどころ満載の作品で,“結構地味なスパイ活動”や“とっても狭い人間関係”にも瞠目の怪作となっています。
2008年に東京渋谷の名画座シネマヴェーラで「カルト映画特集」(=妄執&異形の人々編)において漸く一般上映された(併映はやはり特撮ヒーロー役が活躍?する「東京ディープスロート夫人」!)作品ですが,今では,DVDが発売されていますので,制作団体の妄執に思いを巡らせつつ“特撮ファン夢の競演”を楽しんでみてはいかがでしょうか?

ねたばれ?
劇中に変身ポーズ“バロムクロス”が引用された“超人バロム1”って“正義のエージェント”だったって知っていました?

おまけ(レビュー項目にない“北の妄想映画”について―右左のバランスを取らなきゃね♡)
「月尾島(ウォルミド)」
朝鮮戦争時にソウル近郊の月尾島の砲台に立て籠って奮戦した小隊&訪問した女子兵士の英雄譚で,迫力のある戦闘シーンと挿入される音楽&コメディモチーフと,娯楽作品として良く出来ている作品であります。
朝鮮戦争の第一ラウンドで,韓国&アメリカ軍国連軍を朝鮮半島の崖っ縁まで追いつめて得心していた北朝鮮ですが,マッカーサーの奇手(軍隊が追いつめられている半島の南端に増援するのではなくて,いきなりソウルを脅かす仁川に部隊が上陸―攻撃の為に兵が払底していた首脳部へ進撃)によって,ガラ空きとなっていた首脳部にいた元祖将軍様=金日成に危機が迫ります。
遥か遠くにいる主力部隊を防衛に呼び戻すまでの3日間,莫大な敵を足止めするべく奮戦を命令された小隊の捨て身の特攻を活写して,「アラモ」や「独立機関銃隊未だ射撃中」を連想させる作品で,苛烈な戦闘と挿入される仲間の交流シークエンスの緩急は西側映画の定石を上手く取り入れていて,劇中で歌われる“海岸砲兵の歌”をどこかで聞いたことがある方も多いと思います。
特筆すべきは本物志向の戦闘場面で,激しい砲撃で海中の魚が気絶して浮かび上がり手掴みで捕獲できることや,敵役のアメリカ軍兵士が明らかに“本当に捕獲された捕虜”であること,そしてクライマックスの敵船砲撃場面での“爆発する船で跳ね上がる人間が手足をばたつかせる様子”に,“環境&人権を無視出来る国の映画の凄さ”を観ることができます。
戦意高揚プロパガンダ映画ですが,戦争アクション娯楽作品としても楽しめる作品で,ニコ動等で眺めることができますのでご奇特な方はどうぞ!

詳細評価

物語
配役
演出
映像
音楽

イメージワード

  • 泣ける
  • 笑える
  • 楽しい
  • 悲しい
  • ファンタジー
  • スペクタクル
  • ゴージャス
  • 不思議
  • パニック
  • 勇敢
  • 切ない
  • かわいい
  • かっこいい
  • コミカル
このレビューは役に立ちましたか?
利用規約に違反している投稿を見つけたら、次のボタンから報告できます。 違反報告
本文はここま>
でです このページの先頭へ